2023/11/14
テイラー・スウィフトの「クルーエル・サマー」が通算3週目の首位を獲得した、今週の米ビルボード・ソング・チャート。
「クルーエル・サマー」は、2019年8月にリリースした7枚目のスタジオ・アルバム『ラヴァー』に収録されていた曲で、現在開催中のツアー【The Eras Tour】の反響を受けて2023年6月20日に正式なシングルとしてリリースされた。7月15日付で7位にTOP10入りしてから10月28日付で1位に到達。翌11月4日付と今週(11月18日付)で通算3週目の首位を獲得した。
なお、先週(11月11日付)もテイラー・スウィフトの新曲「イズ・イット・オーヴァー・ナウ?(テイラーズ・ヴァージョン)(フロム・ザ・ヴォルト)」が1位に初登場して、自身の曲から別のタイトルに首位を入れ替え、また自身の曲に首位を入れ替えている。
10月28日「クルーエル・サマー」
11月4日「クルーエル・サマー」
11月11日「イズ・イット・オーヴァー・ナウ?(テイラーズ・ヴァージョン)(フロム・ザ・ヴォルト)」
11月18日「クルーエル・サマー」
このチャート・アクションは、2021年にBTSが「Butter」(6月5日~7月17日)から「Permission to Dance」(7月24日)、再び「Butter」(7月31日~8月7日)に入れ替えて以来で、現在までにはこの2組しか達成していない。
「クルーエル・サマー」は、今週の集計期間(2023年11月3日~11月9日)にエアプレイが7,780万回(3%増加)、ストリーミングが1,380万回(9%減少)、セールスは4,000(17%増加)をそれぞれ記録して、エアプレイ・チャートで4週目の首位を獲得。ストリーミング・ソング・チャートでは21位から8位に再びTOP10入りした。前週から売上は増加したが、デジタル・ソング・セールス・チャートでは12位から19位に順位を下げている。
先週1位に初登場した「イズ・イット・オーヴァー・ナウ?(テイラーズ・ヴァージョン)[フロム・ザ・ヴォルト]」は今週3位にランクダウンしたが、ストリーミング・ソング・チャートでは2,110万回を記録して2週目の首位をキープした。また、前週の470万回から1,610万回に大きく上昇して、エアプレイ・チャートでは41位に初登場。その週最も伸びた曲に贈られるAirplay Gainerも獲得した。
両曲の間、2位にはドージャ・キャットの「ペイント・ザ・タウン・レッド」が先週の4位から上昇。R&B/ヒップホップ・ソング・チャートでは10週目、ラップ・ソング・チャートでは11週目の首位を獲得した。シザの「スヌーズ」も先週の8位から4位に再びTOP5入りして、R&Bソング・チャートでは15週目の首位をキープしている。
続いて今週5位には、BTSのJUNG KOOKによる新曲「Standing Next to You」が初登場して、自身3曲目、メンバーのソロ曲としては以下に続く4曲目のTOP10入りを果たした。
※順位は最高位、()内は最高位到達日
1位 JUNG KOOK「Seven feat. ラトー」(2023年7月29日)
1位 JIMIN「Like Crazy」(2023年4月8日)
5位 JUNG KOOK「3D feat. ジャック・ハーロウ」(2023年10月14日)
5位 JUNG KOOK「Standing Next to You」(2023年11月18日)
なお、BTSとしてはこれまで10曲がTOP10入りしていて、そのうち6曲が1位を獲得している。
「Standing Next to You」は、今週のアルバム・チャート“Billboard 200”で2位に初登場したソロ初のアルバム『GOLDEN』の収録曲で、初週ストリーミングが1,060万回、エアプレイが40万回、セールスは99,000をそれぞれ記録して、デジタル・ソング・セールス・チャートでは4曲目の首位を獲得した。
セールス99,000枚の内訳は84,000枚がデジタル・ダウンロード、残りがフィジカルによる売上で、11月6日に計7種類のリミックス(Future Funk Remix、Holiday Remix、Latin Trap Remix、PBR&B Remix、Slow Jam Remix、Band version、Instrumental version)をリリースしたことで、売上が上昇した。なお、リミックスは現時点でデジタル・ダウンロードとストリーミングでのみ購入、再生可能で、CDなどのフィジカルはリリースされていない。
6位は、ザック・ブライアンの「アイ・リメンバー・エヴリシング feat. ケイシー・マスグレイヴス」が先週の11位からTOP10に返り咲き、ロック&オルタナティブ・ソング・チャートとロック・ソング・チャートではそれぞれ11週目、カントリー・ソング・チャートでは7週目の首位を獲得した。
続いて今週7位には、11月2日にリリースされたザ・ビートルズによる最後の新曲「ナウ・アンド・ゼン」が初登場。初登場の記録では、1970年に当初の最高順位を更新した「レット・イット・ビー」の6位に次ぐ2番目に高い記録を更新して、グループの楽曲としては通算35曲目のTOP10入りを果たした。
76曲 ドレイク
49曲 テイラー・スウィフト
38曲 マドンナ
35曲 ザ・ビートルズ
32曲 リアーナ
30曲 マイケル・ジャクソン
29曲 エルトン・ジョン
28曲 マライア・キャリー
28曲 スティーヴィー・ワンダー
27曲 ジャネット・ジャクソン
26曲 ジャスティン・ビーバー
25曲 リル・ウェイン
25曲 エルヴィス・プレスリー(1958年以前の記録は含まれない)
グループの記録としては歴代トップで、続いてザ・ローリング・ストーンズの23曲、シカゴとシュープリームスの各20曲が上位3組となっている。
