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2025/08/05 18:00

<ライブレポート>FOMARE、MONGOL800を迎えた10周年ツアーファイナル 初ワンマンの地で見せた10年の蓄積

 結成10周年を迎えたFOMAREが、全国ツアー【揉みに揉まれて10周年ツアー】を開催。7月24日、東京・渋谷 Spotify O-EASTでツアーファイナル公演を行った。

 ツアー最終日にはワンマンライブを開催することが多いFOMAREだが、この日はメンバーのルーツにあたるバンド、MONGOL800とのツーマンライブが実現。「FOMARE、10周年おめでとう! まずは僕たちと遊びましょう!」と登場したMONGOL800は、キヨサク(Ba/Vo)、髙里悟(Dr/Vo)、サポートギタリストのKubotyという3ピース編成での出演となった。トランペット・サックス奏者やダンサーと一緒にライブすることも多いMONGOL800にとって、このシンプルな編成でのライブ出演は珍しい機会。さらに久々のライブハウスということで、メンバーは「こっぱずかしい」とはにかみながらも、素敵な演奏を聴かせてくれた。

 開幕は大名曲「あなたに」。もちろん最初から大合唱が起こり、力のこもった拳がフロアのあちこちから上がった。メンバーは最初、フロアを見て「第一印象、若い!」と驚いていたが、フレッシュなエネルギーを受け止め、音楽で返しながら笑顔。「いやー、FOMAREが10周年? 早い! 俺がシンスケと初めて会ったのは、群馬だったかな」とFOMAREとのエピソードを語りながら、FOMAREメンバーからリクエストされたという「煩悩のブルース」や「ドキドキ」、井上陽水「少年時代」のカバーを盛り込んだセットリストを披露した。

 中でも印象的だったのは「himeyuri ~ひめゆりの詩~」。「みんな、選挙に行きましたか?」「10年前に作った曲です。音楽じゃ何も変わりません。でも、歌い続けることが大事だと思っています」と語ったあとに歌われたこの曲には、MONGOL800が貫き続けた平和への願いが確かに込められており、オーディエンスも真剣に受け止めていた。そしてキヨサクが「世代とか関係ないなと今日改めて分かりました。ありがとう、FOMARE!」と実感を語ったあと、ラストに「小さな恋のうた」を響かせて、FOMAREへバトンタッチした。

 続いてFOMAREのライブがスタート。ツアー最終日を迎え、敬愛するMONGOL800からバトンを受け取ったアマダシンスケ(Vo/Ba)、カマタリョウガ(Gt/Cho)、オグラユウタ(Dr/Cho)は相当気合いが入っているようだと、最初の一音から伝わってきた。彼らが1曲目に選んだのは、6月にリリースした新曲「サウンドトラック」。FOMAREがアニバーサリー・ツアーに駆けつけたファンに真っ先に伝えていた言葉、それは〈ありがとう〉だった。そしてライブとはバンドがリスナーへ一方的にメッセージを伝える場所ではなく、双方向のコミュニケーションが生まれる場所。アマダが歌い始めると、観客がすぐさま一緒に歌い始めた。その歌声を聞こうと、アマダがイヤモニを外す。さらにフロアから受け取ったエネルギーに応えようと、バンドが力強いサウンドを鳴らす。

 FOMAREは盛り上がるフロアを「10周年なんで、もっと来てもらっていいですか?」と煽りつつ、まずは「Lani」「stay with me」「新しい歌」といった初期のアッパーチューンを連投。人波でフロアがうねり、熱気が立ち込めるなか、観客はどの曲に対しても演奏が始まるや否や即反応し、嬉しそうにメロディを歌っていた。楽曲の愛され具合、FOMAREとオーディエンスが10年かけて築き上げたカルチャーの豊かさが伝わってくる。

 バンドのアンサンブルも素晴らしい。3人とも今この瞬間に湧き上がる感情に素直に、情熱的に歌ったり鳴らしたりしているが、細やかなフレージングでも一音一音の粒立ちがよく、勢いに流されないテクニックも感じる。結成10年、学生時代からライブハウスのステージに立ち続け、人生の大半をバンドに注ぎ込んだ3人にしか鳴らせない音だ。5曲目の「風」はオーディエンスが「ワン、ツー!」と合いの手を入れるのが定番になっている楽曲だが、この日はアマダがその声を制していたのが印象的だった。脂の乗ったバンドの音や歌をしっかり受け止めてほしいという気持ちがあったのだろうか。それとも、決まったアクションではなく本能で来いと伝えたかったのだろうか。真意は分からないが、いずれにせよ、3人自身も今のFOMAREの輝きを実感していたはずだ。

