2013/09/27
80年代にウルトラヴォックスのフロント・マンとして活躍、またボブ・ゲルドフとともに“ライヴ・エイド”の発起人となり、バンド・エイドの「ドゥ・ゼイ・ノウ・イッツ・クリスマス?」のソングライティング/サウンド・プロデュースを手掛けたことでも知られるミッジ・ユーロ。
2009年にはウルトラヴォックスとしての活動を再開、昨年は活動再開後初のアルバムとなる『ブリリアント』を発表したことも記憶に新しい。再編ウルトラヴォックスとしての活動も順調に続けているミッジ・ユーロだが、今回ソロとして約14年ぶりとなる来日公演が実現した。
この公演はミッジに加え、チャーリー・ラウンド・ターナー(キーボード)、デイヴ・ウィリアムソン(ベース)、ラッセル・フィールド(ドラムス)という3人のサポート・メンバーを加えたバンド編成で行われた。すでにこのメンツで今年1月に北米、4月にオーストラリアをツアーで回っており、この日のステージでもウルトラヴォックスとはやや趣が異なるものの、一体感にあふれた素晴らしいバンド・アンサンブルを聴かせてくれた。
「ノー・リグレッツ」、「ブリーズ」、「イフ・アイ・ワズ(すべての愛は君だけに)」といったソロ・キャリアにおけるヒット曲のほか、もちろん「ワン・スモール・デイ」、「ヴィエナ」、「恋はグレート・アドヴェンチャー」、「聖歌」、「ダンシング・ウィズ・ティアーズ」といったウルトラヴォックスの定番曲もバランスよく交え、さらには新作の表題曲「ブリリアント」や、彼がソングライティングとプロデュースを手掛けたヴィサージのヒット曲「フェイド・トゥ・グレイ」といったナンバーまで披露している。
各メンバーが複数の楽器を頻繁に持ち替えて演奏するウルトラヴォックスとは異なり、基本的に同編成ながらこのソロ・バンドではミッジ自身もギターとヴォーカルのみで、他のメンバーも演奏楽器が固定されていた。そのため、とりわけウルトラヴォックスの楽曲を中心に、オリジナルよりもさらにギター・オリエンテッドな質感で表現されていたのが印象的だった。
ブラウンのセットアップにきっちりとネクタイを締めた、80年代以来不変のダンディーな出で立ちで最後までステージをこなしていたミッジだが、演奏そのものもそんな彼らしいロマンティシズムやある種の完璧主義を感じさせるものだったと言える。しかしそうした完成度の高い世界観とはある意味裏腹の、ロック然としたエモーションが演奏の端々からにじみ出ていたのもまた事実で、筆者自身はそこにこそ心を打たれた。ウルトラヴォックスでなかった点にもちろん不満がなかったわけではないのだが(ウルトラヴォックスとしての来日にも大いに期待したい)、ヴェテランならではの説得力にあふれたパフォーマンスは予想以上に満足度の高いものだったのは言うまでもない。
Text:鮎沢裕之(2013/9/24 2nd stage)
Photo:JUN2
◎公演情報
日時:2013年9月23日(月・祝)~24日(火)
会場:ビルボードライブ東京
More Info:http://www.billboard-live.com
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