2026/04/21 18:00
7年ぶりに、BTSと日本のARMY(ファンネーム)が再会を果たした。4月17日と18日の2日間、BTSのワールドツアーの日本公演【BTS WORLD TOUR 'ARIRANG' IN JAPAN】が東京ドームで開催された。本ツアーは、4月9日、11日、12日に開催された韓国・高陽公演を皮切りに、世界34都市85公演を予定。グループとしても、韓国アーティストとしても過去最大規模となる見込みだ。
結論から書いてしまうと、東京ドーム公演はBTSの進化やARMYとの揺るぎない絆を感じさせた、とても良いライブだった。2026年3月20日にリリースされた5thアルバム『ARIRANG』の楽曲を中心に展開されたライブは、7人の韓国人としてのアイデンティティを感じさせる要素が散りばめられており、韓国から始まった彼らの出発点、そして現在地を提示した。飾ったり、肉付けして演出することだけではなく、ルーツに返り、シンプルなことへの尊さに気づくこと。これもまた、れっきとした進化だということを具象化したようだった。また、会場の中央に設置された“360度ステージ”は、会場のどこにいようとも彼らの熱量を届ける構造になっており、一人ひとりが最高の音楽空間を生み出す当事者であることを伝えようとしているようだった。
幕開けを飾ったのは『ARIRANG』より「Hooligan」。j-hopeの切り込むようなラップに、歌詞や鋭い剣の音と連動した炎と映像演出、何よりこの時を待ちわびていたARMYの割れんばかりの歓声も相まって、ホットなパフォーマンスを見せる。「Aliens」で熱を加速させると、共に走り続ける誓いを刻んだ2022年のリリース曲「Run BTS」では、ムービングステージでダッシュしたり、Jung Kookがドローンをキャッチし、自撮り映像で美しいビジュアルを届けた。
RMの「東京叫べ~!」の声に鳴りやまない大歓声が沸き起こる。「本当に会いたかったです」(Jung Kook)、「そうですよね、たくさんのARMYが来てくれましたね。ライブストリーミングとライブビューイングで観てくださっているARMYの方も、一緒に全力で楽しんでくださいね」(V)、「僕も会いたかったです、久しぶりに新しいツアーをスタートするので本当にワクワクします。一生懸命準備した分、がんばります!」(Jimin)、「今回のツアーでは新しい挑戦をしてみました。少し慣れなくても最後まで楽しんでくれたらうれしいです」(SUGA)、「ARMYの皆さんも楽しんでくれますよね? 全力で遊べるARMY、Make some noise!!」(Jin)、「ここからもっと遊びましょうか。後悔をしないように公演を楽しんでいきましょう」(j-hope)と、それぞれが公演への想いを伝え、再びパフォーマンスへ。
『ARIRANG』の楽曲に続き、比較的序盤にセットリストに組み込まれた代表曲の一つ、「Fake Love」は2018年にリリースされた、米ビルボード“Hot 100”で初登場10位を記録し、K-POPグループとして初の全米TOP10入りを果たした曲だ。彼らにとっても、長く楽曲を愛してきたARMYにとっても、思い出深い曲であるのだろう。Jiminの美しい情緒的な高音や、RMとJung Kookの掛け合い、訴えかけるような真っ直ぐなJinの歌声らに、ARMYの掛け声が合わさり、両者の関係値に支えられるようにして、あの頃の楽曲たちもその響きを変化させていた。
白い布を纏ったダンサーがメンバーを囲み、布が波のように動き神秘的なムードの中、『ARIRANG』のタイトル曲「SWIM」へ。滑らかなダンスを、水底を照らすように差し込んだ光が照らし、続く「Merry Go Round」でも幻想的な世界観を保ちながら、繰り返す苦しみや痛みを、繊細な感情を繊細なまま表現する。この演出自体が、生きていくための何かの儀式でもあるような、そんな不思議な没入感をおぼえるパフォーマンスだった。
会場全体の一体感を感じた楽曲が多々あったが、「NORMAL」もそのうちの一曲。RMが「みんな手をあげてください!」と会場をあおり、それに合わせて黄色に光るペンライトが大きく波打つ。その光景に、j-hopeも「ARMY、本当にすごいです。雰囲気がいいですね?」と満足そうな表情。そして、VとJiminがここからの怒涛のパフォーマンスを予想させるように、一緒に歌ってほしいとARMYに呼びかけ、「Not Today」「MIC Drop」とエネルギー大放出のパフォーマンスに、「FYA」から「FIRE」へなだれ込む構成で会場の熱量は天井知らずに上がり続ける。あまりの怒涛のパフォーマンスに座り込むJimin。Jinも「今日ARMYのエネルギーがすごいですね! 本当に最高です!」と嬉しそうな様子だ。
そして韓国の民謡「アリラン」の旋律の一部をサンプリングした「Body to Body」、スクリーンに景福宮の勤政殿が映し出され、ダンサーを引き連れた7人が会場を1周し、パレードのように練り歩いた「IDOL」では、音楽を分かち合うことの喜びに満ちた、見事な一体感を生み出した。世界で活躍する彼らの今、それは自分たちのルーツに目を向け、ARMYとともに歌い、集まり、歩き続けること。そうして進化していくのだという、BTSの力強い宣誓を受け取った気がした。
