2015/02/05
英オックスフォード出身のギャズ・クームスによる、2作目のアルバム『Matador』が、1月21日に日本盤先行でリリースされた。ギャズと言えば、90年代ブリットポップが隆盛を極めた時期にデビューし、優れたソングライティングとワイルドかつセクシーなロックで人気を博しながらも、2010年に惜しまれつつ解散したバンド=スーパーグラスのフロントマンとして知られた人物だ。ちなみに2015年は、スーパーグラスがデビュー・アルバム『I Should Coco』をUKチャート1位に放り込んでから20周年に当たる。
ギャズとダニー・ゴフィーによるカヴァー専門の別動プロジェクト=ザ・ホットラッツを除けば、スーパーグラスは解散するまで頑強な一枚岩のように活動し続けたバンドだった。そしてギャズは2012年に初のソロ・アルバム『Here Come the Bombs』をリリースする。共同ソングライター/プロデューサーには『I Should Coco』以来となるサミュエル・ウィリアムズを起用し、ギャズ自身がすべての楽器を演奏するという、絵に描いたように心機一転モードのソロ・デビューであった。同年6月の『Hostess Club Weekender』では、バンド編成で素晴らしい来日公演も見せてくれている。
そして今回のアルバム『Matador』は、ダブステップ風のリズム・トラックとシンセサイザーのレイヤー、広がるハーモニー・ワークでサウンドの厚みを増しながらも、情熱的かつ衝動的な歌が前のめりに迸り、どうしようもなくロックな手応えを残してしまう。そんなギャズの快調ぶりと進化を見せつける作品になった。ライヴがバンド編成だったので、てっきり新作のレコーディングもバンドによるものかと思っていたが、またもやギャズ一人で演奏しているというから驚かされる。こういう、音楽ファン目線で楽しめることを率先して実行し結果を残すところに、ギャズ・クームスというアーティストの絶大な信頼感があるように思う。
美麗なエレクトロニック・シークエンスとアコースティック・ギターのプレイが滑らかに寄り添う「The Girl Who Fell to Earth」。コズミックなシンセ・リフを巻いて急展開する旋律がスリリングな「Needles Eye」。タイトルでニヤリとさせながら多重ヴォーカルの幻惑的な交錯を届けてくる「Oscillate」といったふうに、ソングライティングの巧みさと溢れ出る新鮮なアイデアが両輪と化して、ソロ・キャリアの邁進を伝えてくれる。とても自由で、生々しい熱気が立ち籠めるアルバムだ。なお、ギャズ・クームスの次回来日公演は、3月18日のビルボードライヴ東京(1st Stage 19:00~/2nd Stage 21:30~)が予定されている。
Text:小池宏和
◎リリース情報
ギャズ・クームス『マタドール』
2015/1/21 RELEASE
HSU-10022 2,400円(tax out.)
◎公演情報
東京 2015年3月18日(水) ビルボードライブ東京
サービス / カジュアル: 8600円 / 6600円(※カジュアルのみ1ドリンク付)
1stステージ (開場 17:30 / 開演 19:00)
2ndステージ (開場 20:45 / 開演 21:30)
INFO: Billboard Live http://www.billboard-live.com/
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