2023/10/06
歌い手やボカロPとして高い人気と実力を誇るメガテラ・ゼロ(Vo.)を中心に、2018年に活動を開始したハイエナジー&ハイクオリティなバンド、Mr.FanTastiC。初のワンマン・ライブ開催から5周年を記念して、10月1日、神奈川・横浜1000CLUBでアニバーサリー・ライブが開催された。1000人規模の同会場をソールドアウトさせ、Mr.FanTastiCのこれまでを総括しつつ、これらのMr.FanTastiCへの期待が否応にも高まる怒涛のパフォーマンスが展開された。
満員の観客で埋まったフロアの照明が落とされると、つっくん(Gt.)が手にするギターのフィードバック音が鳴り響く影で、小声で「いらっしゃいませ」とメガテラ・ゼロがつぶやく。すると、ふじゃん(Dr.)のカウントで一気にバンドサウンドがはじけ、サポート・プレイヤーろまん西野(Ba.)が重低音を轟かせ、「ただただうるさいバンドです。今日も同じことしかしません!」とフロントマン=メガテラ・ゼロがシャウトした。
だがこれは、まだまだイントロダクションの一部。ラウドな演奏が続く中、声出しの練習やカメラOKなどの注意事項連絡が行われる。そして早くもドラム、ベース、ギターがメンバー紹介を兼ねたソロを披露すると、「それでは始まりますよ!」のかけ声で1曲目「ウィスキーハロウィン」のギターリフが炸裂した。のっけから会場は<ハッピーハロウィン?><ウィスキーハロウィン>のコール&レスポンスが繰り広げられ、続けざまに変則的リズムの「シアターライフ」、今回初導入となったレーザーが飛び交う「クレイジーダンス」と続き、重量感のあるギターリフで「MUSIC MAN」が始まる。そして会場全体が一体感を持って<オオーッ!>と歌った「Always the Best Day」へ。
Mr.FanTastiCのライブは、とにかくその勢いと楽曲のドラマチックな抑揚が魅力的。ドラマーふじゃんが叩き出すビートは力強くも緻密さを併せ持っており、結成時からサポートを続けるベーシストろまん西野とのグルーヴには思わず身体が揺らされる。そこに高いスキルを持つギタリストつっくんのプレイが重なることで、ラウドなロックからジャズ、バラードへと多彩なジャンルを縦横無尽に横断し、時にはクレイジーな彩りまでを加えていく。そして、単に観客のテンションを高ぶらせる激しさだけでなく、感情を揺り動かす繊細なメロディと言葉を歌い上げるメガテラ・ゼロのボーカルは、ハードなバンドサウンドにも埋もれることのない鋼のような芯の強さと切れ味を持っており、そして唯一無二のビブラートには一発で心をわし掴みにされる。
こうして5曲(+イントロダクション)をまるで短距離走のように駆け抜けると、メイクを施していたメガテラ・ゼロが一旦ステージを去り、ステージに残った3人でMCを展開。
「コロナ期間は(曲作りでも)集まれなかったけど、7月から連続リリースしている曲は久しぶりにみんなでスタジオに集まって作った曲だから、ライブ(で演奏して)も、やっぱり楽しいです」
つっくんがこう語ったタイミングでメガテラ・ゼロがステージに戻り、ギラギラとした疾走感がパワフルなロックチューン「ユエニ」、印象的なギターのアルペジオから次第にラウドさを増していく「of course」、本ライブで初披露となった最新曲「Into the rainbow」と、連続リリースの3曲が演奏された。すると今度はメガテラ・ゼロだけを残し、残りのメンバーは衣装チェンジのため舞台袖へ。ステージにはカホンと椅子が用意され、「ここでアコースティック風、静かに歌えればなと思っています」と4人でのセッション・コーナーへと移っていった。
まずはトークで、笑いを取りながらもこの5年を感慨深そうに振り返り、その話の流れからメガテラ・ゼロは「それで来年、ツアーがあります」とビックなニュースをあまりにもあっさりと告知。こうしたトークの後に何の曲が歌われるのかと思いきや、実は当初、このスタイルで演奏する曲が決まっていたそうだが、リハーサル段階で急遽フリーなコーナーへと変更したのだと言う。
