2024/11/01
“音楽で地球侵略を目論む、ぼっち星からやってきたミュージシャン活動を行う地球外生命体”、ぼっちぼろまる。彼が1年ぶりのワンマンライブ【ぼっちぼろまる ONEMAN LIVE TOUR 2024「ぼろすたいる2~ヤンキーVS武士~」】を東阪で開催した。昨年11月に開催されたワンマンライブ【BORO STYLE】は活動7年間を振り返る内容だったが、今回のテーマは「未来」。ストーリーを織り交ぜながら初期曲から新曲までを届ける、充実の内容となった。
“愉快な地球人たち”ことサポートメンバーがスタンバイするなか、ムービー『ヤンキーVS武士』のプロローグが流れると、同映像内と同じ短ランの衣装を身に纏ったぼろまるがステージに現れ、「ヤンキーズ・ハイ」でこの日の幕を開けた。ハンドマイクで口のなかにマイクを突っ込みながら歌うスタイルは、ファニーなようでいて豪快でもある。以降もヒット曲「おとせサンダー」で会場を沸かし、恋心を独特の筆致で綴った「イケてるパーカー」ではフロアからも痛快なコールが起きる。ヤンキーぼろまるによる勢いに満ちたオープニングだ。
ムービーではヤンキーぼろまるが鎌倉時代にタイムスリップし、武士ぼろまると鉢合わせするところまでストーリーが進むと、武士装束に衣装チェンジしたぼろまるがステージに登場する。「鎌倉STYLE」「恋は爆ぜる」と心地よくビートに乗れる楽曲を立て続けに披露する様子は、金ピカの羽織に負けず劣らず、煌びやかで鮮やかだ。「パカパカバカリ」ではクラップやジャンプなどでコミュニケーションを取り、平成ケータイ文化をテーマにした楽曲ともあり、曲中で写真撮影タイムを設ける。フロアからは「かわいいよー!」や「下手(しもて)に目線お願いします!」などの声が飛び、ぼろまるの元に集まる地球人はもれなく愉快であることを痛感した。
「フクブクロック」「風車」と和の要素とほのかなセンチメンタリズムを感じさせるメロディの楽曲で空気を変えると、ぼろまるがアコースティック・ギターを肩に掛け、おもむろに音を鳴らし「勇者のくせに」を歌い出す。歌詞に綴られたメッセージを力強く届ける歌声が、まっすぐ前を見据える真っ黒な瞳が、熱い感情をこちらの胸に刻みつけた。
ムービーではヤンキーぼろまると武士ぼろまるによる鋭い剣戟が展開され、接戦の末に武士ぼろまるが勝利。だが、それでも諦めないヤンキーぼろまる。するとステージにはヤンキー姿のぼろまるが現れ、サポートメンバー・くるみ(yunoka:Key. / Gt. / Cho.)がハンドマイクを手に取り、ツインボーカルで「つよがるガール」「ハロ」とコラボ曲2曲を披露した。ポジティブなムードで引きつけ、特に後者は未来を切り開くようなエネルギーに溢れていた。ぼっちぼろまるの曲には、大人になると忘れがちな少年少女のピュアな気持ちや遊び心をしたためた曲が多い。大志を抱くようなフレッシュなムードが会場を包み込んだ。
ムービー内で、武士ぼろまるがヤンキーぼろまるに「1曲歌っていけよ」と告げると、ステージ上のヤンキーぼろまるも弾き語りスタイルで「あるくマーメイド」と「ダメニンゲンぱれーど」を歌う。ギターをかき鳴らしながら切ない感情を声に込め、柔らかいアルペジオに乗せて、ぼろまるなりのちょっとひねくれた、だが真摯な言い回しで聴き手を励ます。いろんなことを諦めながらも、肝心なところは絶対に曲げない、そんな哀愁と強さを感じるセクションだった。
ヤンキーぼろまるが現代に戻り、物語はクライマックスへ。エレキギターを肩に掛け「みんなに感謝を込めて、みんなのこの先を祈らせてもらえないでしょうか」と呼びかけると、青さがほとばしるストレートなギターロック・ナンバー「イノリビ」、コール&レスポンスで一体感を高めた「タンタカタンタンタンタンメン」、リアリストならではの視点で未来に夢を見る「マイサマーコミカライズ」とたたみかける。間奏で「“いちばん楽しい”が毎年毎年更新されます。ありがとうございます」と語った彼の声からは、いろんな気持ちを噛み締めたうえで振り絞られた、嘘のない言葉であることが感じ取れた。
アンコールに応えたぼろまるはTシャツ姿で再びステージに現れ、大阪公演で弾き語りにて披露した新曲「猫のレコード」をバンドバージョンで届ける。夜を彷彿とさせる、ラップを交えたチルかつロマンチックな楽曲で、また彼の音楽の幅が広がったことを印象づけた。
エレキギターを抱え、ぼろまるは去年のワンマンライブ時が自分のピークなのではないかと思ったこと、幸運に恵まれてとんとん拍子で活動の規模が大きくなり、「自分の人生にしては出来すぎていて」不安を抱えたこと、自分の実力が伴っていないと感じ、つらい日々が続いていたことを明かす。それ以降は彼のペースで努力を積み重ね、そのなかで【ぼろすたいる2】を未来に思いを馳せられるものにしたいと思うようになったと話した。「今日みんなが集まってくれて、僕の未来にまだまだいいものがたくさん待っていてくれている確信が得られました」「全然、去年がピークじゃなかった。ここからまだまだやっていきます。みんなのおかげでそう思えました」と語ると、観客は拍手でその思いを受け止めた。
来年以降リリースされる曲にも自信と手ごたえを感じている旨を語ると、「初心を忘れない気持ちも必要かなと思う」と言い、彼が最初に制作した楽曲「ピコボーイ」をじっくりと噛み締めるように披露する。そして「今日はこの曲をやらないとな」と告げ、彼が以前より大事にしている、自身の信念を綴った「うたうぼっちのテーマ」を歌い出した。未来に懸ける情熱をすべて込めるような純真で衝動的なロックが晴れやかに鳴り響き、観客もそれを歓迎するように笑顔で受け止める。あの光景は『ヤンキーVS武士』のエンドロールでもあり、次のストーリーの序章のようでもあった。より大きな未来を目指すという意思を堂々と掲げた【ぼろすたいる2】。彼の“音楽で地球侵略”物語は、新たなフェーズへと走り出した。
Text:沖さやこ
Photo:ATSUSHI
◎公演情報
【ぼっちぼろまる ONEMAN LIVE TOUR 2024「ぼろすたいる2~ヤンキーVS武士~」】
2024年10月26日(土) 東京・WWW X
◎リリース情報
シングル『鎌倉STYLE』
2024/8/28 RELEASE
https://BotchiBoromaru.lnk.to/G5lXet
シングル『つよがるガール feat. もっさ(ネクライトーキー)』
2024/8/14 RELEASE
https://BotchiBoromaru.lnk.to/o76aXv
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