2026/01/19 19:00
青木陽菜が、1月9日に東京・Kanadevia Hallで【1st LIVE「BLUE TRIP」】を開催した。
伸びやかでよく通る、心地よい声。堂々ギターをかき鳴らし、華奢で小柄なその体躯をフル稼働させて所狭しと駆け回るエネルギッシュなステージングにも驚嘆せずにはいられない。2023年3月より音楽活動をスタートさせており、昨年10月には初のフルアルバム『Letters』をリリースしてその高い歌唱力と豊かな表現力で話題を呼んだ、今注目のアーティストだ。そんな青木が本作を引っ提げて臨んだこの日のステージは、タイトルにも掲げられている通り、自身にとって初となるワンマンライブの晴れ舞台であり、声優という枠組みを超えた一人の表現者としてさらに音楽の道を突き進んでいくのだという決意表明の場でもあったに違いない。オーディエンスとともに彼女が作り上げた熱い夜の模様をさっそくレポートしよう。
オールスタンディングのアリーナフロアから3階のバルコニー席最後列までみっしりと期待で埋め尽くされた空間。時計の針が開演時刻を回ると同時に場内が暗転した。観客の間からたちまち起こったハンドクラップは、バンドメンバーが姿を現し、さらに少し遅れて青木本人が元気いっぱいに駆け込んできた途端、嵐と化してその登場を出迎える。「ひなぴよ!」と口々に叫ばれる彼女の愛称、ステージへと押し寄せるオーディエンスの昂揚に包まれながらギターを肩に掛けた青木はまっすぐ客席に対峙するや「会いたかったぜ、Kanadevia!」と全身全霊のシャウト。間髪入れずにほとばしった力強いバンドアンサンブル、記念すべき初ワンマンライブは彼女の1stシングル曲であり『Letters』でも1曲目を担う「wantの感情」で幕を開けた。これまで彼女が全国各地で行ってきたミニライブなどでも鉄板としてファン人気も高いこの曲、のっけからシンガロングにコール&レスポンスにとステージと客席の息もぴったりで、あっという間に会場を一つにしてしまうのだから恐るべしだ。
12月22日に配信リリースされた新曲「Shout it out!」を立て続けに投下すると青木はいっそうアッパーにはじけた歌とギターでオーディエンスを牽引。次の「カラフルエモーション」では一旦ギターを降ろしたものの、ハンドマイクで前のめりな歌声を響かせてさらに熱狂をブーストさせる。ギターを激しくプレイしてもマイクを持って動き回ってもまるでブレない体幹といい、瞠目必至の声量といい、透明感のなかにも太い芯を感じさせる声質といい、シンガーとして図抜けたポテンシャルを惜しみなく見せつける青木。もしも声優アイドル的ライブをイメージしているとしたら、いきなり横っつらを張られるくらいの衝撃を喰らうこと間違いない。
「本日は誠にありがとうございます! 初めての方もいつものみなさんもみんなが楽しめるライブにしたいと思います。アルバムの曲を全曲やるので、ついてきてください!」
そう呼びかけて突入したのは楽器をアコースティックギターに持ち替えてのエモーショナルなブロックだ。困難が立ちはだかろうとも、心のまま、等身大の自分で夢を追いかけていく覚悟を歌い上げた「BLUE BUD」から、さらに鋭く狂騒に斬り込んだロックチューン「独奏Showtime」で見せたアグレッシブなパフォーマンス、特に<It's my turn! 後戻りはしない>と最後のサビを歌いながら高く足を蹴り上げた華麗な身のこなしに目をみはらずにいられない。かと思えば続く「天色」では姿勢を正し、切なさをはらみつつも張りのあるパワフルな歌声でオーディエンスを魅了。アコギには弾き語りのイメージも強いが(実際、前述したミニライブでは弾き語りスタイルで行われることも多かったようだ)、この日、青木が紡いだ音色はバンドサウンドの柱となってKanadevia Hallに朗々と鳴り渡っていたのが印象的だ。ちなみに使用されたアコギは彼女が愛用するギターメーカー、MORRIS GUITARSの提案により青木仕様にカスタムしたものであり、この日が初お披露目だったらしい。MCの際、新しいギターを紹介する彼女の嬉々とした口ぶりに深い音楽愛が滲んでいたことも付記しておきたい。
