2014/06/26
2013年にメジャー・デビューを果たした、ニューヨークのピアノ・ポップ・デュオであるア・グレイト・ビッグ・ワールド。米本国では今年1月に発表され、The Billboard 200で最高位3位をマークした彼らのアルバム『Is There Anybody Out There?』の日本盤が、いよいよ6月25日にリリースを迎えた。
ア・グレイト・ビッグ・ワールドの成功譚は、この二人が現代ポップ・カルチャー最高のシンデレラ・ボーイズであることを示している。まず、メンバーのイアン・アクセルがソロ名義で発表した楽曲「This is the New Year」が人気TVドラマ『Glee/グリー』のシーズン4でグリー・キャストによって歌われると、その頃にイアンは創作パートナーのチャド・ヴァッカリノと正式にア・グレイト・ビッグ・ワールド名義の活動をスタートさせる。また、イアン名義の美しいバラードのシングル「Say Something」 はダンス・コンテスト番組の課題曲として話題になった。同曲に触れて感銘を受けたクリスティーナ・アギレラは、ア・グレイト・ビッグ・ワールドにラヴコールのメールを送り、それをきっかけに両者はコラボ・ヴァージョンの「Say Something」をレコーディング。シングルとして、The Billboard Hot 100で最高位4位にまで登り詰めた。2013年末のア・グレイト・ビッグ・ワールドは、マルーン5のライヴにオープニング・アクトとしても抜擢される。
TV番組やトップ・スターたちの後押しがあったとはいえ、まるでローラーコースターのように急展開を見せた上記のストーリーは、実に1年にも満たない期間に起こったことだ。ア・グレイト・ビッグ・ワールドは、今時珍しいぐらいダイレクトに音楽の力で人々の心を揺さぶり、状況を一変させてしまったグループなのである。アルバム『Is There Anybody Out There?』は、<僕はただロック・スターになりたいだけ/ロック・スターになるために生まれて来たんだよ>と確信のフレーズを歌い上げる「Rock Star」で幕を開け、中盤では「Say Something」、「You’ll Be Okay」という珠玉のソウル・バラードが2連発。その直後に放たれる「Everyone is Gay」はタイトルどおりメッセージ性に満ちたナンバーで、スパークスかベン・フォールズ・ファイヴを彷彿とさせるヒネリの効いたピアノ・ポップ・チューンとなっている。
そう、極めて耳馴染みの良い美メロで届けられるア・グレイト・ビッグ・ワールド楽曲の数々は、実は音楽的に洗練されたフックやアレンジが周到に練り込まれた作品群でもある。いつの間にかするすると歌の旅路に引き込まれてしまうアルバムの作風は、彼らの自己表現の奥深さを示してもいるだろう。「Say Something」はオリジナル・ヴァージョン(ア・グレイト・ビッグ・ワールド名義)とアギレラとのコラボ・ヴァージョンをそれぞれ収め、更に日本盤では、ボーナス・トラックとして同曲のエディット・ヴァージョンも収録している。
今夏、【SUMMER SONIC 2014】では大阪(8/16)、東京(8/17)の両日、初来日にして各会場の最大規模ステージに登場予定のア・グレイト・ビッグ・ワールド。また、全国のタワーレコードでは『Is There Anybody Out There?』国内盤購入者を対象に、抽選で300名をプレミアム・ショーケース(8/19 @タワーレコード渋谷店)に招待する企画も発表されている。2014年の壮大なピアノ・ポップに生で触れる機会、ぜひ注目して欲しい。
Text:小池宏和
◎リリース情報
『イズ・ゼア・エニバディ・アウト・ゼア?』
2014/06/25 RELEASE
EICP-1610 1,944円(tax in.)
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