2013/10/22
東京・六本木ヒルズにて10月25日まで開催中の第26回東京国際映画祭のコンペティション部門に選出されている『ラヴ・イズ・パーフェクト・クライム』の主演を務めるフランスの個性派俳優マチュー・アマルリックの来日記者会見が、10月21日に行われた。
『ベティ・ブルー/愛と激情の日々』などで知られるフィリップ・ジアンの原作をアルノー&ジャン=マリー・ラリユー兄弟が映像化した今作は、自身の教え子の失踪事件に巻き込まれたマチュー・アマルリック演じるヘビー・スモーカーの女好きな大学教授と彼の心の“穴”を埋める存在となる失踪女生徒の美しい継母との哀しいラブ・ストーリーを壮大なフランス山脈の景観をバックに描いた、時にはユーモラスなノワール作品だ。
前日20日のスクリー二ングにも登壇し、再び日本を訪れ、映画祭に参加してきたこと感謝したアマルリック。盟友アルノー&ジャン=マリー・ラリユー兄弟と再びタッグを組んだ作品ということもあり、彼らが撮影中でこの場に来れないことを残念がるとともに、今作に出演する決め手となった要因を語る際には、当時面識のなかった2人との偶然とも言える出会いについても触れ、「たまたま彼らの作品を映画館に観に行ったら、劇場の人に、2人なら向かいのカフェでコーヒーを飲んでいる。」と言われ、そこから様々な話をしていくうちに彼らの作品に出演するようになった経緯を語った。さらに2人について、「二つの頭を持つモンスターです。」とユーモアを交えて答えた。
また最後に、現在ヨーロッパにて問題となっている極右政権や移民規制について訊かれると、それまで穏やかだった表情が一変し、共に来日している息子を引合いに出し、2002年にロマ系の女子高校生を強制送還された際には、普段早起きが出来ない息子たちが、反対運動としてリセの封鎖に参加したエピソードを語った。そして若い世代が引き継いで行動を起こしてくれるのであれば、フランスに希望はあるが、「現在の大統領がとっているルペン氏への偽善的で生ぬるい対応には嫌気がさしている。ジャーナリストやメディアに送る抗議文をアルノー・デプレシャン監督が書いていると言うので、私もなるべく早く参加したいと思っている。」と続けた。
会見中に「私にとっては監督をすることが一番で、その時間を友人たちが盗んでいく。彼らは、私にジェラシーを感じ、俳優として自分の作品に出てくれという。すると俳優業が忙しくなって、私が素晴らしい作品を作れませんからね。」と笑いながら答えていたアマルリックだが、現在、第63回カンヌ国際映画祭にて監督賞を受賞した『さすらいの女神たち』に次ぐ監督作品を撮影中だということで、こちらの完成も楽しみにしたいところだ。
◎作品情報
『ラヴ・イズ・パーフェクト・クライム』
監督・脚本:アルノー・ラリユー、ジャン=マリー・ラリユー
原作:フィリップ・ジアン
音楽:カラヴァッジョ
キャスト:マチュー・アマルリック、カリン・ヴィアール、
マイウェン、サラ・フォレスティエ、ドゥニ・ポダリデス
INFO: http://tiff.yahoo.co.jp/2013/
Photo: (c)TIFF
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