2013/06/04
大阪の音楽専門局FM802が、スペースシャワーTVと協力して毎年春におこなっているライブイベント。今年からはタイトルを「Rockin' Radio!」と改めて再スタート。開放感と一体感の両方を味わえる大阪城音楽堂という場所で、「2013年」のいま、楽しみたいバンド、7組を集めて開催された。
2013年6月2日(日) 大阪城音楽堂
FM802 presents Rockin' Radio! -OSAKAJOH YAON-
Supported by SPACE SHOWER TV
思いのほか早かった今年の梅雨入り。この日も、降り出すのをなんとか思いとどまってくれているような曇天のなか、スタートしたステージ。会場は十代・二十代を中心としたロック好きの子たちでぎっしりと埋まっている。以下、登場順に、雑感を交えて振り返っていこう。
まず1番手は「0.8秒と衝撃。」。インダストリアルなクラッシュノイズを多用し、痙攣ビートを繰り出しながら、ライブメンバー4人のバックアップを受けつつも、フロントのふたり——塔山忠臣は暴走をつづけ、J.M.はクールでビューティー。思いついたことは全部やるというニューウェイヴ精神がビシビシと伝わってきた。
つづいては、「東京カランコロン」。リズム隊とシーケンサーの同期音が発する攻撃性と、男女ツインボーカル(男:いちろー、女:せんせい)の柔らかさ(というか、いい意味での「弱い感じ」)が、重なって増幅する。もっと掴みどころのないまま遊んで(暴れて?)いてほしい気がする。
かわって、四人揃って長身・長髪の、まるで70年代のロックバンド然とした風体で現れたのは、「ドレスコーズ」。こちらはドラムスとベースとギター1本、それにボーカルだけのいわば引き算の音が魅力。志磨遼平(Vo.)が「オーケー、拍手をちょうだい」と言葉を投げる姿は、ロックスターを飛び越えて、越路吹雪のオーラを想起した。
ちょうど真ん中の出順で、会場の熱をさらに高めてくれたのは、「TOTALFAT」。ここもふたりのボーカル——こぶしの効いた低音のShun(Vo., B.)と、ピーキーな高音のJose(G.左利き)が交互に煽る。会場後方、芝生エリアで飛び跳ねている少年少女たちには最高の時間だったのでは。
つづいても、楽しさ炸裂の4人組「グッドモーニングアメリカ」。ご当地ソングということで、うろ覚えの「大阪で生まれた女」を、仮装したたなしん(B)が客席を練り歩きながら歌い、ステージへ。唱和しやすいサビ、盛り上がるコール&レスポンスと、ライブノリを重視した楽曲群で喝采を浴びていた。
そして、そろそろ陽も傾きだして、やんわりと夕風が吹き始めた頃に登場したのが、来年で結成から20年を迎える「HUSKING BEE」。それまで日本にはなかった音を追い求めて創り上げたオリジネイターの凄みを感じさせてくれた。抜群に心地よい揺らぎを孕んだギターのディストーション。それなのにしっかりと聞き取れる、磯部正文と平林一哉、ふたりのボーカル。ひと世代若いバンドたちのなかにあって、未来を指し示す存在にみえた。
ラストは、目下、躍進いちじるしい「[Champagne]」。全員、黒の上下で固めた装束の中(ドラムスだけは登場からすでに上半身裸。ただししっかりと黒帽子着用)、ライブでのキラーチューンともいうべき、決めの利きまくった3曲で会場をひっつかむと、アンセム的ナンバー「Forever Young」が轟き、客席は一体感に包まれた。やがて、野音にもすっかり夕闇が訪れる頃、終演。
ともすれば、新人をいち早く紹介するショーケース的な方向に行きがちな放送局主催のライブ。だが、これは違った。目と耳だけを使って情報を追うのではなく、全身で楽しんで、来たる夏フェスシーズンに向けて気持ちを高める、そんな狙いを感じた。元気なロックバンドを存分に、集中力も途切れることなく観ることができる、意外に貴重なイベントかもしれない。
Text:大内幹男
Photo:FM802
◎ライブ音源特集決定!
6月13日(木)24:00-深夜3:00
RADIO∞IFNINITY DJ:飯室大吾
6月15日(土)24:00-深夜3:00
MIDNIGHT GARAGE DJ:土井コマキ
http://funky802.com/
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