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2024/11/13

MUCC、ツアー初日のYUKKEバースデイ公演&初トークライブの公式レポ到着

 2024年11月5日にZepp Shinjukuにて【MUCC TOUR 2024 「Daydream」】初日がYUKKE(Ba)のバースデイ公演として開催され、翌日には同所で昼公演、夜には初のトークライブ【MC】が開催された。以下、到着した公式レポートをお届けする。

 情報量が多過ぎて、何をどのようにここで伝えるべきなのか正直なところ少し戸惑ってしまうくらいだ。今年で結成27周年を迎えたうえ、6月にはシングル『愛の唄』で徳間ジャパンより3度目のメジャーデビューを果たしたMUCCは、ここに至るまで【MUCC TOUR 2024「Love Together」】のみならず、各フェスやさまざまなイベントライブにも積極的に参加してきたわけだが、このたび11月5日のZepp Shinjuku公演から始まり、彼らにとっての地元である12月22日の水戸市民会館・グロービスホール公演まで続いていく【MUCC TOUR 2024「Daydream」】は、それこそ結成27周年にして今までになかった新しい内容がふんだんに詰め込まれていた。

 というのも、今回のツアーについては水戸をのぞく東京・名古屋・大阪のライブハウス3会場において2デイズずつのライブが行われていくのだが、いずれもDAY-1は通常公演であるいっぽう、DAY-2は前回ツアーの渋谷Spotify O-EAST公演にて好評を博した昼公演が開催されるばかりでなく、その夜には同会場にてトークライブ【MUCC TALK TOUR 2024「MC」】が別途開催されるという、実質的に東名阪ではそれぞれ2日間で3公演を実施していくなかなかのストロングスタイルだと言えるかもしれない。

 しかも、初日の11月5日は奇しくもベーシスト・YUKKEが45歳の誕生日を迎える当日であったため、特別に【YUKKE 45 BIRTHDAY LIVE!<今日だけは許してください Daydream>】と題された場が設けられることに。ちなみに、“今日だけは許してください ”という言葉はかれこれ10年近くのいわくを持つ出来事と関係の深いフレーズで、話としては確か2015年12月8日に川崎CLUB CITTA'にてMUCCとlynch.の2マンライブ【MARCH ON THE DARKNESS】が行われた時にまでさかのぼるはず。その際に何が起こったのかと言えば、アンコールでのセッションにおいてYUKKEがlynch.のギタリスト・悠介に対して親愛の念から必要以上のコミュニケーションをはかろうとし、それにある種のジェラシーを感じたらしいlynch.のファンが、ユーモアも交えつつSNS上にて“#ゆっけ許さない”と発信したのがコトの始まりだったかと。
 
 あげく、そのわずか約20日後の2015年12月27日に日本武道館にて【MAVERICK DC GROUP presents BATTLE ARENA in BUDOKAN】が開催された時には、YUKKEがシドのベーシスト・明希に対して濃厚接触をしたうえで“今日は明希と(^・^)Chu♪ってしました。そろそろ武道館を出ますが石を投げないで下さい。#ゆっけ許さない”と、自ら投稿して見事トレンド入り。以来、YUKKEが話題となるアクションを起こすたびにSNSではファンや関係者がこぞって“#ゆっけ許さない”タグを使用してきた経緯があるのだ。 つまり、YUKKEとは夢烏(MUCCファンの総称)たちはもちろんのこと、さまざまなバンドのファンにまで広く認識されている愛すべき“いじられキャラ”のYUKKEが主役として躍動するスペシャルライブが今ツアーの初日を飾った。

「来いよ、Birthday Boy!」(逹瑯)

「<今日だけは許してください Daydream>、行くぞ新宿!!」(YUKKE)

 この記念すべき一夜の冒頭を飾ったのは、YUKKEが作曲し、逹瑯・YUKKEが作詞をした「CLASSIC」。なお、この曲が始まった時にYUKKEはいかにも主役らしくステージセンターに陣取っており、その頭上ではキャノン砲が炸裂。彼にだけ、そのキラキラしたテープが降り注ぐことになった。こんなにも局地的な銀テープを観たのは初めてだったが、おそらくそれは演出チームからのYUKKEに対する小粋なバースデイプレゼントだったに違いない。そして、当日のセトリはYUKKE自身が構成したものだったとのことで、今宵のライブではこのほかにも「ネガティブダンサー」「Violet」や「メルト」など、YUKKEの手掛けた楽曲をあれこれ聴けた点も特徴的だったのではなかろうか。加えて、「ファズ」と「秘密」ではアップライトベースのプレイがフィーチャーされていた点も見逃せない点だった。

