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2023/02/14

【米ビルボード・ソング・チャート】マイリー・サイラス「フラワーズ」4週連続1位、モーガン・ウォレン自身初のTOP3入り

 マイリー・サイラスの「フラワーズ」が4週目の首位を獲得した、今週の米ビルボード・ソング・チャート。

 1月28日付で1位に初登場した「フラワーズ」は、今週の集計期間中(2023年2月3日~9日)、エアプレイが7,450万回(32%増加)、ストリーミングが3,870万回(19%減少)、セールスは26,000(29%減少)をそれぞれ記録して、4週目の首位をキープした。

 デジタル・ソング・セールス・チャートでは先週の1位から2位にランクダウンしたが、ストリーミング・ソング・チャートでは初登場から4週連続で首位をキープ。エアプレイ・チャートでは6位から4位に最高位を更新し、その週最も伸びた曲に贈られるAirplay Gainerを2週連続で獲得した。また、2013年に最高4位を記録した「レッキング・ボール」と並び、エアプレイ・チャートでの自己最高位(タイ記録)も更新している。

 その他、ジャンル別ではポップ・エアプレイ・チャートで7位から5位、アダルト・ポップ・エアプレイ・チャートで8位から5位、アダルト・コンテンポラリー・チャートで9位から8位にそれぞれ順位を上げている。

 続いて2位もシザの「キル・ビル」が5週連続で同位をキープ。エアプレイが5,710万回(17%増加)、ストリーミングが3,290万回(1%増加)、セールスも2,000 (8%増加) にそれぞれ数字を伸ばし、R&B/ヒップホップ・ソング・チャートとR&Bソング・チャートではそれぞれ9週目の首位をマークした。

 今週3位には、1月31日にリリースしたモーガン・ウォレンの新曲「ラスト・ナイト」が先週の27位からジャンプアップしてTOP3入りを果たしている。Hot 100でのTOP10入りは、「7サマー」(2020年8月 / 最高6位)、「ウェイステッド・オン・ユー」(2021年1月 / 最高9位)、「ドント・シンク・ジーザス」(2022年4月 / 最高7位)、「ユー・プルーフ」(2022年10月 / 最高5位)に続く5曲目で、初のTOP3入りと自己最高位を更新した。

 「ラスト・ナイト」は、3月3日にリリース予定のニュー・アルバム『ワン・シング・アット・ア・タイム』のリード・トラックで、本作には前述の「ドント・シンク・ジーザス」と「ユー・プルーフ」も収録される。カントリー・アルバムにカテゴライズされる作品からHot 100に3曲以上がTOP10入りしたのは、2012~13年に4曲をランクインさせたテイラー・スウィフトの『レッド』以来、約10年ぶりの快挙。なお、カントリー・アルバムの基準はカントリー・アルバム・チャートにランクインしたか、その対象となるアルバムとする。

 「ラスト・ナイト」は、今週ストリーミングが 2,970万回、エアプレイが285,000、セールスは14,000をそれぞれ記録して、カントリー・ソング・チャートでは通算7曲目の首位を獲得した。なお、『ワン・シング・アット・ア・タイム』からは「ドント・シンク・ジーザス」と「ユー・プルーフ」、「ソート・ユー・シュッド・ノウ」の4曲が既にカントリー・ソング・チャートで1位を記録している。

 カントリー・ソング・チャートの集計が始まった2012年10月以降、Hot 100でTOP10入りした曲がカントリ・ソング・チャートで1位を獲得したのは、「ラスト・ナイト」が以下に続く通算16曲目のタイトルで、そのうち最多となる5曲をモーガン・ウォレンが達成している。

()内はHot 100での最高位と最高位到達年
モーガン・ウォレン「ラスト・ナイト」 (2023年 / 3位)
ザック・ブライアン「サムシング・イン・ザ・オレンジ」(2023年 / 10位)
モーガン・ウォレン「ユー・プルーフ」 (2022年 / 5位)
ルーク・コムズ「ザ・カインド・オブ・ラヴ・ウィ・メイク」 (2022年 / 8位)
モーガン・ウォレン「ドント・シンク・ジーザス」 (2022年 / 7位)
テイラー・スウィフト「オール・トゥー・ウェル(テイラーズ・ヴァージョン)」 (2021年 / 1位)
ウォーカー・ヘイズ「ファンシー・ライク」 (2021年 / 3位)
モーガン・ウォレン「ウェイステッド・オン・ユー」 (2021年 / 位)
ギャビー・バレット「アイ・ホープ feat. チャーリー・プース」 (2020年 / 位)
ルーク・コムズ「フォーエバー・アフター・オール」 (2020年 / 2位)
モーガン・ウォレン「7サマー」 (2020年 / 6位)
ダン+シェイ&ジャスティン・ビーバー「10000 アワーズ」 (2019年 / 4位)
フロリダ・ジョージア・ライン&ビービー・レクサ「メント・トゥ・ビー」 (2018年 / 2位)
サム・ハント「ボディ・ライク・ア・バック・ロード」 (2017年 / 6位)
フロリダ・ジョージア・ライン「クルーズ feat.ネリー」 (2013年 / 4位)
テイラー・スウィフト「ウィ・アー・ネヴァー・エヴァー・ゲッティング・バック・トゥゲザー」(2012年 / 1位)

