2023/10/04
ゆずが、2023年9月29日、30日、10月1日に新会場「Kアリーナ横浜」の、こけら落とし公演【YUZU SPECIAL LIVE 2023 HIBIKI in K-Arena Yokohama】を開催。初日公演は【DAY1 BLUE × FUTARI】と題した北川悠仁と岩沢厚治の2人による弾き語りライブで行われ、新会場ならではの迫力の映像と照明も駆使した圧倒的なパフォーマンスで満員の観客と一体となって盛り上がり、こけら落としに相応しいライブとなった。
Kアリーナ横浜は、約2万の座席数を誇る世界最大級の音楽特化型アリーナ会場。アリーナ(LEVEL1)、ロアースタンド(LEVEL3)、ミドルスタンド(LEVEL5)、アッパースタンド(LEVEL7)で構成された客席は、全席がステージ正面を向いた扇型の形状になっているため、どの座席からでもステージ上のアーティストの表現を正面から見ることができることが特徴となっている。
こけら落としを担うのは、横浜出身のアーティスト・ゆず。会場には、ライブのコンセプトカラーである青色のTシャツを身に着けた大勢のゆずっこ(ゆずファンの総称)が集まり、開演のアナウンスから恒例のラジオ体操で準備万端となったところで会場暗転。壮大なSEが流れ、ステージバックに横長に広がる巨大なスクリーンの中央で花のつぼみが開くと、手拍子に乗って青いジャケット姿の北川、岩沢が登場して、そのままセンターステージへ。2人で右手を高々と突き上げると、マイク無しの生声、アコースティック・ギターの生音で披露されたのは、ここ横浜での路上ライブ時代から歌い続けている曲「シュビドゥバー」。観客と共に合唱すると、すぐさまギターを勢い良くかき鳴らしながら、メインステージへと向かうと「そのときには」へ。〈画面越しじゃなくて 同じ時間 同じ場所を 感じながら君に触れたい 会いに行くよ そのときには〉と歌い、北川が「“そのとき”が来たぞー!」と叫ぶと、まさに待ちに待っていたと言わんばかりに客席からドッと大きな歓声が上がる。
「みんな元気だったかー!?ゆずがKアリーナのこけらを落とさせてもらいます!今回、このコンサートをやるときに、どんなことをやろうかいっぱい考えました。答えはシンプルだった。俺たちの音楽を、想いを、そして歌を、この広い会場に響かせること。そして、君たち1人ひとりの想いを、歌声を、この会場に響かせること。そして付けたタイトルが「HIBIKI(響き)」です。今日は俺たちとみんなで声を出して響き合わせて、この会場のこけらを一緒に落とそう!最後までよろしく!」との北川のMCに、拍手で応える2万人の観客たち。さらに「今日ここにたどり着くまでに、君たちも俺たちもいろんなことがあったと思う。全部乗り越えて、今日まっさらな、いや“青々”とした気持ちで会場にやってきたと思う。俺たちを、君たちを称えるように、何度も俺たちを支えてきたこの曲を2万人の想いと共に歌いたいと思います」との言葉から始まったのは、「栄光の架橋」だ。スクリーンに歌詞が映し出され、岩沢のアルペジオに合わせて、オーディエンスに歌が委ねられる。サビで「いくぞー!」とセンターステージで北川がマイクを客席に向けて大合唱。2番からは2人が共に歌う。スクリーンに映し出されるボディのはげ落ちたアコギが、力強い曲に説得力を与えていた。
客席を眺め、青いTシャツ姿のゆずっこたちを「サッカー日本代表みたい(笑)」と称して笑わせると、「始まりの場所」では北川がタンバリン、岩沢のギターとハーモニカで軽快に歌い上げる。「遊園地」では、北川がトイピアノを鳴らしてから鍵盤ハーモニカを吹いてリラックスムードに。続いて鍵盤ハーモニカのイントロに「おおっ」とどよめきにも似た歓声が沸き上がった「境界線」へ。岩沢がメインボーカルを務め、ノスタルジックな音像と2人のハーモニーで酔わせた。「イコール」では、ステージの天井からいくつもの赤い線状のライトがまっすぐ降り注ぎしっとりと歌われる。ステージ後方側では青いライトが点灯するなど、Kアリーナの照明演出の一端が垣間見えて興味深いシーンだった。しばし静まり返った客席は、豪快なギターストロークから北川が大きく息を吸い込んでから「1、2、3、4!」とカウントして始めたロックンロール「眼差し」で、再び熱くなった。
伊勢佐木町での路上ライブ時代に良く歌っていたというラブソング「する~」では、世代ごとに濃淡をつけた青色のライティングで照らしながら、サビ〈する~〉をライブのコンセプト“ブルー”に言い換えて歌う和やかな合唱に。「タンバリンを持っている人!」と呼び掛けてアリーナ、スタンドがタンバリンで埋め尽くされた「タッタ」では、曲の途中で北川が「それ、ギター合ってる?」と岩沢を見ると、弾く手を止めた岩沢の「は?」とばかりに怪訝そうな顔がスクリーンに映って客席から笑いが漏れ、北川の「あ、合ってるか!」の声で演奏再開。こんなところもゆずならではの楽しさだ。続く「友達の唄」で前半は終了となり、映像のコーナーへ。「ゆずが行くおすすめスポットin横浜」のタイトルで、2人が車を運転しながら横浜スタジアム、みなとみらいエリアに停泊している「帆船日本丸」を巡りながら思い出を語り合う、ほっこりとした映像となっていた。
