2025/04/13 21:00
りりあ。の全国ツアー【りりあ。OneMan LiveTour2025「春歌の軌跡」】東京公演が4月1日、SHIBUYA CLUB QUATTROにて開催された。彼女にとって二度目のツアーとなる今回は、1月にリリースされたばかりの1stフルアルバム『軌跡』を携えて実施。東名阪に北海道と福岡を加えた全5都市で、全会場スタンディングによる熱いステージが繰り広げられた。
チケット完売となった東京公演は、開演前からフロアから熱気が伝わる。そんな中、定刻を過ぎると会場が暗転。竹縄航太(Key, Gt)、qurosawa(Gt)、黒川バンビ(Ba)、岩野亨(Dr)といった前回のツアーから引き続き参加するバンドメンバーがステージに登場すると、無機質なオープニングSEに乗せて踏切の警報音を思わせるサウンドが鳴り始める。すると、りりあ。がステージに姿を現し、そのままアルバム『軌跡』収録のダンスチューン「消去。」からライブはスタート。力強く深みのある歌声を響かせるりりあ。は、バンドが奏でるしなやかなサウンドに合わせてリズミカルに体を動かし、フロアのオーディエンスもクラップで一体感を作り上げ、彼女の熱演に応えていった。
「りりあ。です、今日も最高に楽しんでいきましょう!」と短い挨拶をすると、そのまま「素直になりたい子の話。」へとつなげる。ギターを抱えて歌う姿が印象的な彼女だが、この日はマイク片手に歌に専念。身振り手振りを取り入れ、感情の赴くままに歌声をフロアへ届け続ける。また、クールさが際立った「消去。」とは対照的に、この曲では笑顔でステージを楽しむ姿が印象的だった。その後も切なさが際立つミディアムナンバー「ずるい君。」、多幸感に包まれた「貴方の側に。」とバラエティに富んだ楽曲が連発され、アルバム『軌跡』で描いた歌世界を観客に追体験させていった。
4曲終えると「ここから、竹縄さんと2人でピアノとセッションしたいと思います」のメッセージに続いて、スツールに座ったりりあ。はピアノのみを伴奏に「幸せな約束。」を歌い始める。音圧のあるバンドサウンドを背に歌うそれまでとは異なり、ここでは肩の力が抜けた繊細で伸びやかな歌声が会場中に広がっていく。続く「ごめんね。」では歌詞の主人公が放つ悲痛な叫びを、感傷的な歌声で表現してみせた。
これぞりりあ。の真骨頂と言わんばかりのパフォーマンスを堪能したあとは、再びバンドメンバーが加わり「あんたなんて。」で空気を一変。オーディエンスのクラップも加わり、会場は温かな空気に包まれていく。その後のMCでは、りりあ。が「さっきはMCを飛ばしちゃった(笑)」と進行を間違えたことを告白する場面も。観客とのやり取りも積極的に行い、「おなか空いたよね。あと、トイレに行きたい(笑)」などラフな会話をする様子は、まるで気心知れた親友と世間話をしているように映った。
抜け感の強い「君の隣で。」でライブ後半戦に突入すると、りりあ。はステージから満面の笑みを届けていく。続く「騙されないからね。」では体を大きく動かしながら、今この瞬間を満喫していることを伝える。また、「恋って難しい。」では音源でAru.(ミテイノハナシ)が歌う男性パートもりりあ。ひとりで歌い通すが、曲後半の掛け合いパートではアコースティックギターを抱えた竹縄が歌に加わり、楽曲に彩りを与えた。このノリのよい1曲でフロアの熱量が一気に高まり、エンディングではりりあ。の合図で一斉にジャンプする一幕もあった。
観客からの「りりあ。ちゃん、かわいい!」の声に「ありがとう!」と笑顔で即答するりりあ。だったが、「残り2曲、気持ちを込めて歌いたいと思います」と告げると「私じゃなかったんだね。」というりりあ。の真骨頂と言うべき失恋ソングを披露。感情がストレートに伝わる彼女のボーカルに、その場にいるすべての者が惹きつけられていく。本編ラストに用意されたのは、彼女の原点と言える1曲「浮気されたけどまだ好きって曲。」。バンドアレンジで彩り豊かになったこの曲を、悲しさや切なさをにじませた歌声で見事に表現してみせ、情緒たっぷりに終わるかと思いきや、急に笑みを浮かべたりりあ。の呼びかけで最後は一斉にジャンプしてエンディングを迎えた。
その後、観客の声に応えるようにステージに再登場したりりあ。は、ダイナミックなバンドアレンジが施された「失恋ソング沢山聴いて 泣いてばかりの私はもう。」にてアンコールを始める。エモーショナルさが際立つこの曲でも、彼女の魅力的な歌声は健在。緩急に富んだ歌唱で観る者を夢中にさせた。
オーディエンスとの記念撮影で会場がリラックスモードに包まれ、ライブはここで終了するかに見えた。しかし、バンドメンバーが去りひとりステージに残ったりりあ。は「最後に1曲、弾き語りをして帰ります」とアコースティックギターを抱え、「ねえ、ちゃんと聞いてる?」を優しい歌声で観客にプレゼント。まるでさまざまなラブストーリーが詰め込まれたオムニバス映画のエンドロールのようなこの曲で、ライブは幕を下ろした。
1stワンマンライブから1年未満というりりあ。だが、表現者としてはもちろんのこと、ステージに立つ者としても一段と頼もしさが増した今回の全国ツアー東京公演。彼女のアーティスト活動第一章の集大成となるアルバム『軌跡』と今回のツアーを経て、ここからさらに進化した“アーティスト・りりあ。”の活躍に期待したい。
Text:西廣智一
Photo:飛鳥井里奈
◎セットリスト
【りりあ。OneMan Live Tour2025 「春歌の軌跡」】
2025年4月1日(火)東京・SHIBUYA CLUB QUATTRO
01. 消去。
02. 素直になりたい子の話。
03. ずるい君。
04. 貴方の側に。
05. 幸せな約束。
06. ごめんね。
07. あんたなんて。
08. 君の隣で。
09. 騙されないからね。
10. 恋って難しい。
11. 私じゃなかったんだね。
12. 浮気されたけどまだ好きって曲。
En1. 失恋ソング沢山聴いて 泣いてばかりの私はもう。
En2. ねえ、ちゃんと聞いてる?
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