2014/08/12
チャーリー・XCXによるニュー・シングル「Boom Clap」が、The Billboard Hot 100でじわじわとチャートを上昇し、リリース9週目現在で11位につけている。ちなみに本国UKチャートでは最高位6位と、揃ってキャリア最高位の記録。ただしこれはソロ名義の話で、スウェーデンの女子エレクトロ・ポップ・デュオであるアイコナ・ポップの「I Love It (feat. Charli XCX)」(2012)ではUK1位、そして今年話題沸騰のオーストラリア出身フィメール・ラッパー=イギー・アゼリアによる「Fancy (feat. Charli XCX)」ではThe Billboard Hot 100で1位を叩き出しており、作曲/ヴォーカル参加の活躍が光っていたこともあって、チャーリー・XCXの名前は既に広く浸透している。
あらためて紹介すると、チャーリー・XCXことシャルロッテ・エマ・エイチスンは英国・ハートフォードシャー州出身で、この8月に22歳になったばかりの若きシンガー・ソングライター。2008年に2枚のシングルとアルバム『14』でデビューを果たした。14歳のときに両親に借金をして制作したというこれらの作品は、ほぼ当時のライヴ会場で販売が行われたのみだったが、2010年にメジャー契約を果たして以降、特に楽曲提供した前述のアイコナ・ポップ「I Love It (feat. Charli XCX)」が各国で大きな反響を呼び、2013年にはソロ2作目となるアルバム『True Romance』をリリースしている。
4月にリリースされたシングル曲「Boom Clap」は、タイトル・コールが鮮烈なフックとなってビートとシンクロしながら耳に残るナンバーであり、こういったキャッチーなフックを盛り込む作曲術はチャーリー最大の魅力。歌詞がまた、若いながらに奥ゆかしい情緒の込められたラヴ・ソングだ。重たい瞼が印象的な美貌のチャーリーが歌うMVも、極めてロマンチックで官能的である。実はこの曲、ヒラリー・ダフへの提供曲として用意されていたのだが、ヒラリーが断ったためにチャーリー自らヴォーカル録音し、結果的にはヒット街道まっしぐらとなった。
また、「Boom Clap」は、エド・シーランやジェイク・バグ、コーダラインやリッキ・リーの楽曲と共に映画『The Fault In Our Stars』(日本公開は未定)のサウンド・トラックにも使用されており、癌を煩ったティーンエイジャーふたりの恋物語(とはいえ、ユーモアやウィットにも富んだ奥深い作品らしい)同様に興味深い音源作品となっている。チャーリー・XCXは、Billboard Music Awards Red Carpet 2014に出席した際のインタヴューで、来る新作は「パンクにインスパイアされた」作品になると語っている。海を越えて、エレクトロ・ポップもヒップ・ホップも繋げてしまうガール・パワーとしての「パンク」。このキーワードが実際のサウンドとしてどのように響き渡るのか、今からとても楽しみだ。
Text:小池宏和
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