2014/04/08
スコットランド・グラスゴーの国民的バンド、トラヴィスの5年ぶりとなる日本単独公演が行われた。ジャパンツアー初日は大阪・なんばHatch。
1曲目はニューアルバム『Where You Stand』でもオープニングを飾る「Mother」。メンバーをピンスポットで照らしながら囁くような歌いだしでスタートし、サビの盛り上がりで一気に視界がホワイトアウト。久々のジャパンツアーの始まりを祝福するようなまばゆい光の中、客席から待ってましたとばかりに拍手&歓声が上がる。続けてライブの人気曲「Selfish Jean」でそれが手拍子&大合唱に変わり、早くも会場はトラヴィスのライブならではの温かくピースな空間に。
「ゲンキー?」と日本語で叫ぶvo.フランの優しい笑顔も相変わらず。しかし前回の来日公演と明らかに違うのは彼の顎に生えた立派な白い髭。MCでは「これね、街でサンタと間違われて子供たちの人気者になれるんだよ。」と冗談交じりに言っていたが、本当は息子のクレイ君にせがまれて伸ばしているそう。良いパパぶりも変わらない。
「今日は古い曲も新しい曲も色々やるからね」という言葉通り、最新シングル「Moving」や、99年の大ヒットアルバム『The Man Who』収録の「Driftwood」などバンドのキャリアを縦横無尽に行き来しながら新旧の名曲たちを立て続けに披露。「君たちにも手伝ってほしいんだ」と、「Warning Sign」でお客さんに3パート分(!)のコーラスをレクチャーしたり、「Reminder」では客席に口笛でイントロを演奏させたり、ファンを巻き込みながらあくまで近い距離感でライブが進む。「WhereYou Stand」ではフランが客席に降りてもみくちゃにされながらも笑顔で歌いきるという、心の距離だけではなく物理的な距離を縮めてくれる場面も。
トラヴィスの曲はタイトルがそのままサビのフレーズになっていて英語がわからない日本のファンでも口ずさみやすい曲が結構ある。後半は「Closer」「Sing」「Turn」と、まさにそんなシンガロング向けのシングル曲が並び、大音量の歌声が響く中、会場の盛り上がりが最高潮に達したところで本編終了。更にアンコールの「Flowers In TheWindow」は、メンバー四人がステージ真ん中にきゅっと寄り添い、「僕がこの曲を書いた時と同じようにベッドルームにいるような感覚で楽しんでほしいんだ」と、アンプやマイクを一切使わず、フランの生の歌声とアコースティックギター、Dr.ニールのタンバリンのみで演奏(GtアンディとB.ダギーが持て余した感じで肩を組みながら笑顔を浮かべている姿も微笑ましかった)。極上のメロディと息ぴったりのバンドアンサンブル、そして何より彼らの温かな人柄を心ゆくまで堪能できる夜になった。
同世代のバンドが次々解散や休止していく中でコツコツと確実に良い曲を生み出し続け、気づけば来年で活動20年。数多くのヒットシングル・人気曲を抱えるバンドだけに、これだけ充実したライブを終えてもなおこの日だけでは「まだあの曲が聞けていない」「この曲も聞きたかった」と心残りがあるファンも多かったはず。するとライブの最後に「また日本に帰って来るよ」とフランから嬉しいお知らせが。そう、トラヴィスは【FUJI ROCK FESTIVAL’14】に6年ぶりに出演する。今回の続きはまた今年の
夏。野外での開放的な彼らのライブも是非お楽しみに。
テキスト:FM802 鬼頭由芽
写真:古溪 一道
※写真は東京公演のものです。
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