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2013/06/06

日本の音楽は世界一になれる… クリス・ハートを魅了したJ-POP

 日本テレビ系『のどじまん ザ! ワールド』で優勝したのをきっかけに、“天才ソウルシンガー、奇跡の歌声”と話題を呼んでいたシンガー クリス・ハートが、6月5日に1stアルバム『Heart Song』をリリースした。

<12歳でJ-POPに傾倒。日本に憧れ続ける日々>

 映像を見ずに彼の歌を聴いたとして、その歌声の持ち主がサンフランシスコはベイエリア出身、アメリカで生まれ育った28歳のアフリカン・アメリカンだとどれだけの人間が分かるだろうか。

 アルバム『Heart Song』に収録されているのは、『のどじまん ザ! ワールド』で歌唱して話題を呼んだ「home」(原曲:木山裕策)をはじめ、「家族になろうよ」(福山雅治)、「たしかなこと」(小田和正)、「奇跡を望むなら...」(JUJU)など、J-POPを代表する名曲カバーばかり。

 12歳のころにJ-POPを好きになり、翌年の夏休みには筑波市へホームステイして想いを強くすると、その後は毎日のように日本語に触れる生活を送ってきたそう。Janne Da ArcやL'Arc~en~Cielの影響からヴィジュアル系ハードロックバンドもやっていたというし、大学も日本語と音楽を専攻。ついには24歳で移住を決断することになる。

<クリス・ハートを魅了し続けるJ-POP>

 では、彼はなぜ、それほどまでにJ-POPに魅了されたのか。「歌詞ですね。(外国人に)真似することができないのは日本語の歌詞」。リズムやサウンドを重視するアメリカのポップスに比べて、J-POPは言葉やメッセージ、伝え方が違う。断言する彼は、そうした違いの背景には文化の違いがあるという。

 アメリカでは楽しむために働くが、日本では働くために働く。だから街のリズムも違えば、音楽の在り方も違う。アメリカ人である自分が日本の文化や心を100%理解するためには、できる限り日本人らしい生活をするべきだと考えたクリスは、2009年に日本へ移住すると、歌手を志しながら自動販売機の営業の仕事などをして生計を立てたそうだ。

 毎日日本語で話し、日本人と同じように生活する。そうした日々の中でチャンスをつかみ、日本の名曲を歌う機会に恵まれた彼だけに、原曲に対する敬意も深い。「何よりもJ-POPの雰囲気がなくならないように考えていました。J-POPは歴史が深いから、歌う前にルーツやストーリーをちゃんと知りたいんです。そして、どんなストーリーや思い出があるのかを考えなければいけない。それをしないと曲が軽くなってしまう。それは絶対にダメ」。

<日本の音楽は世界一のヒットになれる>

 『Heart Song』は前述した楽曲以外にも、DREAMS COME TRUEやKiroro、平井 堅、森山直太朗らの名曲カバーが盛りだくさんだ。同作にはかつて槇原敬之がイギリスのボーイズグループ BLUEに提供した楽曲を自らが日本語で歌った「僕が一番欲しかったもの」のカバーも収録されているが、クリスはBLUEが歌う英語バージョンの同曲を聴いて確信したことがあるという。

 「BLUEさんのバージョンを聴いて、日本の音楽は世界一のヒットになれる。アレンジをちょっと変えたら、どんな曲でも海外でヒットすると思ったし、J-POPが世界中にヒットしたらいいな~って思いますね」。

 今の日本に、これほどJ-POPに可能性を感じている者が他にいるだろうか。ともすればそれほどのヒットを生み出すのは、クリス・ハートが歌うJ-POPになるのかもしれない。


◎アルバム『Heart Song』
2013/06/05 RELEASE
UMCK-1448 3059円(tax in.)
収録曲:
01.ありがとう(原曲:いきものがかり)
02.LOVE LOVE LOVE(原曲:DREAMS COME TRUE)
03.家族になろうよ(原曲:福山雅治)
04.home(原曲:木山裕策)
05.たしかなこと(原曲:小田和正)
06.僕が一番欲しかったもの(原曲:槇原敬之)
07.未来へ(原曲:Kiroro)
08.旅立つ日(原曲:JULEPS)
09.奇跡を望むなら...(原曲:JUJU)
10.瞳をとじて(原曲:平井 堅)
11.楓(原曲:スピッツ)
12.涙そうそう(原曲:夏川りみ)
13.さくら(独唱)(原曲:森山直太朗)

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