 7曲目の「80%」までを一気に演奏してからMC。アマダは、この日の会場であるO-EASTはFOMAREが初ワンマンを行ったライブハウスであること、その時にMONGOL800のキヨサクも観に来てくれたことを明かし、「バンドを始めてよかったし、自分らの人生を音楽にして、それを求めてくれる人がいてくれるだけで素敵なのに、ツーマンって……。モンパチを独り占めできた気がしてます」と今現在の喜びを噛み締めた。そしてMONGOL800から「ハンパないバトンをもらった」と武者震いしつつ、「今この瞬間、間違いなく10年で一番カッコいいと思います」という自信とともに、「夢から覚めても」そして「君と夜明け」へ。自分たちの音楽を愛するファンに囲まれながら、憧れのバンドとツーマンという夢が実現したような状況を、FOMAREはまっすぐに受け止め、次なる歩みへの意志を示している。言葉を腹に落とすようにして歌うアマダのボーカルと、地に足のついた3ピースサウンドが、そんな想いを確信させてくれた。

 「生まれ変わっても」にはアマダが直前のMCで語った「生まれ変わってもFOMAREになりたい」という想いが込められ、「LINK」の〈同じスピードで同じ歩幅でこれから先も進んで行こう〉というフレーズは、この先も人生をともにするファンへ語りかけるように歌われた。さらに、アマダは、地元の群馬のライブハウス・GUNMA SUNBURSTで、ガラガラのフロアに向かって歌っていた頃のことを振り返りながら、「10年前は誰も歌ってなかった歌をライブに来た人が当たり前に歌ってくれて、あり得ない人生を送らせてもらってます。FOMAREはずっと僕の人生ですけど、ツアーファイナル1200人の、人生の一部になれてたら本当に嬉しいです」と、続けて「俺らのこと信じてついてきてほしいし、もっともっとカッコよくなりたいし、いろいろな人を巻き込みたいし、もっともっとカッコよくなりたいです!」と語る。2回繰り返された「カッコよくなりたい」は、彼らがライブバンドとして最も強く望んでいることだろう。

 そして「10年前に作った歌です。誰もいなかった群馬のライブハウスを思って歌います」と「夕暮れ」が披露された。曲中の〈辛くて死にたくなる時があなたにもあるでしょう?〉という歌詞からは、当時のアマダが抱いていた漠然とした寂しさと、まだ見ぬ誰かへの想いを感じ取ることができる。もしも世界のどこかにこの気持ちを分かち合える人がいるのな
らば、自分の心も少しは軽くなるのでは――と空想することは、きっと誰しもあるだろうが、今、彼はメンバーとともに、音楽で通じ合えるファンに囲まれながら、この曲を歌っている。音楽が繋いだ縁、10年という歳月の積み重ねを感じさせる場面だ。

 ラストナンバーは「愛する人」。観客同士が肩を組み歌うというピースフルな光景が広がるなか、カマタは親指を立ててフロアへナイスと伝え、アマダはマイクをスタンドごと持ち上げながらフロアに向けた。唇を結んでストイックにビートを刻み続けていたオグラも、温かな空気に顔をほころばせている。

 その後ライブはアンコール、ダブルアンコールまで続いた。そこでFOMAREは、2023年にリリースされたMONGOL800のトリビュートアルバム『800TIRIBUTE –champloo is the BEST!!2-』にも収録されているカバー「face to face」を演奏。さらに、興奮冷めやらぬオーディエンスに「知らない曲でもノれる人たち?」と尋ね、9月24日にリリースされるEP『overturn』から新曲を披露した。即効性抜群のパンクチューンだけに、フロアは新曲とは思えないほど大盛り上がり。ライブハウスにぴったりな新曲も収録されているEP『overturn』の到着、そして次の10年へと向かっていくFOMAREの活動を引き続き楽しみにしていたい。

Text by 蜂須賀ちなみ
MONGOL800 photo by SARUYA AYUMI
FOMARE photo by RUI HASHIMOTO (SOUND SHOOTER)

◎公演情報
【揉みに揉まれて10周年ツアー】
2025年6月4日(水)宮城・仙台RENSA
2025年6月13日(金)新潟・NIIGATA LOTS
ゲスト:Northern 19
2025年6月18日(水)北海道・札幌CUBE GARDEN
ゲスト:Enth
2025年6月19日(木)北海道・札幌KLUB COUNTER ACTION
2025年6月24日(火)広島・広島LIVE VANQUISH
2025年6月26日(木)福岡・福岡BEAT STATION
2025年7月3日(木)長野・長野CLUB JUNK BOX
2025年7月17日(木)大阪・大阪BIGCAT
ゲスト:dustbox
2025年7月18日(金)愛知・名古屋DIAMOND HALL
ゲスト:Dragon Ash/EVERLONG
2025年7月24日(木)東京・渋谷Spotify O-EAST
ゲスト:MONGOL800

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