テイラー・スウィフトの『ザ・トーチャード・ポエッツ・デパートメント』が9週目の首位を獲得した、今週の米ビルボード・アルバム・チャート。

　1位に初登場した2024年5月4日付から今週（6月29日付）まで、9週目の首位を獲得した『ザ・トーチャード・ポエッツ・デパートメント』。テイラー・スウィフトはこれまで14作のアルバムが1位を獲得していて、そのうちどちらも11週間を記録した『フィアレス』（2008～09年）と『1989』（2014～15年）に続く2番目に首位獲得総週を更新した。

　『ザ・トーチャード・ポエッツ・デパートメント』は、今週の集計期間（2024年6月14日～6月20日）にストリーミングが93,000（11％減少）、セールスが33,000（42％増加）、トラックによるユニットは1,000（11％減少）をそれぞれ記録して、累計126,000ユニット（1％減少）を獲得した。アルバムの週間再生回数は、全31曲で1億2,132万回を記録している。

　今週セールスが急増したのは、6月上旬に公式ウェブサイトでのみ予約を受け付けていた2種類の新しいCDが出荷されたからで、どちらにも通常盤に収録された16曲と、1枚には「ダウン・バッド」、もう1枚には「ギルティ・アズ・シン？」のアコースティック・バージョンがそれぞれ収録されている。

　Billboard 200で初登場から9週間以上1位を獲得したのは、2023年3月18日～6月3日付まで12週間（通算記録は19週間）を記録したモーガン・ウォレンの『ワン・シング・アット・ア・タイム』（今週4位）以来で、その他に9週間以上を記録したのは以下の全6作しかない。

13週間　スティーヴィー・ワンダー『キー・オブ・ライフ』（1976年10月16日～1977年8日付）
11週間　ホイットニー・ヒューストン『ホイットニーII』（1987年6月27日～9月5日付）
12週間　モーガン・ウォレン『ワン・シング・アット・ア・タイム』（2023年3月18日～6月3日付）
10週間　モーガン・ウォレン『デンジャラス：ザ・ダブル・アルバム』（2021年1月23日～3月27日付）
9週間　ドレイク『ヴューズ』（2016年5月21日～7月16日付）
9週間　テイラー・スウィフト『ザ・トーチャード・ポエッツ・デパートメント』

　なお、ルミネイトによる集計が始まった1991年以降は1位に初登場することは珍しくなくなったが、それ以前は『キー・オブ・ライフ』と『ホイットニーII』を含む6枚のアルバムしか1位に初登場した作品はない。

　ビリー・アイリッシュの『ヒット・ミー・ハード・アンド・ソフト』は、今週84,000ユニット（20％減少）を獲得して2位をキープ。続いて3位には米テキサス州ヒューストン出身のラッパー＝ドン・トリヴァーの新作『ハードストーン・サイコ』が初登場した。

　『ハードストーン・サイコ』は、2023年2月にリリースした前作『ラブ・シック』（最高8位）から約1年半ぶり、4枚目のスタジオ・アルバムで、1stアルバム『ヘブン・オア・ヘル』（2020年 / 7位）、2ndアルバム『ライフ・オブ・ア・ドン』（2021年 / 2位）を含めて4作連続でTOP10入りを果たしている。

　『ハードストーン・サイコ』の初動ユニットは76,500で、その内訳はストリーミングが57,000（全16曲で7,598万回）、セールス（デジタル・ダウンロードのみ販売）は19,500をそれぞれ記録した。週間ユニット、週間ストリーミング、週間セールスいずれもこれまでの自己最高記録を更新している。

　『ハードストーン・サイコ』は、5月22日に告知された翌月の6月14日にリリースされ、今週の集計期間中に公式ウェブサイト限定で5ドルで販売されたデラックス・デジタル・ダウンロードにより、売上を増加させている。デラックス盤には、リル・ウージー・ヴァートやイェー（カニエ・ウェスト）が参加した4曲が追加収録されている。

　本編には、キャッシュ・コベイン、コダック・ブラックやフューチャー、チャーリー・ウィルソン、メトロ・ブーミン、トラヴィス・スコット、ティーゾ・タッチダウンなどの人気アーティストが参加していて、先行でリリースされた「Bandit」、「Deep in the Water」、「Attitude」の3曲がR&B/ヒップホップ・ソング・チャートでTOP40入りを果たしている。

　モーガン・ウォレンの『ワン・シング・アット・ア・タイム』（73,000ユニット / 2％増加）は先週に続き4位をキープして、今週5位には米ルイジアナ州出身のヒップホップ・デュオ＝スーサイドボーイズのニュー・アルバム『ニュー・ワールド・ディプレッション』がデビューして、以下に続く4作目のTOP10入りと自己最高位（初のTOP5入り）を更新した。

1st『I Want to Die in New Orleans』（2018年 / 9位）
2nd『Long Term Effects of Suffering』（2021年 / 7位）
3rd『Sing Me a Lullaby, My Sweet Temptation』（2022年 / 7位）
4th『ニュー・ワールド・ディプレッション』（2024年 / 5位）

