2023/09/26
コロナ禍に入り約3年半、様々な制限の中、模索しながらライヴを行ってきたHYDE。そんな彼が2023年6月からそれらの規制を撤廃した待望のワンマンツアー【HYDE LIVE 2023】をスタートした。そのファイナル公演が9月9日、10日に幕張メッセ 幕張イベントホールにてツーデイズで開催された。今回は9日の公演で繰り広げられた熱狂の様子をお届けする。
ライヴハウス規模で展開されたそれまでの公演からスケールアップした今回の会場。久しぶりのアリーナ公演ということもあり、会場は開演前から期待と興奮の空気で満ちていた。ステージ上の画面には現在時刻が映されていて、秒単位でカウントが進んでいる。17時に会場が暗転すると、画面の表示時刻は16:60に。【ANTI FINAL】からの3年半を振り返るライヴ映像と共に時間が進んでいく。開演時刻の17時6分(画面上では16:66)になると、ステージの背景はHYDEが想像する架空の都市<NEO TOKYO>の情景に切り替わる。
「お前たちを縛る規則はもうない!マスクもいらない!大きい声を出しても誰にも叱られない!悔しい思いもたくさんしてきたよな、幕張!今こそ3年の空白を埋めようぜ!あのときからの続きをしよう」
フードを被ったHYDEが拡声器越しに荒々しく、感情的にオーディエンスに呼びかけると、アグレッシヴな「DEFEAT」でライヴが始まる。ヘヴィでパンチ力のあるサウンドで初っ端から会場が揺れ、ファンも合唱やサークルでそれに応える形で熱狂する。そのまま突進力が凄まじい「AFTER LIGHT」、壮大な重厚感とノリのいいライヴ感が共存する「PANDORA」と、激しい楽曲で畳み掛ける。アリーナではモッシュやクラウドサーフ、スタンド席ではヘッドバンキングなど、各々の楽しみ方で楽曲を堪能している。この光景をどれだけ待ち望んでいただろうか。
そこから、6月に配信リリースされた疾走曲「TAKING THEM DOWN」をエモーショナルに響かせると、獰猛でダークな「SICK」ではHYDEが早くもステージから降りフロアに突入し、至近距離でエネルギーをぶつける。
背景のNEO TOKYOが雨模様に切り替わると、壮大な「WHO’S GONNA SAVE US」が始まる。激しく身を揺らし、時にステージをのたうち回るように、感情を吐露するように歌う壮絶なパフォーマンスにこちらは目が釘付けに。今回のツアーの声出し解禁に至るまで、我々では計り知れないくらいの様々な困難に直面してきたはず。そういった想いが楽曲にそのまま浮き出ているように感じた、印象的な一幕だった。そして、ピアノソロを経て未発表曲の「THE ABYSS」へ。ドラマチックな同曲では、繊細なファルセットを筆頭にHYDEの巧みなヴォーカル技術が一際光っていた。
クールなデジタルサウンドが心地よい「ON MY OWN」を終えると、「水飲んでください。遠慮しないで、僕の顔を見ながらたっぷりね」とHYDEがユーモアを交えながら語りかける。「この場所に帰って来られてすごくうれしいです。3年かかったけど、普通にライヴができる。ありがたいですね。メンバーとスタッフに支えられてここまでやってこられました。来てくれたみんなにもすごく感謝しています。ありがとうね」と伝えると、「今日しか来られないやつもいる。そいつの記憶に残るようなライヴをしたいと思います。だからセーブはしないよ!」とファンの心をさらに焚きつける。
HYDEはさらに「なんで俺はこんなことをしてるのかって考えた。もっと簡単に稼ぐ方法はある。チケット代を高くして、お金持ちの人に愛想を振りまいたりすることもできる。でも、そんな俺を見てみんなは感動するか?心を奪われるか?守りに入った俺が見たいか?そんなやつ、ここにはいねぇよな!」と呼びかける。「今ここにいるやつは俺の良き理解者。選りすぐりの理解者が全国から集まってきた!この景色は金じゃ買えない!薄っぺらい絆じゃない。この3年、この景色を夢見てきた。待たせたな、幕張!俺たちのやべぇところを見せつけてやろうぜ!取り返すぞ幕張…倍返しだ!」と熱いメッセージを届けると、「MAD QUALIA」に突入する。ラウドなサウンドでさらにヒートアップするフロアの熱気。HYDE自身も再びアリーナに降り、その渦に突っ込んでいく。
そこから畳み掛けるように「DEVIL SIDE」では会場をヘッドバンキングの海に変え、色気あるダンサブルな「INTERPLAY」が会場全体を揺らす。パンキッシュなアレンジで披露された名曲「GLAMOROUS SKY」は多幸感と共にフロアをさらなるカオスに導く。