「ナウ・アンド・ゼン」は、ストリーミングが1,100万回、エアプレイが210万回、セールスは73,000をそれぞれ記録。デジタル・ダウンロードとストリーミング、フィジカルはカセットテープと6種類のアナログ盤が購入可能で、CDはまだリリースされていないが予約は受け付けている。また、11月2日に12分間のドキュメンタリー映画『ナウ・アンド・ゼン ザ・ラスト・ビートルズ・ソング』が、翌3日にはミュージック・ビデオがそれぞれ公開されて、セールス、ストリーミングを後押しした。
先週(11月11日付)のバブリング・アンダー・チャート(Hot 100にまだランクインしていない曲で構成されたチャート)では、ストリーミングが230万回、エアプレイが260万回、セールスは17,000をそれぞれ記録して、5位に初登場した。
「ナウ・アンド・ゼン」は、1977年に故ジョン・レノンの自宅でレコーディングされた最後の曲で、1995年に発表した3部作のアルバム『ザ・ビートルズ・アンソロジー』に収録される予定だったが、お蔵入りになっていた。その後、AI技術によりジョン・レノンの歌声を抽出し、故ジョージ・ハリスンが録音したギターを加え、ポール・マッカートニとリンゴ・スターによって完成させたという経緯がある。
ザ・ビートルズが初めてTOP10にランクインしたのは1964年1月25日付で、今週(2023年11月18日付)7位にTOP10入りするまでの期間を59年9か月3週間に更新し、ホリデー・ソングを除く史上最長記録を達成した。
なお、これまでの最長記録はエルトン・ジョンが「僕の歌は君の歌」(1971年1月23日付)から「ホールド・ミー・クローサー with ブリトニー・スピアーズ」(2022年9月10日付)で達成した51年7か月3週間で、ホリデー・ソングを含めると、故アンディ・ウイリアムスが「ロンリー・ストリート」(1959年10月12日付)から「イッツ・ザ・モスト・ワンダフル・タイム・オブ・ザ・イヤー」(2022年12月31日付)で達成した63年2か月3週間が最長記録となる。
Hot 100でのTOP10入りは、「フリー・アズ・ア・バード」が6位を記録した1996年1月6日付以来、27年10か月2週間ぶりで、ホリデー・ソングを除くと以下に続く史上5番目に長い記録を更新した。
オジー・オズボーン:30年3か月間
「クローズ・マイ・アイズ・フォーエヴァー with リタ・フォード」(1989年)~ポスト・マローン「テイク・ホワット・ユー・ウォント feat. オジー・オズボーン、トラヴィス・スコット」(2019年)
ドビー・グレイ:30年2か月1週間
「明日なきさすらい」(1973年) ~アンクル・クラッカー「ドリフト・アウェイ feat. ドビー・グレイ」(2003年)
ポール・マッカートニー:29年2週間
「スパイズ・ライク・アス」(1986年)~「フォー・ファイヴ・セカンズ with リアーナ&カニエ・ウェスト」(2015年)
サンタナ:28年7か月2週間
「ブラック・マジック・ウーマン」(1971年)~「スムース feat. ロブ・トーマス」(1999年)
ザ・ビートルズ:27年10か月2週間
「フリー・アズ・ア・バード」(1996年)~「ナウ・アンド・ゼン」(2023年)
ビリー・レイ・サイラス:26年8か月
「エイキー・ブレイキー・ハート」(1992年)~リル・ナズ・X「オールド・タウン・ロード feat. ビリー・レイ・サイラス」(2019年)
アクア:25年9か月3週間
「愛しのバービー・ガール」(1997年)~ニッキー・ミナージュ&アイス・スパイス「バービー・ワールド(with アクア)」(2023年)
ザ・ビートルズは、これで1960年代、1970年代、1990年代、2020年代の4つの年代でTOP10入りを果たした史上13組目のアーティストとなった。グループの記録としては、同じく4つの年代でランクインしたエアロスミスと同率の最長記録で、故マイケル・ジャクソンと故アンディ・ウィリアムスはそれぞれ5つの年代でTOP10入りを果たしている。
Hot 100にランクインした曲は「ナウ・アンド・ゼン」が通算72曲目で、1996年に11位を記録した「リアル・ラヴ」以来、約27年ぶりのタイトルとなる。バンド/グループの記録としては歴代トップで、ザ・ローリング・ストーンズ(57曲)、ザ・ビーチ・ボーイズ(55曲)、テンプテーションズ(53曲)の3組が続く。なお、複数のメンバーで構成されるアーティストとしては、『グリー』キャストの207曲に次ぐ2位となる。
様々な記録を更新した「ナウ・アンド・ゼン」以下、8位はルーク・コムズの「ファスト・カー」が先週の13位から、9位はモーガン・ウォレンの「シンキング・アバウト・ミー」が17位から、10位もモーガン・ウォレンの「ラスト・ナイト」が15位からそれぞれTOP10に返り咲き、カントリー・ソングが3曲続けてランクインした。
Text: 本家 一成
※関連リンク先の米ビルボード・チャートは11月17日以降掲載予定となります。
◎【Hot 100】トップ10
1位「クルーエル・サマー」テイラー・スウィフト
2位「ペイント・ザ・タウン・レッド」ドージャ・キャット
3位「イズ・イット・オーヴァー・ナウ?(テイラーズ・ヴァージョン)(フロム・ザ・ヴォルト)」
4位「スヌーズ」シザ
5位「Standing Next to You」JUNG KOOK
6位「アイ・リメンバー・エヴリシング」ザック・ブライアン feat. ケイシー・マスグレイヴス
7位「ナウ・アンド・ゼン」ザ・ビートルズ
8位「ファスト・カー」ルーク・コムズ
9位「シンキング・アバウト・ミー」モーガン・ウォレン
10位「ラスト・ナイト」モーガン・ウォレン
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