　『ニュー・ワールド・ディプレッション』は、初週ストリーミングが46,000（全13曲で6,275万回）、セールスが20,000を記録して66,000ユニットを獲得。週間セールス20,000枚のうち16,000枚が6種類でリリースされたアナログ盤による売上枚数で、今週のLPセールスではトップに立った。また、週間セールスと週間ストリーミングいずれも自己最高記録を更新した。

　本作から先行でリリースされた「Us Vs. Them」は、ソング・チャート“Hot 100”で初のランクインを果たしている。

　続いて今週6位には米ノースカロライナ州出身のカントリー・シンガー＝ルーク・コムズの新作『ファーザーズ・アンド・サンズ』が初登場。初週ストリーミングが45,000（全12曲で5,811万回）、セールスが14,000を記録して、累計60,000ユニットを獲得した。デジタル・ダウンロードに加え、フィジカルはCDとアナログ盤が公式ウェブサイトでのみ販売されている。

　ルーク・コムズは、これで以下に続く6作目にTOP10入りしたアルバムの総数を更新し、デビュー作から本作まで5作のスタジオ・アルバムをすべてランクインさせた。

1st『ディス・ワンズ・フォー・ユー』（2018年 / 4位）
EP『ザ・プリクエル』（2019年）
2nd『ホワット・ユー・シー・イズ・ホワット・ユー・ゲット』（2019年 / 1位）
3rd『グロウイン・アップ』（2022年 / 2位）
4th『ゲッティン・オールド』（2023年 / 4位）
5th『ファーザーズ・アンド・サンズ』（2023年 / 6位）

　『ファーザーズ・アンド・サンズ』からは、6月6日にリード・シングル「ザ・マン・ヒー・シーズ・イン・ミー」がリリースされ、父の日（ルーク・コムズには2人の息子がいる）の2日前にあたる6月14日に告知なくアルバムが発表された。同曲は、先週（6月22日付）のカントリー・ソング・チャートで14位に初登場している。

　続いて7位にはK-POPガールズ・グループTWICEのメンバー、NAYEON（ナヨン）の2ndソロ・ミニアルバム『NA』がデビューして、2022年7月9日付で7位を記録した1stミニ・アルバム『IM NAYEON』に続く2作目のTOP10入りを果たした。本作は5月に告知された後6月14日にリリースされたが、アルバムから先行で発表したシングルはなく、同日の6月14日に「ABCD」が1stシングルとしてリリースされている。

　『NA』は、初週セールスが43,000、ストリーミングが4,000（全7曲で541万）を記録して、47,000ユニットを獲得。フィジカルはそれぞれにグッズが封入された15種類のCDと2種類のアナログ盤がリリースされていて、今週のアルバム・セールス・チャートでは1位に初登場している。

　先週、登場12週目で10位にTOP10入りしたチャペル・ローンの『ザ・ライズ・アンド・フォール・オブ・ア・ミッドウェスト・プリンセス』は、今週8位に上昇して自己最高位を更新。週間ユニットは19％増加の46,000に上昇し、週間セールスは7,500を記録して今週最も伸びた作品に贈られるGreatest Gainerも獲得した。

　チャペル・ローンは、現地時間6月16日に開催された【ボナルー・フェスティバル2024】に出演し、21日には米NBCのトーク番組『ザ・トゥナイト・ショー・スターリング・ジミー・ファロン』でインタビューとパフォーマンスを披露した。後者の反響は翌週（7月6日付）に反映されることが予想される。

　先週3位にデビューしたチャーリーXCXのニュー・アルバム『ブラット』は、42％減少の45,000にユニット数を落とし9位にダウン。モーガン・ウォレンの『デンジャラス：ザ・ダブル・アルバム』は7位から10位に順位を下げたが、週間ユニットは前週とほぼ同率の44,000で安定している。

　上記の通り、今週はTOP10に4枚のアルバムが初登場していて、4作以上がデビューしたのは2023年6月17日付で6作が初登場して以来のチャート・アクションとなる。

Text: 本家 一成

※関連リンク先の米ビルボード・チャートは6月28日以降掲載予定となります。

◎【Billboard 200】トップ10
1位『ザ・トーチャード・ポエッツ・デパートメント』テイラー・スウィフト
2位『ヒット・ミー・ハード・アンド・ソフト』ビリー・アイリッシュ
3位『ハードストーン・サイコ』ドン・トリヴァー
4位『ワン・シング・アット・ア・タイム』モーガン・ウォレン
5位『ニュー・ワールド・ディプレッション』スーサイドボーイズ
6位『ファーザーズ・アンド・サンズ』ルーク・コムズ
7位『NA』NAYEON
8位『ザ・ライズ・アンド・フォール・オブ・ア・ミッドウェスト・プリンセス』チャペル・ローン
9位『ブラット』チャーリーXCX
10位『デンジャラス：ザ・ダブル・アルバム』モーガン・ウォレン