 前述の通り、これまでカントリー・ソング・チャートで首位を獲得した全77曲のうちわずか16曲(全体の21%)しかHot 100でTOP10入りしていないが、その全77曲のうち2020年以降に首位を獲得したのが23曲で、そのうち11曲(約48%)がHot 100でもTOP10にランクインした。これはストリーミングの影響みならず、近年ラジオもポップやアダルト・エアプレイにクロスオーバーしてヒットさせるケースが多くなったからで、2020年以降に達成した前述の11曲中「フォーエバー・アフター・オール」以外の曲はすべてポップ/アダルト・エアプレイ・チャートにランクインしていた。

 モーガン・ウォレンは、アルバム『ワン・シング・アット・ア・タイム』のリリース前後にまたTOP10記録を更新する可能性が高い。

 チャートに戻り、4位は先週の5位からサム・スミス&キム・ペトラスの「アンホーリー」が再浮上。2月5日に開催された【第65回グラミー賞】でのパフォーマンス効果と、<最優秀ポップ・デュオ / グループ・パフォーマンス>の受賞による反響で、ストリーミングが16%増加の1,790万回に上昇。アダルト・ポップ・エアプレイ・チャートでは首位に到達し、 サム・スミスは3曲目、 キム・ペトラスは同チャート初のNo.1タイトルを獲得した。同曲は以前、エアプレイ・チャート(総合)で5週、ポップ・ソング・チャートで6週間首位をマークしている。

 メトロ・ブーミンの「Creepin' with ザ・ウィークエンド&21サヴェージ」は3位から5位にランクダウンし、6位にはビヨンセの「カフ・イット」が先週の15位から再TOP10入りしている。「カフ・イット」は、2月3日にウェター・リミックス、2月5日にアカペラ・バージョンとインストゥルメンタル・バージョンが公式ウェブサイトでリリースされたため、セールスが4,026%増加の78,000に急増し、今週のSales Gainerを獲得した。エアプレイは若干数増加の5,580万回、ストリーミングも37%増加の940万回に数字を伸ばしている。

 ビヨンセは、前述の【第65回グラミー賞】で最多9部門にノミネートされ4部門を受賞。通算32冠を獲得し、歴代最多記録を樹立するという快挙を達成した。リミックスのリリース効果もあるが、【グラミー賞】での反響もポイントの上昇に大きく反映している。

 テイラー・スウィフトの「アンチ・ヒーロー」は先週の4位から7位にダウン。ザ・ウィークエンドの「ダイ・フォー・ユー」(2016年)も6位から8位に順位を下げたが、エアプレイ・チャートでは8,400万回と高記録を維持して2週目の首位をキープしている。また、エアプレイ・チャートでは前述の「Creepin'」が先週の3位から2位に上昇していて、ザ・ウィークエンドのタイトルがワンツーフィニッシュを飾った。エアプレイ・チャートで1位と2位に同じアーティストの曲が同時にランクインしたのは、ジャスティン・ビーバーが「ソーリー」と「ラブ・ユアセルフ」を送り込んだ2016年以来約7年ぶりで、前年の2015年10月10日付には自身の「ザ・ヒルズ」と「キャント・フィール・マイ・フェイス」が達成している。

 それ以前にエアプレイ・チャートで1位2位を独占したことのあるアーティストは、リアーナ(2010~11年 / 2週)、T.I. (2008年 / 5週)、マライア・キャリー(2005年 / 3週)、アッシャー(2004年 / 4週)、アウトキャスト(2003~04年 / 8週)、マライア・キャリー(1995年 / 4週)、ボーイズIIメン(1994年 / 1週)の6組で、2回以上達成したのはザ・ウィークエンドとマライア・キャリーの2組のみ。このラインナップからも予想できるが、R&B/ヒップホップ系のアーティストがポップ系のラジオ局にクロスオーバーさせたことで、エアプレイ・チャート(総合)で上位にランクインしたケースが多い。

 以下、 デヴィッド・ゲッタ&ビービー・レクサの「アイム・グッド(ブルー)」が7位から9位に、 ハリー・スタイルズの「アズ・イット・ワズ」も9位から10位にランクダウンした。「アズ・イット・ワズ」が収録されたアルバム『ハリーズ・ハウス』は、【第65回グラミー賞】で<最優秀アルバム>を受賞している。


Text: 本家 一成

※関連リンク先の米ビルボード・チャートは2月17日以降掲載予定となります。

◎【Hot 100】トップ10
1位「フラワーズ」マイリー・サイラス
2位「キル・ビル」シザ
3位「ラスト・ナイト」モーガン・ウォレン
4位「アンホーリー」サム・スミス&キム・ペトラス
5位「Creepin'」メトロ・ブーミン with ザ・ウィークエンド&21サヴェージ
6位「カフ・イット」ビヨンセ
7位「アンチ・ヒーロー」テイラー・スウィフト
8位「ダイ・フォー・ユー」ザ・ウィークエンド
9位「アイム・グッド(ブルー)」デヴィッド・ゲッタ&ビービー・レクサ
10位「アズ・イット・ワズ」ハリー・スタイルズ

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