 と同時に、このYUKKEバーステーのライブでは今ツアーで初お披露目となる新曲が3曲も用意されていたのも大きなトピックスで、それらは全て今回のツアー毎公演で演奏していくとのこと。未音源化の新曲を3曲もまとめてパフォーマンスしていくツアーというのは、27年の長いキャリアを誇るMUCCとしても初のことらしい。ヘヴィメタル感あふれるラウドチューン「新曲1」、どこかフォーキーでノスタルジックな叙情性の漂う歌モノ「新曲2」、アッパーなだけでなくキャッチーさも持ったライブ映えする「新曲3」、と方向性はバラバラであるもののどれもMUCCらしい魅力満載なので、ぜひともこれから各地の公演に参加される方たちには新曲群もしっかりと生で体感していただきたい。

「今日はこんなおっきい会場で俺のバースデイライブってことで、みんなほんとにありがとう! そういえば、ここ歌舞伎町にはいろんなお店がありますよね。ラブホテルとかだっていっぱいありますよ。だとしたら、今夜はZepp Shinjukuを大きなベッドとしようか。このベッドの上で俺のベースに抱かれてー奴はいるか!じゃあ、抱かれたくないヤツは?…そうか、半々くらいだな(笑)。どっちも全員、抱き殺してやっからよ。45歳をナメんな新宿!! 今までで一番イカせてやっから心も身体も素っ裸で来い!!! いや、違うか。いろいろ言いましたが、結局は俺がおめーらを連れてける場所はひとつしかねーな。地獄まで一生着いてこいよ!!!!」(YUKKE)

 本編が佳境に入ったところでの「YOU&I」では煽り部分でこのようなはっちゃけぶりもみせたYUKKEだが、なんとこのあとアンコールではYUKKEに対してのサプライズ企画が発動。まずは、サポートメンバーのドラマー・Allenとキーボーディスト・吉田トオルからハッピーバースデイの歌が贈られると、キャンプ好きなYUKKEのためにテントやキャンプギアをモチーフとしたケーキが登場して本日の主役は大喜び。

「そして、今日はYUKKEの本名と同じたくさんの“ゆうすけ”を集めました!」(逹瑯)

 ここで舞台へと登場したのは、摩天楼オペラのギタリスト・優介、lynch.のギタリスト・悠介(※YUKKEとは2016年からHAPPY FARMというセッションバンドで不定期に活動している仲でもある)、実は本名が“ゆうすけ”であるDEZERTのドラマー・SORA、そしてLACCO TOWERのボーカリスト・松川 ケイスケ。

「もしかして、そこまで“ゆうすけ”って多くない?」(ミヤ)

「ギターとドラムばっかなんだよ(苦笑)。だから、歌は名前の近いケイスケくんに協力してもらうことになりました。でも、今からやる曲は凄い似合うと思うんだ」(逹瑯)

 そう紹介したうえで歌い出したのは、リリカルにしてドラマティックな名バラード「雨のオーケストラ」だった。いわゆるセッションでこのタイプの曲を演奏するパターンは稀有なように思うが、参加した各人が個性と持ち味を発揮しながら素晴らしい音を紡いでくれていった光景は、眼福ならぬ耳福であったと言っていい。 もっとも、このあとにはMUCCきっての殺伐楽曲「蘭鋳」で場内はカオスと化し、最後には「惡 –JUSTICE-」で圧倒的なスケール感と重厚さでフィナーレを飾ることになったのも乙なところで、ここはYUKKEのセトリ構成力がものを言ったということだろう。

 かくして、DAY-2は【MUCC TOUR 2024「Daydrem」】のタイトルよろしく午後14時からライブがスタート。白昼堂々のフルワンマンをしっかりたっぷりとやりきり、ミヤに至っては本編ラストの「新曲3」で派手にフロアダイヴまで敢行して場内はひとしおの盛り上がりをみせることになったが、逹瑯は前日のライブで「今日はYUKKEバースデイのライブだからね。ほんとのツアー初日は明日だよ」と言っていただけに、事実上はこのDAY-2・昼公演こそがMUCCにとって本当の意味でのツアー皮切り公演だったとも考えられる。

 しかも、このあと19時からはZepp Shinjukuの同じステージで【MUCC TALK TOUR 2024「MC」】が始まり、ここではちいさなハイテーブルがふたつだけ置かれた広い空間の中、逹瑯、ミヤ、YUKKEの3人がハンドマイクを持って1時半以上ものトークを展開することになったわけで、メンバーも集う夢烏の方々も約24時間で3回しとは尋常ならざるスタミナなのでは?!

