2023/02/18
「Alone」をはじめ、ホールジーやセレーナ・ゴメス、バスティル、カリードらとのコラボ曲など、次々とヒットを放ってきたマシュメロ。EDM界のみならず、いまや幅広く老若男女から愛される存在となったスーパーDJ/プロデューサーが、音楽フェス【GMO SONIC 2023】出演のため来日。その4年ぶりの来日を記念して、2022年の【第64回グラミー賞】にもノミネートされた最新アルバム『Shockwave』が日本でCD化された。同作誕生のプロセスや、EDMシーンの今後の行方、久々の日本などについて話を聞いた。
ーー4年ぶりの来日となりますが、久々に訪れた東京はどうですか?
ロサンゼルスはいつも暖かくて、余計にこちらの寒い気候が嬉しく感じられるよ。街を歩き回ったり、昨夜は焼き肉を食べたり。できるだけ文化の違いを肌で感じたいんだ。こちらの流行なども知りたいし、ファッションやビジュアルのトレンド、人気のゲームなどについても知りたいね。
ーーゲームといえばプロ級の腕前ですが、いつ頃からですか?
はっきり覚えてないけれど、おそらくプレイステーションが最初にハマったゲームだったかな。
ーー日本のゲームやアニメからの影響も受けていますか?
日本のカルチャーからの影響は、絶対にあると思う。でも、直接的な影響というより、知らないうちに少しずつという感じかな。日本のゲームやアニメの音楽を耳にすると、確かに自分の作っている音楽を思い出させる部分があるね。特にメロディが秀でていると思うよ。
ーーこの度、日本で最新アルバム『Shockwave』がCD化されました。どのようなコンセプトで作られたアルバムなのか改めて教えてもらえますか?
新型コロナのパンデミック中に、外出できなくて、自宅でじっくり腰を据えて作ったアルバムなんだ。ライブやツアーができそうになかったので、何か違ったことをやろうと考えて。だから、これまでの『Joytime』シリーズとは異なるタイトルをつけて、今までとは違った新しいことにチャレンジしてる。時間はたっぷりあったので、様々なスタイルやサウンド、実験的なことにも臨めたよ。
ーー多数のアーティストとのコラボが収録されています。どのような基準で選ばれましたか?
基本的にはその時点でいちばんよく聴いていたアーティストだね。みんなが自宅にいたから、気になる人たちに片っ端から連絡しまくったんだ(笑)。例えばジューシー・Jとコラボした「Hitta」は、僕が幼い頃に聴いたスリー・6・マフィアの曲(「One Hitta Quitta」)を使いたくて、ジューシー・Jにコンタクトしたんだ。「ボーカルをサンプリングしたいんだけど……」と相談したら、「使っていいけど、その曲でラップさせてくれるなら」と承諾してくれて。
ーー「Bad Bitches」でのミーガン・ザ・スタリオンとのコラボにも驚かされました。
あれには、ちょっと面白い裏話があって。元々僕はニッティ・グリッティと「Bad Bitches」という曲を作り上げていたんだけど、さて「誰に歌ってもらおうか?」と迷っていて、「“Bad Bitches”について歌ってもらうのに、誰がいちばんふさわしいのだろう?」と考えていたんだ(笑)。ハウス・ミュージックの世界では、ライブ音をサンプリングすることが多いんだけど、『Rolling Loud』のフェス映像やライブ演奏をチェックしていたら、たまたまミーガン・ザ・スタリオンがMCで“Bad Bitches”云々と話していて。その声をそのまま使ったのがあの曲なんだ(笑)。
ーー『Shockwave』は、【第64回グラミー賞】の最優秀ダンス/エレクトロニック・アルバム部門でノミネートを受けました。いま振り返って、どのように感じていますか?
