2014/11/13
人生を蒼い炎で燃やした歌で聴き手の心を震わせ続けている、唯一無二の女性シンガーソングライター 熊木杏里。11月7日 東京キネマ倶楽部にてワンマンライブ【熊木杏里Live from Works】を開催した。
<前代未聞でも彼女らしい「いいじゃない。悩んで帰るライブも」>
通常のCDリリースとは別に、2012年より生々しいデモ音源を配信リリースしてきた熊木杏里だが、同公演はそのデモ配信でのみ発表してきた楽曲だらけのセットリスト。まだ歌い慣れてもいない、観客も生で聴くのは初めてばかりの新鮮な楽曲たちを河野圭(pf)と黒田晃年(g)と共に届けていく。「ようこそキネマ倶楽部へ。……クマキネマ倶楽部!」「聴きたかったあの曲やあの曲は歌いません!」と相変わらず自由なMCも挟みつつ、さらには「(私の曲は)どっちかと言うと明るくはない。悩ましく帰るみたいなことが今日起こり得るかもしれないんですけど、でもいいじゃない。悩んで帰るライブも」と、世の大半のアーティストが「今日は日頃の悩みを全部置いて帰ってください!」的なことを発するのに対し、その真逆を行くという前代未聞の、でも熊木杏里らしい発言も飛び出した。
<今は深く悩んでいる時期。ゆえに期待できる変化していく自分。>
中盤では「ずどーん。生き方から何から全部変えなくちゃいけないんじゃないかぐらい、すごく落ち込む時期が4年にいくらぐらいか分からないですけど、私は結構あるんですよね。今はそうなのかなと思うぐらい悩んでて。まぁ悩んでるぐらいは結構幸せだなって思うんですけどね。こうしていかなきゃと思える未来が見えるからこそ悩んでるんだと思うんだけど……」と心情吐露しながら、今またここから変化していくであろう自分に期待しつつ「林檎の芯」なる楽曲を披露。人生の転換期に名曲や名盤を生み出してきた熊木杏里にとっては、人生の苦しみはダイレクトに糧。そのことを再認識させる歌が響き渡り、今後の熊木杏里が発表する音楽への期待値もぐんと上昇させた。
<上手く結論が出ないものがすべて“生きているがゆえ”に繋がる>
なお、熊木杏里は、12月17日にオリジナルフルアルバム『生きているがゆえ』をリリース。タイトルからして重厚感があり、この日のMCでも「今の自分を、とにかく今を投入しようと思って。32歳という年齢になったときに感じる、やるせないなぁと思うこととか、でも誰かを好きになったり愛することとか、家族みたいなものも、全部それもこれも“生きているがゆえ”なのかって、上手く結論が出ないものがすべて“生きているがゆえ”に繋がるのかなと思って」と語っていたが、こちらの完成も楽しみである。この日のライブDVDも付属されるそうなので、ぜひチェックしてみてほしい。
取材&テキスト:平賀哲雄
撮影:内山直也
◎ライブ【熊木杏里Live from Works】
11月07日(金)東京キネマ倶楽部 SET LIST(2部):
01.月読の詩
02.教室
03.魚
04.四季
05.幻
06.月の傷
07.林檎の芯
08.波
09.私が見えますか?
10.春馬
11.幸せを育てよう
12.この道
En1.羽
En2.今日になるから
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