2014/10/14
鮮烈なデビューから5周年を迎えた阿部真央。その集大成として10月10日 自身初となる日本武道館公演【5th Anniversary 阿部真央らいぶ2014@日本武道館】を開催した。
<女性シンガーソングライター界の怪物、日本武道館に立つ>
今から5年前、エモーションの限りを尽くした歌声と生々しい歌詞、一度耳にしたら忘れられないメロディーで、リスナーに衝撃を与えた女性シンガーソングライター界の怪物 阿部真央。目まぐるしく激動する音楽シーンの中で、その独自路線をブレることなく突き進んできた彼女の日本武道館ワンマンは意味深く、会場には8000人超の観客が集結した。開演前から巻き起こる「あべま!」コールを受け、時計の針が進む音と共に登場したこの日のヒロインは、序盤から「ふりぃ」「貴方の恋人になりたいのです」等の人気メンバーを惜しみなく連発し、最初のMCでは「いつものようにおちゃらける余裕がないぐらい感動しています。最後まで楽しんで下さい」と、5年間にわたって自身の楽曲を愛してくれた“仲間”とも呼べる8000人に微笑んだ。
<母への想い“今までの事思い返すと 涙滲むのはどうして?”>
中盤では、10月22日リリースの最新シングル曲「それぞれ歩き出そう」(映画『小野寺の弟・小野寺の姉』主題歌)をライブ初披露。「ウチは母子家庭で、母親ひとり子ひとりで育ってきたんですけど、そういう境遇だと“私がいたせいでこの人の一番良い女性としての時間を奪ってしまったんじゃないか”とか考えたりして、育てられた側としては非常に責任感を感じる訳ですね。(中略)“今までの事思い返すと 涙滲むのはどうして?”というサビのフレーズがあるんですけど、本当に私と私の母の今までを思い出すとちょっとウルウルしてしまう」
「ケンカの弾みで1回だけ突き飛ばしちゃったことがあるのね。母のことを。まさかさ、倒れると思わなくて。あれ、いつの間にお母さん、こんなにちっちゃくなっちゃったんだろうって。私の体のほうがいつの間に大きくなっちゃったんだろうって、物凄く反省したんですよ。そういうことがあって、本当にキレイなことだけでは語れないけれども、それでもやっぱり愛があるし、家族だし、切っても切れない素敵な関係っていうかね。なので、これからも一緒に……というよりはそれぞれ見守りながら歩いていこう。そういう気持ちを込めて……」と、同曲を歌い出したのだが、思わず涙で声を詰まらせてしまう。
<「84歳の65周年記念(笑)。がんばります」>
それでも必死に気持ちをコントロールしながら歌い上げると、その後も溢れ出てしまったエモーションを歌に乗せたまま全力疾走。「今日“蹄”のネックレスをしてるんですけれども、私、午年生まれで、今年年女で、今回“蹄”のマーク(ステージで)使わせて頂いたんです。(中略)阿部真央が年女で、かつ阿部真央のアニバーサリーイヤーって次はいつなのか、計算したの。そしたらね、84歳の65周年記念(笑)。がんばります。84歳でもギター背負います」と笑いを誘いながらも、まだまだ歌い続けることを示唆した彼女は、本編最後にみんなと「ロンリー」で飛び跳ねまくる。
<自分が嫌いだった阿部真央×あれから5年経った阿部真央>
阿部真央の5周年の歩みを辿るライブ映像が流れ、その最後に5年前の大分でのライブを上映。「私は今までこの大分で生まれ育ってきて、18のときに上京したんだけど、18年間、すごく自分のことを嫌いだったわけ。でも歌を始めて、こうやって皆さんに出会えてライブが出来たり、CDを出すことによってさらに大勢の人に曲を聴いてもらえたりして、いろんな人と出会ってパワーをもらっていく中で、やっと二十歳になった今、私は自分を認めてあげられそうなんですよ。よく生きたねと……」この5年後に日本武道館のステージに立った彼女は、当時も披露した「モンロー」でアンコールをスタート。自分を、誰かを、みんなをちゃんと愛せるようになった阿部真央が笑顔で歌う。美脚が眩しいチャイナドレス姿で。
<「嫌なことも死ぬほどいっぱいあったけど!」>
「本当にこんなスペシャルな場所で皆さんと一緒に5th Anniversaryのライブすることができて嬉しいです。この5年間は、さっき恥ずかしいライブMCの映像とか出てましたけど、いろんなことがやっぱりあってですね。“もう阿部真央、本当にダメなんじゃないかな”とか思ったこともありましたし、5年間続けられないと思ってたんですよ。すぐにいなくなると思ってたんですけど…………“これはもう本当に無理だ!”って思うときもすごいいっぱいあったし、今年もあったし、一人で切羽詰ってたんですけど、でもそんなときに必ず助けて下さったのは皆さんで。たくさんの人に育てられて、たくさんの人に支えられた5年間だったなと思います」
「こうやって5年間メジャーに身を置いて、CDをリリースして、ライブをさせてもらえる環境を5年目にしてまだ保ててるからこそ思うのは、本当にいろんなことを学ばせてもらった5年間だったな。そういう意味では、嫌なことも死ぬほどいっぱいあったけど! めちゃめちゃあったけど……良い5年間だったなと思います。こうやって皆様とこの場所で顔を合わせられることでもう全部チャラ!」
<戦い続けてきた、戦い続けていく人の歌声。愛の叫び。>
生々しくて、痛快。実に阿部真央らしいメッセージの後は「武道館でこの曲が歌えるとは! 本当にウチの母親もビックリだと思います。フフフ。それでは聴いてください。「母の唄」」と、自身のライブで必ず最後に弾き語ってきた未音源化楽曲「母の唄」を熱唱。感極まって消えてしまいそうな声をシャウトに昇華して歌いきった姿は、初めて彼女のライブを観たときの衝撃に勝るものだった。戦い続けてきた、戦い続けていく人の歌声。愛の叫び。
なお、阿部真央は、2015年3月10日 地元・大分iichikoグランシアタを皮切りに5月31日 東京国際フォーラムホールAまで23公演を廻る全国ツアー【阿部真央らいぶNo.6】を開催。まだまだ終わらない、少なくとも84歳まで続く(?)彼女のストーリー。いつまでも注目してほしい。
取材&テキスト:平賀哲雄
◎ライブ【5th Anniversary 阿部真央らいぶ2014@日本武道館】
10月10日(金)日本武道館 SET LIST:
01.Believe in yourself
02.ふりぃ
03.貴方の恋人になりたいのです
04.19歳の唄
05.マージナルマン
06.貴方が好きな私
07.15の言葉
08.キレイな唄
09.Don’t leave me
10.morning
11.always
12.for ロンリー
13.それぞれ歩き出そう
14.loving Daring
15.世界はまだ君を知らない
16.want you DARLING
17.戦いは終らない
18.いつの日も
19.伝えたいこと
20.モットー。
21.ロンリー
En1.モンロー
En2.I wanna see you
En3.ストーカーの唄~3丁目の、貴方の家~
En4.母の唄
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