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2014/09/14 12:00

“若きポップ冒険者”キンブラの日本デビュー盤、ビッグ・ネームが挙って後押しするその魅力を分析

 キンブラと言えば、2011年にゴティエ「Somebody That I Used to Know」に客演し全世界のチャートを席巻したニュージーランド出身の女性シンガー・ソングライター(ゴティエが、来日公演の折に流暢な日本語で「キンブラさんは来ていません。スミマセン」と言っていたのは可笑しかった。キンブラはジョン・レジェンドの最新作『Love in the Future』にも1曲参加している)だが、彼女の2作目となるアルバム『The Golden Echo』が、9月10日に日本盤リリースされた。本作はキンブラの日本デビュー作だ。

 アルバム・タイトルそのままの、刺激的なシンフォニーのように美しく広がる楽曲といい、それを掻い潜って届けられる、ときに甘く愛らしい、ときに尻込みしてしまうほどの迫力でソウルフルに響く歌声といい、先鋭的であることを恐れない見事なポップ・アルバムに仕上げられた本作だが、さすがに「Somebody That I Used to Know」の影響力は絶大だったようで、世界中の音楽シーンを代表するアーティストたちとのコラボレーションも興味深い内容になっている。さながら、世界中のアーティストたちがキンブラというポップ・アイコンの登場を、諸手を上げて歓迎しているような趣だ。

 バウンシーな楽曲に乗せて、MJ(マイケル・ジャクソン)やニルヴァーナ、TLCのレフト・アイら今は亡きスターの名を挙げポップ・ミュージック体験を振り返る「90s Music」。この曲ではギターにマシュー・ベラミー(ミューズ)、キーボードにマーク・フォスター(フォスター・ザ・ピープル)らが参加している。キャッチーなディスコ・チューン「Miracle」には、共作者&ベース奏者にL.A.ビート・シーンでも大活躍のスティーヴン・“サンダーキャット”・ブルーナーがクレジットされているが、サンダーキャットらしい変態バカテク・ベースが炸裂するのはむしろ実兄ロン・ブルーナー・ジュニアが携わった「MADHOUSE」の方だ。その他にもヴァン・ダイク・パークスやビラル、オマー・ロドリゲス=ロペスらが参加しており、スウィートかつグルーヴィーなR&B「Nobody But You」でピアノを奏でているのはジョン・レジェンドである。

 話題性というよりも、あくまでキンブラの音楽に寄り添うように、『The Golden Echo』に携わっているビッグ・ネームの数々。中でも重要な役割を担っているのが、オーストラリアでは国民的バンドだったシルヴァーチェアーの中心人物=ダニエル・ジョーンズだ。キンブラにとって幼少時からのスターだったというダニエルは、本作収録の多くの楽曲を共作し、コーラスや楽器演奏も含め八面六臂の活躍で貢献している。シルヴァーチェアーは残念ながら現在、活動休止中ではあるけれども、名ソングライターとしてのダニエルを知る人ならば、キンブラ×ダニエルの作曲マジックが育んだクオリティの高さにも頷けることだろう。

 ビッグ・ネームたちが挙って後押しする、若きポップ冒険者。『The Golden Echo』を通して見えてくるのは、キンブラのそんな姿だ。この作品が国内のリスナーに広く聴かれた暁には、ぜひとも晴れての来日公演に期待したいところ。

Text:小池宏和

◎リリース情報
『ザ・ゴールデン・エコー』
2014/09/10 RELEASE
WPCR-15877 2,200円(tax out.)

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