SUGAがプロデュースを手がけた「Come Over」で壮大なサウンドスケープを演出すると、「皆さんの隣の家の犬、ポチでも知っている曲」(RM)という紹介をはさみ、「Butter」「Dynamite」と大ヒット曲を連発。「Dynamite」のJung Kookの歌い出しを会場中が聞き入るあまり、一瞬静かになっていたことに彼も笑っていたが、しょうがない、それくらい、待ち望んでいたのだから。そして「Save ME」と日本オリジナル曲の「Crystal Snow」では、圧巻のシンガロングが繰り広げられ、メンバーも笑顔で会場中を見渡したり大きく手を振ったり、彼らとARMYが作りあげた、特別な幸福感に満ちた時間を過ごした。
あっという間に最後の挨拶へ。SUGAは「こうして久しぶりに東京ドームに来て、皆さんと楽しみながら公演をしていたら、昔に戻ったような気持ちになりました。これからもっと頻繁に来たいと思いますので、皆さんこれからもたくさん楽しい時間を作りましょう」と次回の日本公演を期待するコメントをすると、Jung Kookは「本当に来たかったんですけど、忙しくて…(笑)ようやく来ることができましたが、申し訳ない気持ちもあるし、待っていただいてありがたいなとも思います。たくさん話したいことがあります。いつも変わらない歓声と笑顔で迎えていただいて、僕たちも力をもらったような、報われたような気分になります。今日もそれをすごく感じられてステージをしながら笑顔がこぼれてしまうようでした。皆さんから力をたくさんもらって感謝しています」とARMYへの想いを伝えた。
Jinは「ライブ中にいろんな時間がありましたが、この時間をすごく待っていました。皆さんに僕の愛を込めた投げキスをお届けできる、この時間をです!」と話し、熱い投げキスを贈った。RMは、プライベートで東京に訪れた際に日本のARMYのことを考えていたことを伝え、「こうしてまた来ることができて本当にうれしいですし、光栄ですし、幸せです。今まで待っていてくれて本当にありがとうございます。日本の、そして東京のARMYの皆さん、心から本当に愛しています」と丁寧に語った。
Vは、「僕たちは友達だから、今からタメ口で話すね。昨日ラーメン食べた! もし日本でおすすめのお店があったら僕にメッセージして! 次は僕がそのお店の常連になると思う。それから僕、日本大好きだから、ドラマを観ながら日本語の勉強をしたんだけど、新しいドラマを探してまた勉強してくるね」と友達のようにARMYに話すと、「断ってください…ARMY、僕と付き合って」と告白。東京ドームには並々ならぬ歓声が響き渡った。
Jiminは「皆さん会いたかったです。でも問題があります。軍隊に行っていたので、日本語を全部忘れました。それで昨日の夜中に手紙を書きました」と話し、ARMYへの思いを込めた手紙を「愛してるARMYの皆さん。久しぶりにみなさまに会えて、最もうれしいです」と、丁寧な日本語で読み上げ、最後はVと同様に「付き合って」と愛のメッセージを伝え、ARMYのハートを射止めた。j-hopeは、祖母が公演の直前に亡くなったと連絡を受け、驚きや動揺がありながらもメンバーと過ごしながら心の揺れを落ち着かせたことを明かした。そして「祖母は僕だけでなくメンバーみんなのこともすごく誇らしく思ってくれていたので、今日の公演を空から見て、すごく喜んでいると思います。ARMYの皆さんが素敵なものにしてくださったので本当にありがとうございますと伝えたいです。チンチャ、チンチャ、めちゃ大好きです!」と感謝の言葉で締めくくった。
ラストは、どんな状況でも一緒にいたいという率直な感情と揺るぎない確信を込めた「Please」、そしてアルバム『ARIRANG』でも最後を飾る「Into the Sun」。眠れない夜や迎えることが怖くなる朝があることを彼らは知っている、そんな彼らが作った音楽だからこそ、切なさの中に優しさと希望がこみ上げてくるのかもしれない。たくさんの拍手と歓声とこの瞬間を惜しむ声に包まれて、約2時間20分の公演はフィナーレを迎えた。
BTSは今後、北米、ヨーロッパ、南米、アジアなど世界各地を巡るほか、日本および中東での追加公演も予定されている。ルーツを抱き、前へ進む7人の旅路はまだまだ続いていく。
Text:Sakika Kumagai
Photo:(P)&(C)BIGHIT MUSIC
◎セットリスト
【BTS WORLD TOUR 'ARIRANG' IN JAPAN】
2026年4月17日(金)東京・東京ドーム
01. Hooligan
02. Aliens
03. Run BTS
04. they don't know 'bout us
05. Like Animals
06. FAKE LOVE
07. SWIM
08. Merry Go Round
09. 2.0
10. NORMAL
11. Not Today
12. MIC Drop
13. FYA
14. Burning Up(FIRE)
15. Body to Body
16. IDOL
17. Come Over
18. Butter
19. Dynamite
20. Save ME~Crystal Snow
21. Please
22. Into the Sun
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