2023/06/08
伊地知潔(ASIAN KUNG-FU GENERATION)と、金澤ダイスケ(フジファブリック)率いる“FM802料理部”が、6月6日にビルボードライブ大阪にて【FM802 ROCK&DISH vol.2 Supported by ELECOM】を開催した。
“FM802料理部”は、ミュージシャンきっての料理好きとして知られ、料理研究家の肩書きも持つ2人が中心となりFM802の新部活動として発足。伊地知部長と金澤副部長によるこのイベントは、2022年12月に続き、場所を変え2回目の開催となった。【ROCK&DISH】の特徴は、ライブ前に伊地知と金澤がゲストのオーダーに応えて料理を振る舞うという点だ。来場者にも、そのレシピを参考にして調理した料理が振る舞われ、ゲストと同じ目線で一緒に楽しむことができる。そのためステージ中央には、楽器ではなく調理台と共に様々な調理器具がズラリ。客席からは、「早く聴きたい。」「早く食べたい。」という2つの期待が入り混じった、普段のライブ会場にはない空気が漂っていた。
開演すると、エプロン姿で登場したFM802のDJ・加藤真樹子が案内役となり、伊地知部長と金澤副部長がエプロンと緑のバンダナを巻き登場。前回とは会場の雰囲気も変わり新たな気持ちの様子の2人は、「2回目にしてビルボードライブって、今回で最終回にしようとしてる?」と冒頭から、会場を笑わせる。そして、客席との距離がとても近いことにも触れ、「(油とか)飛んでくるかもしれないから、気を付けて。」と思わず声をかける場面もあった。
ここで、このイベントに欠かせないゲストが呼び込まれる。前回の谷口鮪(KANA-BOON)に続いて、今回も縁の深いアーティストとして、食通でもあるホリエアツシ(ストレイテナー)が登場。開口一番「いや~ご馳走になります! 今日は何を観に来たんだろうね。お客さんは(笑)」と会場を沸かす。
次に料理コーナー【DISH PART】に移ると、ホリエがベルを持ち「(チリンチリン※ベルの音)オーダー! 夏バテ予防に、元気が出るレシピをお願いします!」とオーダー。事前に番組で発表されていたというオーダーだったが、「ホリエくんの好みに対応できるかが難しかった。」と話す。なぜならホリエは、“脂っこいもの”と“しょっぱいもの”があまり得意ではないからだ。スタミナ料理にはこの味付けは定番だが、そこは料理部の2人、すでにその難関を乗り越えた様子で「まかしとけ!」と頼もしい返事で応えた。
今回使用された調理器具は、ELLECOMの「HOT DISH cocotte(ココット)」と「ポット型コンベンションオーブン」だ。先に取り掛かった金澤が、手慣れた様子で食材を「トントン」と切る音が会場に響き渡る。今回は手元カメラで調理の様子が細部まで見ることができ、客席も食い入るように見守っていた。ここで金澤は、ライムとミントの豆スープを作ると発表。ここで伊地知も調理開始し、ローストポーク パイナップルソースを作ると発表したのだが、一晩おいた肉をコンベンションオーブンに入れスイッチを押すとローストポークの作業は終了。あまりに便利で簡単な工程に、金澤が思わず「マジで?! 終わり?!」と驚くのを横目に、伊地知はパイナップルソースを作っていく。
ここでステージ袖から実況していたホリエと加藤がステージへ。2人が料理する姿を見るのも実際食べるのも初めてだというホリエ。今回夏バテ解消料理として、ライムやミントを使用した理由を、うんちくを交えながら金澤が話すと、「へぇ、ためになる~。」と感心する場面も見られた。また、同じく客席が声を出して反応する姿に「テレビ番組を観ているみたい。」と言いながらも、声出し解禁の嬉しさを別の角度で味わっているようだった。ニンニク、玉ねぎ、トマト、レンズ豆などたくさんの食材を入れて作ったスープの良い香りが会場を満たしてきた頃、調理も佳境に入っていく。それぞれが盛り付けを行うと、客席からはため息に似た歓声が上がった。
そしていよいよ試食タイムとなり、ホリエと共に実食するゲストが呼ばれ、FM 802・DJきっての“食レポの達人”だという中島ヒロトが登場。ホリエも中島も2人が作った料理に舌鼓みし「(肉)やわらかっ!」「このソースおいしい!」「サッパリだけどガッツリ!」「食べたことない感じで、おもしろい!」「疲れが取れた!」など感想が止まらない。客席にも料理が提供され、あちこちから「おいしい!」と声が上がる。ここからの時間は会場もお食事タイムとなり出演者も一旦ステージから離れるのだが、伊地知と金澤はしばらくの間、みんなが食べている姿を幸せそうに見渡していた。
イベントの抽選会が終わり客席のお腹も満たされた頃、ライブセッション【ROCK PART】がスタート。料理研究家からミュージシャンの顔つきに戻った伊地知潔(Dr.)、金澤ダイスケ(Pf.)、そしてゲストのホリエアツシ(Vo./Gt.)。先程までの空気とは一変して、ライブ空間が広がる。「楽器があると安心するよね……。楽器なしでステージに立つのは(緊張して)震えるよ。」と伊地知。その言葉に金澤、ホリエも納得する。
ライブ1曲目は、フジファブリックの楽曲「ブルー」。ホリエが歌うフジファブの世界観に客席が一気に引き込まれていく。そして2曲目は、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの「無限グライダー」。イベント当日アジカンの後藤正文から連絡があった、というホリエが「「無限グライダー」の輪唱を潔にやらせて。」とお達しがあったことを伝えると、伊地知が「危なかったぁ、よかったぁ。」と安堵し、「普段マイクを与えられていないから……」と笑いを誘った。そして最後の曲は、ストレイテナーの「彩雲」。ホリエは「自分の曲ながらも(金澤の)裏の鍵盤が心地よかった。」と満足そうにメンバーを見渡していた。
それぞれのバンドで活躍する3人が集まり、ここで作られた料理と奏でられた音楽は、一夜だけのスペシャルメニューとなったに違いない。最後全員で言った「ごちそうさまでした!」が、その全てを物語っていた。こうして幸せで満タンな夜は幕を閉じた。
Text by 森島良子
Photo by 渡邉一生
◎公演情報
【FM802 ROCK&DISH vol.2 Supported by ELECOM】
2023年6月6日(火)大阪・ビルボードライブ大阪
出演:伊地知潔(ASIAN KUNG-FU GENERATION)/
金澤ダイスケ(フジファブリック)
ゲスト:ホリエアツシ(ストレイテナー)
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