映像が終わり「夏色」がBGMで流れると、なんとアリーナ客席の左右の扉から北川、岩沢がそれぞれ現れて、会場は騒然。そのまま客席通路を横断して観客とハイタッチしながらステージに辿り着くと、「一緒に歌おう!」と、「サヨナラバス」で大盛り上がりとなった。「今日、俺たちの地元横浜にとんでもないアリーナが出来ました。この会場はなんと、世界で一番でっかいアリーナだそうです。この会場の誕生日をみんなと一緒にお祝いしたいと思います。Kアリーナ、誕生おめでとうございます!」との北川の言葉からセンターステージで歌われた「贈る詩」では、ステージ周りをドローンカメラが360度から2人を映し出した。さらに、「今日はさ、“青の日”だろ?これを歌わなきゃダメだろ」と北川が歌い出したのは「青」。「いけんのかおまえら!?」との煽りで、歌と手拍子が会場中に広がって、大きなうねりが起きた。
ここまでのライブで、緩急をつけたセットリストで存分に楽しませてくれた2人だが、この日、多くの人の心に残ったのが、ここからのコーナーだったのではないだろうか。スクリーンにアニメーションが映し出され、「おなじ星のどこかで、この空を君も見ていますか。世界中で、故郷を奪われた人がいる。僕たちの故郷、この国はどうだろう。思い描いていた未来に、僕らはいるだろうか。音楽に何ができる。僕たちに何ができる。見て見ぬふりをしよう、なんどもそう思った。でも、湧き上がる想いを、願いを止められない。僕たちが26年間で創ってきた楽曲で、みんなに今伝えたいメッセージを紡ぎました。世界の平和を願うべく、歌を、祈りを1人ひとりの故郷に響かせて」とのナレーションから、「響語り」と題してメドレー(はるか~Hey和~1~虹~SEIMEI~はるか)が歌われた。優しく語り掛けるような歌とギター、スクリーンにアニメーションで映し出される地球の様々な光景。動物たちの姿や、戦争を思わせる場面もあった。メドレーのクライマックスで、2人の歌声と共に会場中が色とりどりの光線で包まれたときには、思わず興奮と感動で鳥肌が立った。歌い終えると、客席からはしばらく拍手が止まず。「このコンサートをやることが決まったとき、生身の人間として今俺たちが思うことをみんなに伝えたいと思って、約1年かけてこのメドレーを創っていました。みんなにどんな風に届くかなって……」との北川のMCに、拍手で讃える観客たち。
「真面目な話をしてるのに、なぜこれが運ばれてくるんでしょう(笑)」と、ステージに登場した雷様の太鼓のような鐘を指す北川。ガラリと雰囲気を変えた「少年」で「K!アリーナ!」とコール&レスポンスしながら、歌の合間に走って鐘を鳴らしに行き途中で間に合わず転んだり。スクリーンに映し出される「Y.U.Z.U」で声を合わせて一体となると、続く「夏色」でブルーのテープが炸裂して、「祭りだ!祭りだ!」とさらなる盛り上がりに。何度となく繰り返し曲を締めて、最後は北川がセンターステージからブルーのテープを発射して終了となった。
すかさず客席から自然発生した「贈る詩」の合唱に応えて、アンコールへ。新曲「ビューティフル」の白い衣装で再びステージに登場した2人の周りを、数十人のダンサーが取り囲む。オープン前のKアリーナ横浜にて撮影されたMVを再現した迫力のパフォーマンスで、大量の花吹雪が客席に降り注ぐ祝祭となった。最後は、「Frontier」で青いフラッグを持ったパフォーマー共に、オーディエンスもフラッグを振って一体となる大団円。歌い終えた北川と岩沢はセンターステージに立つと、オープニングと同じく生声で「こけら落とし、おめでとうございます!」と叫び、会場全体で万歳三唱をして、記念すべきKアリーナ横浜こけら落とし公演初日を最高の余韻で締めくくった。
Text:岡本貴之
Photo:
中島たくみ
Masanori Naruse
藤川一輝
藤咲千明
◎公演情報
【YUZU SPECIAL LIVE 2023 HIBIKI in K-Arena Yokohama
DAY1 BLUE × FUTARI】
2023年9月29日(金)
神奈川・Kアリーナ横浜
<セットリスト>
1. シュビドゥバー
2. そのときには
3. 栄光の架橋
4. 始まりの場所
5. 遊園地
6. 境界線
7. イコール
8. 眼差し
9. する~
10. タッタ
11. 友達の唄
12. サヨナラバス
13. 贈る詩
14. 青
15. 響語り(はるか~Hey和~1~虹~SEIMEI~はるか)
16. 少年
17. 夏色
EN1. ビューティフル
EN2. Frontier
DAY2のライブレポートはこちら
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