2014/05/30
UK出身のシンガー・ソングライター、エド・シーランのシングル「Sing」が、Billboard Hot 100でリリース後6週に渡り15位前後をキープしている。3年前の2011年にメジャー・デビューし、流麗なメロディでドラッグ中毒に苛まれる少女の物語を紡いだファースト・シングル「The A Team」が話題を呼んだエド・シーランは、現在23歳。10代の頃からギター一丁を担いで半ば放蕩者のようにライヴ活動を行い、作品を自主リリースし続けてきた筋金入りの「ストリートの語り部」だった。
肌に染み入るような寒さと、恋や酒に溺れる心を美しい歌の数々へと昇華させてきたエドは、デビュー・アルバム『+(プラス)』のヒットや大型フェスの出演など、快進撃を続ける。ワン・ダイレクションのアルバム2作品に楽曲を提供して活躍を支え、またテイラー・スウィフトからラヴ・コールを受けて彼女のアルバム『Red』(2012)で「Everything Has Changed」(2013年にシングル・カット)を共作&デュエットしている。
そんなふうに、フォーキーなシンガー・ソングライターのスタイルで知られるエド・シーランだったが、6月にリリース予定のニュー・アルバム『x(マルティプライ)』からのリード・シングル「Sing」では、それまでのイメージを覆すほど新鮮な感触の曲調で驚かせてくれた。共同ライターとしてクレジットされているのは、昨年のダフト・パンクとのコラボから自身の新作アルバム『G I R L』にかけて、今まさに新たなキャリアの黄金期を迎えているファレル・ウィリアムスだ。
「Sing」では、これぞファレルというファンキーなリズム・トラックにギターが跳ね、情熱的なメロディ・ラインを巧みに鮮やかに歌いこなしてゆくエドの姿が浮かび上がる。何より、どキャッチーにして大合唱不可避のコーラス・パートは、トップ・スターの仲間入りを果たしたエドに相応しい時間だ。ファレルのプロデュースは、エド・シーランの高度な歌唱力とスター性を引き出すことに成功している。今夏、8月6日に大阪BIG CATで、また8月8日には東京・新木場STUDIO COASTでの来日公演が決定しているエドだが、各会場を満たす「Sing」の熱い歌声が、今から目に浮かぶようだ。
ニュー・アルバム『x(マルティプライ)』日本盤は、6月25日にリリースされる。米ロック / ヒップ・ホップを股にかける大物プロデューサー=リック・ルービンの手腕にも、ぜひ注目したいところ。映画『ホビット 竜に奪われた王国』に使用された昨年のシングル曲「I See Fire」も、ボーナス・トラックとして収録される。
Text:小池宏和
◎リリース情報
『x(マルティプライ)』
2014/06/25 RELEASE
WPCR-15730 2,138円(tax in.)
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