2025/11/12 18:00
声優、アーティストの花澤香菜が10月26日にビルボードライブ・ツアー【HANAZAWA KANA Billboard Live 2025】の最終公演をビルボードライブ東京で開催した。
花澤香菜のビルボードライブ公演は2023年以来、2年ぶり3度目。前回は東阪ツアーで、東京公演は本人のバースデー当日に行われ、祝福のムードに包まれた特別なライブとなったが、今回は初登場となる横浜を加えた3会場6公演に及ぶツアー。今年5月にリリースされたニューシングル『やれんの?エンドレス』のインタビュー時にツアーの意気込みを聞いたところ、「前回の公演が終わった時に、すぐにでもまたやりたいっていう気持ちになってて。私にはビルボードライブの雰囲気に合う曲がいっぱいあるので、歳を重ねてもずっとやり続けていけたらいいなと思うし、ライフワークのようにしていきたい」と意気込みを語っていた。さらに、カップリング曲「クレマティスをあなたに」は、2024年に開催された全国Zeppツアー後に「これからどう進んでいくのか。ライブを見据えて作った、ライブの景色を想像しながら歌った曲。実際にライブで歌ったらまた違う景色が見れるんじゃないかという懐の深い曲」と話していただけに、歌声が際立つアコースティック・ライブでどんな景色が観られるのか、期待に胸を膨らませて開演を待った。
横浜、大阪に続く、東京公演の最終日。<2ndステージ>の開演時間を迎えると、まずは前回と同じバンドメンバーである北川勝利(Gt.)、末永華子(Pf.)、Juny-a(Per. /As. , Ss. ,Fl.)がステージに上がり、北川が鳴らすウィンドチャイムの音色とともにミニスカートにハイヒール姿の花澤が笑顔で手を振りながら登場。「最後の公演、盛り上がっていきましょう!」と呼び掛けると、細かいパッセージの上でソプラノ・サックスとアコギ、ピアノ、3声によるハーモニーがシンフォニックな広がりを見せる「ほほ笑みモード」でライブをスタートさせた。<どんな夜もほほ笑んで歩いていく>というフレーズを躍動感たっぷりに響かせると、Juny-aがフルートに持ち替えたラテンビートの「ブルーベリーナイト」では観客から手拍子が沸き起こり、間奏ではJuny-aによるボンゴからピアノへのソロ回しで熱気が上昇。さらに、ハートの鍵を開ける“君”を探す「運命の扉」では<見つめてた?/ふと目があった?>というフレーズに合わせて、花澤が最前列に座っていた女性客をしっかりと見つめて目を合わせると、キャー!という驚きと喜びにあふれた声が漏れるシーンもあった。
大切な人との別れと感謝を綴ったR&B「YESTERDAY BOYFRIEND」 の後のMCでは、前回のビルボードライブでは大阪と東京の両公演でコケたことを振り返りながら、今回はまだ1回もコケていないことを報告。そして、「歌うのが珍しい曲もある。しっとりパートです」という言葉から、「Seasons always change」はピアノの演奏だけで歌唱。透明で凛とした歌声を響かせると、北川と末永がコーラスに加わった「インタリオ」では息遣いも伝わってくるウィスパーボイスで細やかなニュアンスを表現。花澤のボーカリストとしての魅力がダイレクトに伝わってくる時間が続いた。ミラーボールが周り、場内を青い水玉柄に染めた「青い夜だけの」では心地よいグルーブを湛えたボーカルで観客の身体をゆったりと揺らすと、関取花が提供した「おしえて」では<どうやって どうやって 長い夜を乗り越えてきたの>という悩みや葛藤を静かに熱く表現。自身のリアルな感情を歌声に刻み込んだ花澤は、歌い終えると涙ぐみながらステージ上をふらふらと歩き回り、「いい曲だな~。でも、今の私には辛すぎる!」と声をあげて、観客の笑いを誘った。
その後のMCでは「いろいろあって、横浜公演は平常心でいられないんじゃないかって不安もあって。私的にはみんなにちゃんとしたものをお届けできなかったかもしれない、ごめんなさいって思ってたんだけど、大阪公演でもやもやした霧が晴れたような感覚がありまして。歌ってるうちに、曲と一緒にだんだん自分が前に進んでいる感覚を味わせてもらった」と明かし、「私もいろんなことを諦めずに、日々、前向きに生きていきたい。この奇跡のような瞬間が生まれたのはみなさんのおかげだなと思っています。本当に本当にありがとうございます」と感謝の気持ちを伝えた。さらに、13年目を迎えたアーティスト活動を振り返り、「私の生きている感情をみなさんにお届けするのが、私にとっていいし、みんなが感じてくれるものもあるのではないかなと思いました。これからもいろんなことを精一杯、私なりに頑張っていこうと思います」と未来に対する決意を口にすると、会場からはこの日、いちばん大きな拍手が送られた。
そして、コンガとボンゴによるラテンビートに盛大なクラップが鳴り響きた「同心円上のディスタンス」で観客のテンションを引き上げると、花澤自身が女子高生の殺し屋を演じたTVアニメ『忍者と殺し屋のふたりぐらし』のオープニング主題歌「やれんの?エンドレス」では花澤が踊りながら歌うと、サビでは観客は手が上げて盛り上がり、ライブはクライマックスへ。ライブが終わり、また別々の日常へと歩き出していくそれぞれの明日への背中を押すバラード「クレマティスをあなたに」で<さよならって言葉/今はまだ使いたくなくて>というフレーズを心を込めて、ほほ笑みを湛えた表情で歌い上げ、心地よい余韻が広がる中で本編はエンディングを迎えた。
アンコールでは<1stステージ>のオープニングを飾っていた華やかなサンバナンバー「It’s My Thing」を披露。クラップと大合唱が沸き起こる中で、花澤の<いつもと違う景色が見たい>という歌に合わせてステージ後方の幕が開き、都会の夜景が出現。終演後、花澤は「きれ~い! 素晴らしすぎる演出」と口にしていたが、夜の部を観覧したファンにとっても忘れられない思い出となったはず。「もう終わりか~。寂しいな」と何度も口にしていた花澤にとって、その時その時の自身を刻み込み、前を向く契機をくれる音楽は間違いなく必要なものなのだろう。早くも次のビルボードライブ公演が待ち遠しくて仕方がない。
Text:永堀アツオ
Photo:金子 弘
◎セットリスト
【花澤香菜
HANAZAWA KANA Billboard Live 2025】
2025年10月26日(日)東京・ビルボードライブ東京 2ndステージ
1. ほほ笑みモード
2. ブルーベリーナイト
3. 運命の扉
4. YESTERDAY BOYFRIEND
5. Seasons always change
6. インタリオ
7. 青い夜だけの
8. おしえて
9. 同心円上のディスタンス
10. やれんの?エンドレス
11. クレマティスをあなたに
En1. It’s My Thing
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