2022/10/17
原田知世が10月16日に東京国際フォーラム ホールAで行なった【原田知世 40th Anniversary Special Concert “fruitful days”】のオフィシャルライブレポートが届いたので下記にお届けする。
2022年、デビュー40周年を迎えた原田知世。1982年のデビュー以来、俳優と歌手の両方で活躍を続けている。アニヴァーサリーの今年は、これまで応援してくれたファンへ感謝の気持ちを伝えるべく、歌手活動をメインに展開。3月にはオリジナル・アルバム『fruitful days』を発表。6月にはツアー『原田知世 40周年アニバーサリーツアー2022 “fruitful days”』を東名阪で開催した。
キャリア初のオールタイム・ベスト『原田知世のうたと音楽~デビュー40周年記念ベスト・アルバム』が話題を集める中、10月16日(日)に東京国際フォーラム ホールAにて「原田知世 40th Anniversary Special Concert “fruitful days”」が開催された。
この公演のために全国から集まった4,000人の観客により、場内は開演前から温かな雰囲気に満ちていた。定刻から5分を過ぎたころ、場内が暗転し演奏がスタート。そしてステージ中央に赤いワンピースを身にまとった原田知世が現れると、大きな拍手が起こった。
1曲目はラヴソング・カバー・アルバム『恋愛小説3~You & Me』(2020年)からナイアガラ・トライアングルの「A面で恋をして」。歌い出しから、トレードマークの透明感はそのままに、伸びやかなヴォーカルが会場内を包み込む。原田をサポートする伊藤ゴロー率いるバンドは、ここ10年近くレコーディングやライヴを共にしているメンバー。この日はストリングカルテットやホーンが加わり、原田含め総勢11名がステージに立った。最初のMCでは、「今日が40周年最後のライヴになります。今回は大好きなゲストの方が次々とステージに上がってくださいますので、“知世まつり”に参加するような気持ちで楽しんでください」と語った。
「恋をしよう」、「ユー・メイ・ドリーム」(シーナ&ザ・ロケッツのカバー)と華やかなナンバーが続いたのち、先ほどのMC通り、早くも1人目のゲストである大貫妙子がステージに招かれた。披露されたのは、原田のデビュー・ミニ・アルバム『バースデイ・アルバム』(1983年)で大貫が提供した名曲「地下鉄のザジ (Zazie dans le metro)」。初録音から40年におよぶ深い信頼関係を物語る、相性抜群のデュエットを聴かせた。
そして、デビュー当時に主演ミュージカルの主題歌として松任谷由実から提供された「ダンデライオン~遅咲きのたんぽぽ」をしみじみと歌ったのち、2人目のゲストの土岐麻子がステージに登場。土岐が作詞を手掛け、デュエット・ヴァージョンも録音した「ping-pong」を軽やかに披露した。第1部の最後では、『映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』の主題歌になった「冬のこもりうた」を、スクリーンに投影される美しい映像をバックに感動的な歌唱を繰り広げた。
休憩をはさんだ第2部は、最新作『fruitful days』収録の「Like This」からスタート。降りたままのステージ幕にさまざまなイメージが投影され、その背景で幻想的な演奏が繰り広げられる。曲が終わって幕が上がり、原田のシルエットがステージ後方に浮かび上がると、楽曲は川谷絵音提供の「ヴァイオレット」へ。そして、白いワンピースに着替えた原田はファルセットを交え、切ないメロディを凛とした表情のヴォーカルで歌い上げた。
