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2024/03/11

乃木坂46、12回目の”バスラ”で全124曲を披露 伝統と試練が与えた乃木坂の武器

 乃木坂46のデビュー12周年を祝うバースデーライブ【乃木坂46 12th YEAR BIRTHDAY LIVE】が、3月7日から10日の4日間、さいたまスーパーアリーナで開催した。

 昨年春から3~5期生にて新たな一歩を踏み出した彼女たちにとって、同体制で初めて臨むバスラは4日間で【DAY1:2011-2014】【DAY2:2015-2017】【DAY3:2018-2020】【DAY4:2021-2024】と4つの年代に分け、その年代にリリースされたシングル/アルバムの中から厳選した楽曲を披露。4日間で計8万人を動員したほか、全日インターネット配信も実施され、大勢のファンが乃木坂46デビュー12周年を祝福した。

 3月7日の【DAY1:2011-2014】は現メンバーが誰ひとり在籍していない、1~2期生がグループの基盤を築き上げた時代の楽曲中心。さまざまな楽曲で、リリース当時の歌唱衣装や制服を着用してパフォーマンスするその姿や、オリジナルメンバーがいないからこそセンターに立つ者や楽曲歌唱メンバーの組み合わせなど驚きの連続で、その随所から先輩たちへのリスペクトと感謝の気持ちを感じ取ることができた。

 続く8日の【DAY2:2015-2017】は3期生が加入(2016年)したタイミングとあり、同会場で行われた【5th YEAR BIRTHDAY LIVE】で初めて歌唱した「ハルジオンが咲く頃」や3期生初のオリジナル曲「三番目の風」など、彼女たちを軸にしたブロックも用意。『NHK紅白歌合戦』初出場(2015年)、念願の東京ドーム公演実現や『日本レコード大賞』受賞(ともに2017年)など、上昇気流に乗って多くの夢を実現させた時期の名曲たちを、今の彼女たちならのパフォーマンスで表現してみせた。

 2度目の『日本レコード大賞』受賞を実現させた「シンクロニシティ」から始まった9日の【DAY3:2018-2020】は、生駒里奈や西野七瀬、白石麻衣などの主要メンバーが相次いで卒業していく中、3期生がメキメキと存在感を強めていき、新たな戦力である4期生が加入(2018年、2020年)したフェーズ。オリジナル編成が3期生によるものに加え、卒業生たちが大切にしてきた楽曲に4~5期生たちが新たな息吹をもたらしたユニット曲、選抜メンバーとアンダーメンバーが入り混じった編成でのパフォーマンスなど、今の乃木坂46ならではの見せ方で観客を魅了し続けた。

 最終日となる10日の【DAY4:2021-2024】は、いよいよ5期生が加入するフェーズ。「Overture」に乗せて彼女たちの加入間もない時期の映像がスクリーンに映し出されると、客席のボルテージも急加速。そんな5期生・井上和の「【BIRTHDAY LIVE】最終日、声出す準備できてんのか! さいたまスーパーアリーナ、いくぞ!」という煽りに続いて、ライブは彼女がセンターを務める「おひとりさま天国」から勢いよくスタートした。その後も4期生の遠藤さくら&賀喜遥香のダブルセンターによる「Monopoly」、3期生の久保史緒里&山下美月が中心に立つ「人は二度夢を見る」と、この1年の間に発表されたシングル表題曲を連発。グループの歴史を振り返る過去3日間を経て、最終日に現在進行形の乃木坂46の「今」を力強く提示してみせた。

 最初のMCでさまざまなメンバーが最終日の意気込みを語る中、キャプテンの梅澤美波は「日々更新ということで、4日間で一番盛り上がる日にしていきましょう!」と力強く宣言する。そこから、「価値あるもの」にてライブは再開。与田祐希&筒井あやめがお揃いのツインテール姿で可愛らしさを強く打ち出す「ざぶんざざぶん」、林瑠奈&川﨑桜のクールなラップをフィーチャーした「アトノマツリ」などさまざまなタイプのユニット曲を通じて彼女たちの魅力をアピール。また、「錆びたコンパス」「悪い成分」「思い出が止まらなくなる」ではアンダーメンバーを中心に、時に大人びた表情で、時に弾けるような爽やかさで各曲が表現された。

