2014/06/12
すでに報じられているとおり、イギー・アゼリアのシングル「Fancy feat. Charli XCX」がThe Billboard Hot 100でずずいっとチャートを昇り詰め、2週連続のトップに輝いている。それに続く第2位はアリアナ・グランデの「Problem feat. Iggy Azalea」ということで、イギーの飛ぶ鳥を落とす勢いが伝わるチャートだ。ちなみにイギーのデビュー・アルバム『The New Classic』は、リリース6週で最高位3位、現在もトップ10圏内に収まっている。
オーストラリア出身、ブロンド・ヘアをなびかせるフィメール・ラッパーのイギー・アゼリア(本名アメシスト・アメリア・ケリー、現在24歳)は、十代も半ばの頃に「友達と旅行に行く」と家族に言い残して渡米、そのまま帰らなかったという。当初はフロリダ、その後は南部を移り住みながらラッパーとしてスキルを磨き、活動を続けていた。彼女のラップに南部訛りが確認できるのはその時期の名残のようだ。エイサップ・ロッキーと交際していたこともあり、ダーティ・サウスの雄T.I.のレーベル=グランド・ハッスルからフリー・ダウンロードのEP『Glory』(Glory)もリリースしていたが、そのT.I. がエグゼクティヴ・プロデューサーを務めたアルバム『The New Classic』は、レーベル契約の紆余曲折を経て2014年5月にメジャー・リリースされた。
ティーンエイジャーの頃から鉄砲玉のように破天荒な経歴を刻んできたイギーだが、『The New Classic』で彼女が乗りこなすトラック群は、バウンシーなサウス・ヒップ・ホップにUKグライム~ダブステップの要素も取り入れた、極めてスタイリッシュな内容だ。リード曲として2月にリリースされた「Fancy feat. Charli XCX」もざっくりとしたエレクトロ路線のキレの良さが際立ち、MVではチアリーディングやドライブ、クラブといったエネルギッシュで享楽性たっぷりなカレッジ・ライフを描き出しつつ、若いリスナーのハートを掴む内容になっている。ソウルフルなコーラス・パートを歌うチャーリー・XCXもUK出身のシンガー(一方、「Problem」のアリアナはフロリダ出身)であることから、米国内外出身の新世代ガールズ・パワーが結託して米チャートを引っ掻き回す、という痛快な構図が出来上がっているわけだ。
“ファスト・レーンに乗って飛ばしているのよ、L.A.からトーキョーまで”というフックが示すように、ハナから全世界の若者を焚き付けるために轟いている「Fancy」。口角をひん曲げて不敵な表情でラップするド根性娘の活躍に、要注目だ。
Text:小池宏和
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