2025/06/06 04:00
2025年の上半期Billboard JAPAN総合アニメソング・チャート“Hot Animation”で、TVアニメ『忘却バッテリー』のオープニング・テーマであるMrs. GREEN APPLEの「ライラック」が1位に輝いた。
アニメ初回放送後となる2024年4月12日に配信がスタートした同曲は、14週連続首位(2024年7月17日公開分~10月16日公開分)を記録するなど目覚ましい成績を残し、2024年の年間“Hot Animation”においては上半期の12位から3位へと浮上しトップ3圏内に登場。2025年度に入ってもその勢いは衰えず、上半期チャートの集計期間中は常にトップ3圏内に君臨し続けるという驚異的な成績を残している。
指標別に見ると、「ライラック」はストリーミング、動画再生、カラオケの3指標で1位を記録。CDセールスは現時点でCDシングルは未発売であるため加算なし、ダウンロード指標は惜しくも米津玄師「Plazma」に追いつかず2位に甘んじる結果となった。また、この楽曲はストリーミング指標における圧倒的なポイント獲得数が印象的だ。2位と比較してみると、ストリーミングはCreepy Nuts「オトノケ」(TVアニメ『ダンダダン』オープニング・テーマ)の約2倍ものポイントを獲得している。アニメ総合としては2位に2.2倍以上のポイント差をつけ、ダントツの首位に輝いた。
2位には、前述のCreepy Nuts「オトノケ」がチャートイン。アニメ初回放送の直前、2024年10月4日の0時から配信がスタートした本楽曲は、2024年10月9日公開チャ―トで9位に初登場。その後は順位を上げ続け、7週連続の首位(2024年10月23日公開分~2024年12月4日公開分)も記録。2025年5月7日公開チャートで初めてトップ10圏外へと順位を落としたが、引き続きチャート上位を走り続けている。指標別では、前述の通り2位を記録しているストリーミングのポイントが突出しており、動画再生とダウンロードがそれに続く形となっている。
3位は、2024年年間チャートで当チャート含む12冠を達成した、同じくCreepy Nutsの「Bling-Bang-Bang-Born」(TVアニメ『マッシュル-MASHLE- 神覚者候補選抜試験編』オープニング主題歌)に。昨年は史上初のアニメチャート24連覇を果たすなど、他を寄せ付けない圧倒的な成績を残していた同曲だが、2025年においても安定したチャートアクションが続いている。また、首位からは多少遠ざかってしまったものの、「Bling-Bang-Bang-Born」は2025年5月14日発表チャートまでトップ10圏内のポジションを継続していた。これは初登場翌週の2024年1月17日週から実に69週に渡って続いていた記録で、アニメ放送終了後も長く聴かれ続けているロングヒットぶりを象徴する数値と言えるだろう。
今回の上半期チャートでは、同一シリーズ作品のタイアップ曲が複数同時にトップ20入りしている点も特徴的だ。例えば、『映画ドラえもん』シリーズからは2024年公開の『映画ドラえもん のび太の地球交響楽』と2025年公開の最新作『映画ドラえもん のび太の絵世界物語』それぞれの主題歌(Vaundy「タイムパラドックス」、あいみょん「スケッチ」)、『薬屋のひとりごと』のオープニング・テーマからは、Mrs. GREEN APPLE「クスシキ」、幾田りら「百花繚乱」、緑黄色社会「花になって」が並び、『【推しの子】』の第1期と第2期のオープニング・テーマ(YOASOBI「アイドル」、GEMN「ファタール」)も揃って登場している。新曲が旧曲を置き換える形ではなく、新旧タイアップ曲が並行して聴かれている傾向が見て取れる。また、2025年上半期のトップ20に登場したアーティスト数は14組と前年上半期の16組を下回っており、特定の人気アーティストにアニメタイアップが集中していることも窺える。これらを踏まえると、楽曲のヒットは作品側の影響力だけでなく、アーティスト側の人気や話題性にも支えられていると推察できる。
下半期も、『ダンダダン』第2期、『SPY×FAMILY』Season 3や『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』第一章 などの人気シリーズ作品の続編や、新作アニメの放送/公開が予定されている。2025年リリースの楽曲の中で、「Bling-Bang-Bang-Born」や「ライラック」、YOASOBI「アイドル」のような圧倒的な突き抜け方を見せる楽曲の台頭はまだ見られていない。ただ、上半期4位のサカナクション「怪獣」(TVアニメ『チ。-地球の運動について-』オープニング主題歌)や5位の米津玄師「Plazma」(『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』主題歌)など、勢いを見せている楽曲も上半期チャートに登場している。下半期から当チャートの大元となる“JAPAN Hot 100”(当アニメチャートは“JAPAN Hot 100”からアニメTV/映画のタイアップ楽曲と、アニメ声優による楽曲を抽出してランキング化している)にリカレントルールが導入されたことも含め、年間チャートがどのようなラインナップになっていくのか、新たなダークホース的な楽曲が登場するのか、注目していきたい。
Text by Haruki Saito
【2025年上半期Billboard JAPAN“Hot Animation”】トップ20
1位「ライラック」Mrs. GREEN APPLE
2位「オトノケ」Creepy Nuts
3位「Bling-Bang-Bang-Born」Creepy Nuts
4位「怪獣」サカナクション
5位「Plazma」米津玄師
6位「BOW AND ARROW」米津玄師
7位「クスシキ」Mrs. GREEN APPLE
8位「UNDEAD」YOASOBI
9位「アイドル」YOASOBI
10位「インフェルノ」Mrs. GREEN APPLE
11位「百花繚乱」幾田りら
12位「Same Blue」Official髭男dism
13位「TWILIGHT!!!」King Gnu
14位「晴る」ヨルシカ
15位「タイムパラドックス」Vaundy
16位「スケッチ」あいみょん
17位「走れSAKAMOTO」Vaundy
18位「花になって」緑黄色社会
19位「ファタール」GEMN
20位「カーテンコール」優里
集計期間:2024年11月25日(月)~2025年5月25日(日)
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