 続いて、3期生がクラップを通じて観客との一体感を作り上げる「僕が手を叩く方へ」、激しいロックサウンドに乗せて4期生が会場の熱量を急上昇させる「ジャンピングジョーカーフラッシュ」と各期のカラーを強く打ち出すと、いよいよ5期生を中心としたパートへ。スクリーンにオーディション合格時からレッスン期間の映像が流れる。そして、「加入して2年。彼女たちの物語はまだ始まったばかり」のナレーションに続いて、ステージに登場した5期生が最初に与えられた期別曲「絶望の一秒前」を当時の衣装でパフォーマンス。井上を中心に、力強い歌とダンスを通じて頼もしく成長した姿を見せていく。その後も彼女たちの決意表明の様にも映る、小川彩センターの「いつの日にか、あの歌を...」で堂々とした歌声を響かせ、川﨑センターの「17分間」では3期生、4期生がフロートでアリーナを回遊したりスタンド席にサプライズ登場したりと華を添えていった。

 続くMCでは、5期生がこの2年間の活動を振り返る。井上は「オーディションに合格してから今も空気感が変わってない」と話すと、小川は現在行われている6期生に触れ「これからは甘えてばかりはいられません。先輩たちのように強くカッコいい姿を私たちも見せられるように、頑張っていきます」と逞しいコメントを寄せた。

 ダンサブルな「Wilderness world」で再びライブパートに戻ると、疾走感の強い「踏んでしまった」やEDM色濃厚な「Actually...」と、ライブを通じて成長してきた近年の楽曲群でエネルギッシュなパフォーマンスを見せ、客席の盛り上がりは最高潮に到達。かと思えば、「最後のTight Hug」「ここにはないもの」「誰かの肩」といったバラードナンバーでは、メンバー一人ひとりの歌声に焦点を当てるなど、さまざまな形で現メンバーの持つ多彩さを見せていく。

 「ごめんねFingers crossed」で再度勢いが付くと、ライブもいよいよ佳境に突入。「ごめんねFingers crossed」「全部 夢のまま」「君に叱られた」といった人気曲を、メンバー全員で客席に届けていく。そして、山下が「本当に1曲1曲素敵な楽曲たちで、素敵な衣装に素敵な振り付け、たくさんの愛の詰まった作品を私たちは背負っているんだなと思いました」と口にすると、先日発表された自身の卒業に触れつつ「次の【BIRTHDAY LIVE】には私自身ここにいないんですけど、3期生、4期生、5期生、そしてこれから入ってくる6期生が素敵な未来を作ってくれると信じています。輝く未来を作っていくために、これからも乃木坂46の応援をよろしくお願いします」とファンへの感謝を伝え、自身が初センターを務めた「僕は僕を好きになる」でライブ本編を華やかに締め括った。

 アンコールでは4月10日にリリースを控えた35thシングル「チャンスは平等」を、サプライズで初披露。センターの山下を中心に、グルーヴィーなディスコサウンドに乗せて軽やかなダンスが展開され、観客を大いに楽しませた。初披露を終えると、このシングルをもって卒業する山下は「一緒に掛け声ができる部分があったり、覚えやすいダンスになっているので、この曲で皆さんともメンバーとも笑顔でお別れできるんじゃないかな」と笑顔でコメントを寄せた。

 アンコールではその後も「他人のそら似」「好きというのはロックだぜ!」が連発され、ここで当初アナウンスしていた123曲披露を完遂。4日間のライブを全うした与田は「(スタッフが)【BIRTHDAY LIVE】は乃木坂の成長記録だと言っていて。今日いないメンバーも含めて、今年の【BIRTHDAY LIVE】を迎えられたことがすごく幸せです」、遠藤は「私はライブが好きで仕方ないです。心臓が潰れるほど緊張しても、不安に負けてしまっても、泣いちゃいそうなぐらい体が追いついていなくても、(ライブ本番には)涙が出るぐらい楽しいと思える瞬間があって。そこで頑張ってよかったと思えるから、私はやっぱりライブが好きなんだなとこの4日間で感じることができました」と、それぞれの思いを語る。そして“124曲目”として、乃木坂46のライブのエンディングには欠かせない「乃木坂の詩」を観客と一緒に合唱。最後にキャプテンの梅澤が「全日違うセットリスト、正直すごく過酷でした、でもこれが乃木坂の伝統で、私たちにとっての試練なんだと思います。【BIRTHDAY LIVE】は乃木坂46にとって大きな武器になります。これからもずっと守っていきたいと思います」と力強く宣言し、4日間におよぶ12回目の【BIRTHDAY LIVE】は終了した。

 ここから13周年へ向け、新たな一歩を踏み出した乃木坂46。35枚目シングル『チャンスは平等』のリリースや山下の卒業、6期生の加入などさまざまなトピックが控えているが、彼女たちがどんな形で成長を遂げていくのか、どんな未来を見せてくれるのか、しっかり見守ってもらいたい。

TEXT 西廣智一

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