2014/05/21
松隈ケンタ(BiS、中川翔子)サウンドプロデュースでお馴染みのロックバンド 蟲ふるう夜に。BiSの特攻隊長として活躍していたユケが、脱退後に結成した5人組バンド モルヒネ東京。この2組が5月19日 渋谷DESEOで初競演を果たした。
<モルヒネ東京 過去トップクラスに絶好調な歌声でファン扇情>
森心言 from Alaska Jamや羽根、Bryan Associates Clubと、独自路線でアンダーグラウンドを賑わしている面々が集結した同イベント。初っ端から「こんばんは、モルヒネ東京です!」とやたら高いテンションで登場したユケは、リボン柄のワンピースに金髪ショートカット姿で序盤から大はしゃぎ。「踊れる?」とキュートに問いかければ、いきなり代表曲「トウキョウナイト」で観客を揺らしていく。歌声の調子も彼女のキャリアにおいてトップクラスに絶好調で、その勢いにバンド全体のグルーヴも攻撃的になり、何かとアップダウンの激しいモルヒネ東京ではあるが、まだまだ伸びしろがあることをライブで証明してみせた。なお、良いライブができた嬉しさからか、ユケは終演後の打ち上げでも超ゴキゲン。朝まで元気に呑み倒していたらしい。
<蟲ふるう夜に 嘲笑する観客の姿も。しかし最後は涙を誘う激烈さ>
そんなパーティーピーポー色の強いモルヒネ東京に対し、蟲ふるう夜にはまず圧倒的に重くてヒリヒリするアクトで応戦。感情の乗りまくった爆裂サウンドと、明らかに進化した蟻の歌声……というより魂の叫びは、いまどきマンガでしかお目にかかれない強烈なドラマティックさを誇っており、序盤はそのあまりに真っ直ぐすぎるスタイルを嘲笑する観客の姿も見受けられたが、蟲ふるう夜にの4人は一切折れることなく、生と死の匂いを躊躇うことなく撒き散らしていく。また、その純然たるロックを「ポップスを聴いてもらったんで」と言い切る姿も粋であった。
そして「みんなは自分のことって愛してますか? 恋人とか家族とか、身近にいる存在を愛すことって意外とできちゃうんだけど、肝心な自分を愛することって意外とできないんですよね。でもどんなにあなたが感情論で語っても、どんなに知らない明日を嘆いても、どんなに劣等感を抱いても、愛していいんだよ。未完成な自分を、不安定な自分を……好きになって、愛していいんだよ」と真剣に語り、6月4日にリリースするミニアルバムから歌った表題曲「わたしが愛すべきわたしへ」には、とうとう涙する者の姿も。
<今、日本のインディーズシーンには……>
今、日本のインディーズシーンには、それこそ未完成で不安定ながらも必死にその生き様を音楽に投影し、馬鹿にされても嘲笑されても我が道を突き進み、アイドル全盛の音楽シーンへと殴り込みをかけようとしているバンドが多数存在する。やがて新たなポップミュージックの礎となるであろう可能性。ぜひ実際にその目と耳で体感してみてほしい。
取材&テキスト:平賀哲雄
撮影:内山直也(モルヒネ東京)/粂井健太(蟲ふるう夜に)
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