2025年4月6日、雨のパレードにとって2度目のビルボードライブ公演【ame_no_parade Special Live 2025 at Billboard Live YOKOHAMA】が開催された。彼らは、今年3月に2001年生まれの新進気鋭のトランペッター、寺久保伶矢を迎えた新曲「Domino feat. 寺久保伶矢」をリリースし、今回の公演では寺久保を含む特別編成でのパフォーマンスが実現した。今回寺久保は、「Domino」だけではなく、昨年9月にリリースされた最新アルバム『Strata』の収録曲や、過去の代表曲を含めた様々な楽曲に参加。新旧の楽曲たちが、今回ならではの特別な編成によって新しい響きや輝きを放っていく、あまりにもプレシャスな時間となった。この記事では、2ndステージの模様をレポートしていく。

　寺久保、永井隆泰（Ba.）を含む計5人の特別編成でライブが幕開け。序盤に披露されたのは、最新アルバム『Strata』の収録曲の数々だ。音源を聴いた時も驚かされたが、ライブで聴くと、それぞれの楽曲のアンサンブルの“地層”の厚みが手に取るようにありありと伝わってきて、豊かさや奥深さを誇る極上のバンド・アンサンブルに早速引き込まれていく。

　特筆すべきは、やはり寺久保によるトランペットだ。「Praying Hands」では、福永浩平（Vo.）の歌と寺久保のトランペットがお互いにバトンタッチを繰り返すように響く。トランペットのファットでありながら流麗でメロディアスな調べが、楽曲が内包するエモーションを沸々と増幅していく展開に痺れた。寺久保によって、「Icarus」ではメインのテーマが高らかに鳴らされ、「paradigm」では、堂々たるソロプレイが届けられる。言葉にならない想いをメロディアスな旋律に託して伝えていくそのプレイは圧巻で、まだ3曲目にもかかわらず、今回のライブがメモリアルなものになることを確信した。過去のアルバムの収録曲「Hwyl」にも、寺久保によってフレッシュな響きがもたらされ、そして、再び最新アルバムから「Vincent Volaju」へ。先のMCパートにて、福永が寺久保に対して「（2nd stageなので）油のってるね！」と発言していたが、その言葉のとおり、それぞれのプレイは、肩の力を抜きつつ音で遊ぶ軽やかな余裕さを感じさせるもので、5人がかけがえのない一瞬一瞬を心から楽しんでいることが伝わってきた。

　ここで一度、寺久保が退場して4人編成へ。大澤実音穂（Dr.）が鉄琴を奏でた「morning」や、パワフルなバンドサウンドを豪快に轟かせた「Tokyo」をはじめ、歴代の楽曲もフィーチャーしつつ、中盤のハイライトを担ったのは、最新アルバムの収録曲「Riot」だった。大澤による変則的なリズムが不穏さを漂わせ、山崎康介（Gt. / Syn.）が轟かせる鮮烈なギターが際限なく昂っていく。曲名のとおり、とめどないエモーションが容赦なく炸裂していく圧巻の名演だった。他の楽曲もしかりだが、この曲は特にライブにおいて真価を発揮する楽曲の一つだと感じた。「count me out」あたりから、フロアの緊張が解けてきたのか、観客が体を揺らしたり拍手をしたりしながら、それぞれ自由にバンドのパフォーマンスに応えていくシーンが多く見え始めた。そうした会場全体の一体感や高揚感は「Slipping」へと引き継がれ、ここで再び寺久保がステージに呼び込まれる。

　「じゃあ後半戦も盛り上がっていってください、よろしく！」という福永の呼びかけを経て、いよいよライブはクライマックスへ。「Yellow Gold」では、再び、寺久保が奏でるメロディアスな旋律が大きな存在感を放つ。先ほど、福永が寺久保を再び呼び込む際、間違えて「ゲストボーカリスト」と呼んでいたが、その気持ちも分かるというか、寺久保はまるで"歌う"ように奏でるプレイヤーであると強く感じた。福永と寺久保による"マイクリレー"に深く魅了されつつ、その後も立て続けに5人編成で「Hallelujah!!」「(complicated)」が届けられ、本編ラストを飾ったのは、寺久保と共に制作したコラボ曲「Domino feat. 寺久保伶矢」だった。シルクのように流麗なサウンドの中で響く寺久保のトランペットは、麗しい気品を感じさせる上質な響きを放ち、思わず惚れ惚れしてしまった。アウトロでは、大澤による豪快なドラミングを受けて、渾身のトランペットソロが会場全体に高らかに響きわたり、この日の本編は熱烈な高揚の中で大団円を迎えた。

　4人編成によるアンコールでは、福永がアコースティック・ギターをかき鳴らしながら晴れやかなフィーリングを共有した「Dear Friend」、ミラーボールが回転する中でクライマックスにふさわしいシンガロングが巻き起こった「Shoes」の2曲が届けられた。総じて、2つの編成を通して、雨のパレードの新旧の楽曲群に新しい角度から光があたるような、とても素晴らしい公演だった。

Text：松本侃士
Photo：井崎竜太朗

◎セットリスト
【ame_no_parade Special Live 2025 at Billboard Live YOKOHAMA】
2025年4月6日（日）神奈川・ビルボードライブ横浜 2ndステージ
1. Praying Hands
2. Icarus
3. paradigm
4. Hwyl
5. Vincent Volaju
6. Melt
7. scapegoat
8. morning
9. Tokyo
10.Riot
11. count me out
12. Slipping
13. Yellow Gold
14. Hallelujah!!
15. (complicated)
16. Domino
En1. Dear Friend
En2. Shoes