続いては、ポップ・エレクトロニカ・バンド、pupaで活動を共にした高野寛が3人目のゲストとして登場し、高野が作詞を手掛けた『fruitful days』収録曲「邂逅の迷路で」を演奏。高野のギターとコーラスが加わることで、楽曲がよりドラマチックに変貌を遂げたのが印象的だった。そして、最後のゲストとしてムーンライダーズの鈴木慶一がステージに招かれた。鈴木は1992年から96年にかけて原田のプロデュースを手掛け、アイドルからアーティストへの扉を開いた歌手・原田知世にとっての最重要人物。高橋幸宏とのユニット、THE BEATNIKS名義で『fruitful days』に提供した「アップデートされた走馬灯」にギターとコーラスで参加。同曲は今回がステージ初披露となった。
コンサートの終盤には、自身で作詞を手掛けた「夢の途中」や、“もっと多くの人に届けたいので、これからも大切に歌っていきたい”と紹介した「一番に教えたい」という、現在の原田の想いが込められたナンバーが並んだ。そして本編ラストは「銀河絵日記」。作家/作詞家の高橋久美子が手掛けた人生をあてのない旅になぞらえた歌詞を、軽やかで芯のある歌声で表現し、これから先の原田知世を予感させるパフォーマンスとなった。
アンコールは、まず1997年のヒット曲「ロマンス」。ファンへの感謝のしるしとして、この曲のみ観客も撮影OKとなり、原田はステージの左右まで歩いていき客席に笑顔を振りまく。演奏後には、胸いっぱいの表情で「14歳の私はこんな日が来るなんて、あの時は想像できませんでした。本当にたくさんの素晴らしい出会い、そして愛をいただきながら、ここまで歩んでくることができました。なにより、一緒に歩んできてくださった皆さんが温かく見守ってくださっていて、こうして今日この時を皆さんと共に過ごせていることを本当に幸せに思います。40周年で、いつも応援してくださっている皆さんにお返しをする一年にしようと思ってやってきましたが、逆にたくさんの勇気や力を皆さんからいただきました」と語った。
そして最後は「時をかける少女」。ここで観客が携帯電話のライトを点灯し左右に振るサプライズが。客席全体が星空のような空間となり、まさに時をかける素敵な演出となった。原田は感激のあまり涙を流し、時おり声を詰まらせる場面もあったものの、最後まで大切に歌いきった。心にしみるパフォーマンスに、客席からは惜しみない拍手が送られた。歌い終わり、出演者全員がステージから去ったあとも、原田は何度も観客に向けて感謝の気持ちを繰り返していた。
尚、11月2日(水)には原田知世初のオフィシャル・カバー・アルバム『ToMoYo covers』がリリース予定だが、アルバムからの先行シングル第2弾となる、kiki vivi lilyの「ロマンス」が10月19日(水)に配信となる。MELRAWやLAGHEADSのメンバーで構成されるk.v.l Bandによるトラックに、唯一無二のウィスパー・ヴォイスと趣向を凝らしたコーラスワークが乗る、軽やかでフレッシュなカバーに仕上がっている。
◎公演情報
【原田知世 40th Anniversary Special Concert “fruitful days”】
2022年10月16日(日) 東京国際フォーラム ホールA
<セットリスト>
1.A面で恋をして
2.恋をしよう
3.ユー・メイ・ドリーム
4.地下鉄のザジ (Zazie dans le metro) (with 大貫妙子)
5.ダンデライオン~遅咲きのたんぽぽ
6.ping-pong (with 土岐麻子)
7.冬のこもりうた
~休憩~
8.Like This
9.ヴァイオレット
10.邂逅の迷路で (with 高野 寛)
11.アップデートされた走馬灯 (with 鈴木慶一)
12.夢の途中
13.一番に教えたい
14.銀河絵日記
Encore
15.ロマンス
16.時をかける少女
原田知世(vocal)
伊藤ゴロー(bandleader, guitars) 佐藤浩一(piano, keyboards) 鳥越啓介(bass) みどりん(drums)
織田祐亮(trumpet) 藤田淳之介(saxophones)
伊藤 彩ストリングカルテット(violin: 伊藤 彩, 沖増菜摘, viola: 三木章子, cello: 結城貴弘)
ライヴ写真:(c)三浦憲治
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