Billboard JAPAN


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2013/09/26

ズボンズ白熱のラストライブ&ドン・マツオ新バンド始動「やめたくてやめるわけじゃない」

 先日バンドとしてのライブ(生命活動)を終えると発表したズボンズが、9月22日に東京・下北沢BASEMENT BARにて【ZOOBOMBS Farewell Concert】を開催し、ラストライブを実施。一つのバンドの生命が終わり、一つのバンドが誕生する素晴らしいサプライズが用意されていた。

 8月21日にバンドのウェブサイトで発表された活動終了のニュースは多くのファンに衝撃を与え、チケットはもちろん早々にソールドアウト。会場にはその最後の姿を見ようと開演前からすし詰め状態。先に登場したTacobonds、Oromocto Diamondらがその興奮を煽るように熱気溢れるパフォーマンスでオーディエンスを魅了。そして、いよいよステージにドン・マツオが現れ、大きな声援が送られる。セッティングを見ていると、少し様子がおかしい。メンバー構成がいつもと違うのだ。マッタはもちろん、今日は脱退を表明したムーストップ、ピットの4人でのメンツのはずなのに。

 やっぱりいろいろ事情もあるのだろうか?など余計な思いが頭をよぎる中、バンドが準備万端とギターを鳴らして、ドンが語る「新しいバンドを組みました。The Randolf(ランドルフ)って言うんだけどね。」あまりにも唐突な報告に、とりあえずの歓声と笑いが沸く。「ギターが96ちゃん、ドラムは440、ベースはマッタ!この為にみんなに秘密にして、誰にも漏らさないようにやってきました!オーライ、エビバディ!!!!」と演奏がスタート。4人はパワフルでストレートなロックをかき鳴らす。オーディエンスも新バンド結成は真実だったことを理解し、あまりに嬉しい発表に喜びと戸惑いを隠せない様子でバンドの音に身体を預ける。

 コーラスワークやサウンドメイクにズボンズの香りがするのが嬉しくなるが、荒削りながらもバンドの放つ凄まじいグルーヴに新しい生命の始まりを感じずにはいられない。その後も「俺らはズボンズ“直系”のバンドで、2世タレントみたいなもの。でもズボンズやめたくてこのバンドやってる訳じゃないです(笑)これまでの音楽を継承したものをやりたかったから。それがこういう形になりました!」と語り、新バンド、The Randolfは怒涛のパフォーマンスを繰り広げ、計3曲を披露した。

 そして、いよいよムーストップ、ピットを含めたズボンズがセッティングを開始。メンバーが徐々に音を鳴らしで最後の演奏をスタート。既に先ほどのThe Randolfで興奮しきったオーディエンスたちとノリを合わせるようにコール&レスポンスで音楽の共有を始め、「オーライ、エビバディ!アーユーレディ?」と「Bomb The Bomb」に突入。あっと言う間に会場をファンキーでロックな空気が支配する。早々にギターの弦も千切れさせるほど全力の演奏は正に圧巻の一言。「Nobody Like You」に「Circle X」など人気曲が立て続けに投下される中で、これまでの一曲一曲がバンドとファンにどれだけ愛されているのかが窺える。マッタの彩り豊かなキーボード、ムーストップの落ち着いたベース、ピットの踊るドラムの中で、正にステージ狭しとドンが遊び、まとめ上げる。ムーストップによる「こんな一杯入ったBASEMENT BARは初めてだね(笑)」とちょっぴり皮肉も飛び出した終盤、全力の演奏に一息ついたところで、ドンがズボンズとして最後のMCをはじめる。

 何度も「やめたくてやめるわけじゃない」と繰り返し、ムーストップ、ピットの方を向いて「この人達は安定した道を選ぶ。ダッサいヤツらなんよ。腹立たしい(笑)」とこれまでの複雑な心境を赤裸々に語っていく。「俺が選択する道は恐らく、非常にオルタナティヴな道だと思うけど、“いずれは死ぬ訳やし”とも思っちゃう。つまり、これは俺の人生であって、俺がどうやっても良いというこであるとしたらば、みんなに喜ばれようが、そうでなかろうが、こういうことをやるのが一番自分にとっては充実したものになるのではないかと思っている訳です。」と自らの選ぶ道を確かめるように愛した最もズボンズを愛した男は気持ちの着地点を見つけていく。

 「ともかく、ピットでも6年近く、ムーストップは20年一緒にやってる。彼らのことが嫌いかと言えばそうでもないですね。好きです。どちらかと言えば(笑)なにしろ、俺がこういう風になったのは彼らとやってきたから。そのことは自分でも分ってるんよ。ただ、彼らの選択について俺は認められない(笑)!それは俺の立場から言わないと。嫌なんだよね、“この人はこの人の考え方があるから”っていうのは嘘ついてる気がする。殴りつけてやりたい。まぁでもこれでスッパリと縁が切れて(笑)?まぁ、でも君たちとは一緒にやって行こう!」と締めくくったような、そうでもないような。ズボンズの歴史でも最長だったのではないかと思われるMCを終え、「Doo-Bee」で再びバンドを引っ張り、オーディエンスを引っ張り凄まじい轟音をかき鳴らす。疲れ知らずに見えたドンの顔にも臨界点の様子が見え隠れし、「Highway A Go Go」でピークに達し、とうとう終わってしまうのかと思いきや「1曲やるの忘れてた。まぁ、俺の代表曲やな。神様が俺にくれた曲。人の曲をやってる気かする時もあるし。でもこれで演奏するのは最後かもしれん。でもないよりはマシか。」と「Mo' Funky」をプレイ。もはやスタンダードともいえる最高傑作で幕を閉じた。

 ドンは24日にバンドのSNSにて一つバンドの終演と一つのバンドの始まりを投稿。

 「日曜日のベースメントバーでのライブに来てくれた皆さん、どうもありがとうございます。ツアーも含め、ズボンズにとってこれ以上ない締めくくりになったと思っています。そしてボクには、どうしてもその同じ時、同じ場所で、新しい活動を宣言する必要がありました。それを好意的に受け入れてもらえて、安堵すると共に、これからまだまだやっていくことがあるのだと、未来に目を向けていけることに喜びを感じています。そのボクとマッタちゃん、ギターの96ちゃんとドラマー440からなる新バンド The Randolf(ランドルフ)も楽しんでもらえると嬉しいです。何しろ、ズボンズ直系なんだから。」

◎【ZOOBOMBS Farewell Concert】
2013.09.22(日)@東京・下北沢BASEMENT BAR
01. Boogie Down Introduction
02. Bomb The Bomb
03. Don't Diddley
04. South Central Rock
05. That's How Strong My Love Is
06. Plasticity
07. ジャンボ
08. Builbone Blues
09. Black INK Jive
10. Nobody Like You
11. Circle X
12. Amazing Grace
13. Get Baby If You Want It

En1. Doo-Bee
En2. Funky Movin'
En3. C'mon & Get Down
En4. Mojo Man
En5. Highway A Go Go
En6. Mo' Funky

◎イベント情報
The Randolf
9月29日(日)東京・秋葉原グッドマン

photo:Sam Murdock

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