雲海のようにステージの床に立ち込めるスモーク、満天の星空を彷彿させる映像と照明による幻想的な演出がバラードの美しさをより際立たせた曲「夢浮橋-ユメウキハシ-」など聴かせることに重心を置いた中盤から一転、なだれ込んだ後半戦は再びロックモード全開。「Shout it out !」と同日に配信リリースされた新曲「ロック御中」はことさらに挑発的で、このライブ後に公開となったミュージック・ビデオでも使っているという赤いテレキャスターをこれでもかとばかりに弾き倒す青木のなんとも幸せそうな表情が、また客席のボルテージをグングンと上げていく。
「今日、ここに集まったみなさんは音楽のことを愛している人だと思っています。ひなぴよの音楽が最高だとキヅイテしまったみなさん、楽しみたい気持ち、日頃のストレス、鬱憤、全部私の音楽にぶつけてください。何も考えなくていい。すべて忘れて全力で騒げ!」
たたみかけるように披露された「マズルフラッシュ!」、ここで繰り広げられた狂騒はこの日の最高をマークしたと断言していいだろう。キュートに躍動する歌声、時折混じるドスを効かせた低音ボイス、からの、どこまでも伸びる高音のロングトーンと強靭なノドを駆使した緩急自在のボーカリゼーションは青木陽菜のまさしく本領発揮。彼女の卓越した表現力にはもちろん声優として培われたスキルも反映されているはずだが、何より青木陽菜という人間のリアルな感情、なかでも音楽に懸ける想いの真摯さがその根幹にあるから強い。青木自身も数多く作詞作曲を手がけているが、提供曲であってもやはり色濃く生身を感じるのは、すべての曲が青木陽菜にとっての自分事であり、1曲1曲にことごとくその意志が宿っているからではないか。エモーショナルな楽曲はもとより、こうしたハイテンションでトリッキーなナンバーにもきっちり彼女の意志が乗っかっていればこそオーディエンスも余計なフィルターを取り払って音楽に心を重ねることができる。ステージと客席の一体感、阿吽の呼吸とも呼びたいコール&レスポンスは見事の一語に尽きた。
アンコールでは1月5日に誕生日を迎えたばかりの青木を祝おうとスタッフチームと客席が協力してサプライズを仕掛けるなど、終始、和気あいあいとしたムードに満ちていた【1st LIVE「BLUE TRIP」】。オーラスはアルバムのラストナンバー「Letters」が飾った。「1st LIVEがこんなに楽しいのであれば、これからのライブ、これからの未来、これから出会いはさらに楽しみです」と曲に入る直前、口にしていた青木。「これは私からみなさんへの手紙」だと告げて歌われたこの曲に込められていたのは、これまでの感謝とここから先、一緒に目指したい未来への希望だ。彼女の想いに応えるようにして満場のクラップが轟く空間に銀テープが降り注ぐ。なんと晴れやかでハッピーな大団円だろうか。
宣言通りアルバム全曲を含めたトータル17曲をやり切って、去り難そうにしながら青木はステージを降りた。それは同時に、彼女の次なる旅が新たにスタートした瞬間でもあっただろう。5月から全国6都市7公演を巡るツアー【青木陽菜LIVE TOUR 2026「衝動ROCK」】が開催されること、また、今夏にはミニアルバムをリリース予定であることがこの日、本人から発表された。他にも現在放送中のTVアニメ『カードファイト !! ヴァンガード Divinez 幻真星戦編』の後半オープニング曲に未発表の新曲「ワールズエンドトリガー」が決定、3月には青木主催の対バンイベントの開催など嬉しいニュースが目白押しだ。青木陽菜にまだ出会っていないあなた、今からでも遅くはない。まずはその歌声に触れてみてほしい。
Text by 本間夕子
Photo by 西槇太一
©BUSHIM
◎公演情報
【青木陽菜 1st LIVE「BLUE TRIP」】
2026年1月9日(金)
東京・Kanadevia Hall
【青木陽菜LIVE TOUR 2026「衝動ROCK」】
2026年5月17日(日)愛知・NAGOYA ReNY limited
2026年5月23日(土)大阪・梅田バナナホール
2026年5月24日(日)大阪・梅田バナナホール
2026年5月31日(日)東京・LINE CUBE SHIBUYA
2026年6月5日(金)福岡・DRUM Be-1
2026年6月7日(日)兵庫・神戸VARIT.
2026年7月12日(日)沖縄・桜坂セントラル
関連記事
最新News
関連商品
アクセスランキング
インタビュー・タイムマシン
注目の画像