そして、「何も決まってない」と言いながら、つっくんが爪弾くギターのコードに合わせてメガテラ・ゼロがいきなり歌い始めたのは「デリヘル呼んだら君が来た」のサビ。元メンバーであり、今も親交が続いているナナホシ管弦楽団のオリジナルで、Mr.FanTastiCでも幾度となく歌われてきた曲。歌い終えたメガテラ・ゼロは「アイツの曲。いつまでも大好きや」と言うと、そこからジャズっぽいアプローチの「マジカルスモーキンボーイ」などの懐かしい曲に加え、その場でメンバーそれぞれが好きな楽曲を言い、ワンフレーズを歌うというスペシャルなコーナーで満員の観客を楽しませてくれた(だが、一番楽しんでいたのはステージ上の4人であったことは間違いないだろう)。
そこから再びバンドセットに戻ると、怒涛のラストスパートへ。複雑なリズムが心地よく疾走する、本日2回目の「マジカルスモーキンボーイ」を終えると、この一週間で誕生日を迎えた観客に「オレらの5周年とあなたの誕生日を祝いながら一緒に歌ってくれませんか」と語り、「バースデーバースデー」が始まった。メガテラ・ゼロは観客の合唱を煽りながら、最後に「生まれてきてくれてありがとう!」と声高らかに歌い上げた。
つっくん:このテンションで、5年、10年とやり続けて、どんどん曲を作り続けたい。それが楽しいからね。そんな僕らについてきてくれたら嬉しいです!
ふじゃん:5年もやってこれたのは、みなさんの応援のおかげだと思っています。みなさん、ありがとうございました! ぜひとも6周年もよろしくお願いします。
MCで改めてメンバーがファンへ感謝の言葉を送った後に歌われたのは、彼らのエモーショナルな名曲である「ヨルノブルース」。その場にいる全員での大合唱となった感動的なラストシーンから、一気にテンションを急上昇させる「ブレイキングブレイシング」を畳みかけ、ろまん西野の「ラスト1曲!」のかけ声でロックンロール・ナンバー「Envy&Clap」を演奏し、大騒ぎでハッピーなライブ本編が終了した。
間髪入れずに観客から沸き起こるアンコール。が、わずか3~4コールほどでMr.FanTastiCも間髪入れずにステージに再登場。とにかく何もかもが“絶走”の彼らだ。だが、アンコールに入る前、「いつもよりたくさん演った気がする。次のワンマンは5分にしよう(笑)」と観客を笑わせる。
「でも絶対に最高の5分にするからな! だからラストの5分も楽しんでくれ!」
メガテラ・ゼロがそう叫ぶと再びレーザーが炸裂し、一瞬で駆け抜けていくようなグルーヴで「シューティングスター」、そして「fine II」のサビ部分だけがカーテンコールのように歌われると、ステージのフロントで肩を組んだ4人の前を真っ赤な幕が閉まっていき、文字通りにこの日のスペシャルなライブは、幕を閉じた。
Mr.FanTastiCの勢いとテンション感が凝縮された約100分間。終演直後には、MCでも触れていた来年の東名阪福ワンマンツアー【Mr.FanTastiC LIVE TOUR 2024】が正式に発表され、その翌日には新曲「Into the rainbow」のMVも公開。そう、つまりMr.FanTastiCは今回の5周年記念ライブが過去の総決算ではなく、むしろこれからのスタートダッシュ、その起爆剤であること見せつけてくれたのだ。だからこそ、今後の彼らの快進撃と、Mr.FanTastiCだけが持つエネルギーが爆発する瞬間、それを決して見逃してはならない。
◎公演情報
【Mr.FanTastiC 5th Anniversary ~でも俺たちはいつも同じ事しかできない!~】
2023年10月1日(日)
神奈川・横浜1000CLUB
◎ツアー情報
【Mr.FanTastiC LIVE TOUR 2024】
2024年03月16日(土)愛知・名古屋SPADEBOX
2024年03月17日(日)大阪・味園ユニバース
2024年03月30日(土)福岡・ESP学園福岡校
2024年04月07日(日)東京・LIQUIDROOM
※全公演 開演16:00 / 開場 17:00
※チケット発売含め詳細は後日発表
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