「やぁ、遂に始まりましたね!」(逹瑯)

「MUCC初のトークライブですよ(笑)」(YUKKE)

「まさか、Zeppクラスで初のトークライブをやることになるとは(苦笑)」(ミヤ)

 とはいえ、そこは結成27周年のMUCCだけあって基本的にこの場ではフリートークが中心で、3人は長年つちかってきた阿吽の呼吸とも言うべき絶妙なやりとりを連発していくことになったのだから恐れ入る。まずは逹瑯が「セルフレジが苦手」と切り出したところが入り口となり、「ガソリンスタンドのセルフはアリかナシか」、「公園飲みどころか最近はコインパーキング飲みしている若者がいる」、「凶悪化する強盗と防犯に関する話」、はたまた「YUKKEが最近ハマっている韓国のお菓子を3人で試食」といった微笑ましい一幕もありつつ、最後には来場者から集った質問に3人がざっくばらんに答えるコーナーまで用意されていた。

「じゃあ次はこれかな。えっ。あれ?SATOちさんから質問来てる!」(逹瑯)

 SATOちとは、MUCCが始動して以来2021年秋まで在籍していたドラマーで、現在はスポーツトレーナーとして活躍している人物。メンバーとは今も懇意にしており、先日は逹瑯のラジオ番組最終回にあたりSATOちも含めた4人が全員顔を合わせる、という出来事もあったという。

「まずは、「ミヤくんへ。この間のラジオの時、首のヘルニア痛そうだったけど大丈夫?マッサージしようか??」だって。あと、俺には「マネージャーしようか?」って来てるな。YUKKEさんには「キャンプでう○ちしたくなったらどうするの?おしり拭こうか?」って書いてあるけど(笑)」(逹瑯)

「ちゃんとオチもあるんだ、素晴らしい(笑)」(YUKKE)

「三段落ちだね(笑)」(ミヤ)

 愛すべきいじられキャラであることを自覚しているYUKKEは、前日に引き続きその役割を全うしていたとも言えるが、気付けば3人のグルーヴ感ばっちりな流麗トークは終始オーディエンスの笑いを誘い、取材で現場に入っていた筆者もつい仕事を忘れて普通に何度も笑ってしまったほど。やはり、結成27周年ともなるとトークの場面でもメンバー間における息の合い方は伊達ではない。初のトークライブというには、かなりの熟練ワザに近いしゃべりを聞かせてくれたMUCCは流石だ。

 結果、今回の【MUCC TOUR 2024「Daydream」】では既存曲たちにプラスしていきなり新曲を3曲も聴けてしまい、【MUCC TALK TOUR 2024「MC」】では1時間半前後のマシンガントークを楽しめてしまうため、総合的な情報摂取量はともすれば過多気味になる可能性もあるが、全ては摂取すればするほど良い効果しか生まないはずなので皆さまどうぞ御安心を!

Text:杉江由紀
Photos:冨田味我


◎公演情報
【MUCC TOUR 2024 「Daydream」YUKKE 45 BIRTHDAY LIVE!<今日だけは許してください Daydream>】
2024年11月5日(火)東京・Zepp Shinjuku

<セットリスト>
SE:ホムラウタ
01. CLASSIC
02. 大嫌い
03. Mr.Liar
04. 新曲1
05. ネガティブダンサー
06. 愛の唄
07. ファズ
08. 友達が死んだ日
09. Violet
10. 秘密
11. 夜
12. 新曲2
13. メルト
14. ニルヴァーナ
15. You&I
16. フライト
17. 新曲3

En1. 雨のオーケストラ w/ 悠介(lynch.) / 優介(摩天楼オペラ) / SORA(DEZERT) / 松川ケイスケ(LACCO TOWER)
En2. 蘭鋳
En3. 惡 –JUSTICE-

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