「幕張!お楽しみの時間ですよ。練習してきたかい?もうリリースもしたしね。バッチリでしょ?」というHYDEの煽りから最新シングル「6or9」へ。タオルアクションやコール・アンド・レスポンスがふんだんに取り入れられたこの曲で会場はこの日一番の一体感と熱狂に突入する。もともとは昨年の対バンツアー【HYDE LIVE 2022 RUMBLE FISH】で披露されたこの曲。ただ、「何年もこの瞬間を待ちわびてた!この曲でみんなと歌い合うのを想像しながら曲を作っていたのを今思い出した」とHYDEが笑顔で語った言葉の通り、“本来の形”で披露することができたのは今回の【HYDE LIVE 2023】が初めて。音源とは比べ物にならないエネルギーと感情の放出。ライヴの醍醐味を再認識させてくれた瞬間だった。
その後、ロックの様々な魅力が詰まっているライヴチューン「MIDNIGHT CELEBRATION II」で本編が締めくくられると、すぐに会場中からアンコールを求める声が上がる。これだけの熱狂が続いたのだから、そう簡単にそれが冷めるはずもない。
ドラムソロを経て、HYDEが輿に担がれる形でアリーナ後方から登場すると、アリーナが似合う壮大さの「LET IT OUT」からアンコールが始まる。HYDEがステージに戻ると、エモーショナルな「AHEAD」でバンドは疾走。フロアも再び狂乱の渦となる。続く「BLOODSUCKERS」「I GOT 666」ではHYDEもどんどんリミッターを解除していくような狂気的な暴れっぷりを披露してくれた。
ここでHYDEが再びオーディエンスに語りかける。
「3年を取り返したような気がする。なんか、まるで無かったかのような感じがする」
ここまでの本公演はその言葉に説得力を持たせるには十分すぎる盛り上がりと熱狂っぷりで、コロナ前と言われても疑わない景色だった。
「あと2曲!全力で楽しもう。俺たちは鏡みたいな関係だと思ってる。俺がおとなしかったら、みんなもおとなしくなる。みんながクレイジーだったら俺もイカレちまう!どっちがいい…?一緒におかしくなっちまおうぜ!すげぇの見せつけてやろうぜ!」
HYDEもギターを手に取り、始まったのは『6 6 6』(2003年リリース)収録の「HIDEAWAY」。ポップパンク的な疾走感が会場をハッピーな雰囲気で満たしていく。2ndアルバムの名曲で初期衝動を叩きつけたあと、オールラストに選ばれたのは「SEX BLOOD ROCK N’ ROLL」。すべてを吐き出すかのようにファンもバンドメンバーもHYDEも熱が最高潮に達する。ロックとしてのカッコよさ、そしてラストにふさわしい“お祭り騒ぎ感”も兼ね備えたこの曲が持つパワーは別格だ。
曲が終わると、最後に「ありがとう。本当に感謝してます。大好き!次、会えるまで首洗って待ってろよ!」と力強く想いを伝えてHYDEがステージを降り、狂乱のライヴは終わりを迎えた。ライヴシーンの復活を感じさせてくれた、興奮と感動をもたらした圧巻のステージだった。ちなみに、その後HYDEは終演後のアナウンスも自ら担当し、優しい声でファンを会場から送り出した。最後の最後に改めてファン想いな一面も見せてくれた。
Text:Haruki Saito
◎公演情報
【HYDE LIVE 2023 Presented by Rakuten NFT】
2023年9月9日(土)千葉・幕張メッセ 幕張イベントホール
<セットリスト>
1. DEFEAT
2. AFTER LIGHT
3. PANDORA
4. TAKING THEM DOWN
5. SICK
6. WHO’S GONNA SAVE US
7. THE ABYSS
8. ON MY OWN
9. MAD QUALIA
10. DEVIL SIDE
11. INTERPLAY
12. GLAMOROUS SKY
13. 6or9
14. MIDNIGHT CELEBRATION II
アンコール
15. LET IT OUT
16. AHEAD
17. BLOODSUCKERS
18. I GOT 666
19. HIDEAWAY
20. SEX BLOOD ROCK N’ ROLL
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