このアルバムを、とても誇らしく思っているよ。あの時点で僕がEDMでやりたかったことの全てが実現できたという気がしている。トラップ、ダブステップ、ハウスなど、様々なスタイルに挑戦もできたし、いくつかの曲では自分でボーカルも録った。歌いたいという気持ちもけっこうあったから、結果にも大満足。とはいえ、グラミー賞のノミネートの知らせには、やはり驚かされたよ。その朝、発表があることは知っていたけど、気にかけていなかったので、「おめでとう」メッセージが次々と送られてきて。アルバム部門でのノミネートだったのにも驚かされたなあ。
ーーエレクトロニック系アーティストやDJのなかには、シングルだけをリリースするという人も多いです。一方、あなたは早い時点からアルバムを発表してきましたよね。
シングルでは、ヒップホップやポップ、カントリーなど何でも自由にやることができるよね。ただ、あまりEDM系に寄らないようにと心掛けているんだ。ただし、アルバム・リリースが近づくと、その告知としてEDM系のシングルを発表するようにしているよ。
ーー特に影響を受けた他のアーティストのアルバムとは?
EDM系では、スクリレックスのアルバムだね。僕にとってはいちばん重要なアルバムだと思う。聴いてる人に旅をしているような気分を味わわせてくれる、そんなアルバムに魅せられるなあ。ポスト・マローンなどもそうだね。僕は彼が作っているようなアルバムをEDMで作りたいと思っているよ。
ーー今回、日本であなたにとって世界初となるオリジナル・アルバムのCD化をされたわけですが、CDというメディア形態への思い入れは?
若い頃にはCDしかなかったから、もちろんCDを買っていたよ。だから、こうして自分のアルバムがCDになってリリースされるのは、信じられないぐらい嬉しい。マシュメロとしての活動のなかでも、最もクールな事件じゃないかと思うよ。
ーー最初に買ったCDは覚えていますか?
確かブリンク182……、いやイン・シンクかな。バックストリート・ボーイズだったかも(笑)。
ーー今後EDMシーンは、どのような方向に向かうと思われますか?
現在はハウス・ミュージックが隆盛なのと、ものすごくヘヴィなベース・ミュージックが人気だよね。その一方で、真逆とも言える、みんながくつろぎながら聴けるようなチルハウスがますます増えるのではないかな。同時にモッシュピットで暴れるような激しいリズムのスタイルのふたつに両極化するんじゃないかなと思う。コロナ禍を経て、誰もが外に出て羽を伸ばしたり、人々と交流できるようになったりしたことがとても嬉しい。すごくハッピーな気分なのは、僕も同じだよ。
ーー昨夏にはカリードとのコラボ曲「Numb」が大ヒットしましたが、今年もサマー・ソングのリリース予定はありますか?
うん、もうすでに完成しているよ。夏のハッピーなバイブスの曲。みんなにも、もうすぐ聴いてもらえると思う。
ーーこの後の、今年の予定について教えてください。
実はいま、ラテンの一大プロジェクトに取り組んでいるところで、スペイン語やポルトガル語の曲を、すでに幾つか完成させているんだ。まだ参加アーティスト名は明かせないけど、近日中には。それとは別に、ニュー・アルバムも計画しているよ。そう、いろんなアルバムのリリースを予定しているんだ。今年はエレクトロニック・ミュージックにフォーカスしたいと考えていて。新曲もけっこう完成していて、【GMO SONIC 2023】でもプレイするつもりだよ(※インタビューは同フェス出演前に実施)。日本に関しては、初来日のときから、すごく盛大な歓迎を受けたのが、いまでも忘れられないな。「マシュメロ人気はアメリカだけじゃなかったんだ!」というのにも驚かされたし、オーディエンスのリアクションが最高だね。東京は特に反応がいいね。数週間前から僕も、僕のチームも全員が興奮気味で、念願叶っての来日なんだ。最高の気分だよ。
ーー今日はどうもありがとうございました。
こちらこそ、どうもありがとう。
Interview & Text:村上ひさし
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