2022/09/30
2013年のアイドルデビュー以降、BiSやGANG PARADEのメンバーとして活躍してきたカミヤサキ。2020年以降は様々なアイドルグループの振付を手掛けたり、作品を発表したり、ひとりの表現者として才能を開花させてきた彼女が、初の主催ライブイベント【KFC(kamiya fantastic carnival)】を10月2日(日)渋谷・Spotify O-EASTにて開催することになった。
<アイドル人生後、振付師の道へ「生きる為に出来ることを探そう」>
そんなカミヤサキにとって大きな挑戦となるイベント開催直前に、本人の言葉とともに彼女のアーティスト/クリエイターとしての活動を振り返りたい。まずは自身のアイドル人生に終止符を打ったあと、彼女は何ゆえに振付師の道を選ぶことになったのか。そのきっかけは「何かやらなきゃいけない、でも何もやれない」精神状態に陥ったことだった。
「あの当時はなかなかポジティブな気持ちになれなくて、夢を見ることも難しくて。何かやらなきゃいけないことは分かっているのに、何もやれない自分がいたんですよね。でも、生きていかなきゃいけないし、引きこもってもいられない年齢だったので、自分のやりたいことよりも、まずは生きる為に出来ることを探そうと。そう考えたときに、アイドル時代にグループの振り付けを長く担当させて頂いていたので、それがいちばん……というか、むしろ私に出来ることはそれしかないなって。そしたら、有難いことに多くのアイドルグループの振り付けを手掛けさせて頂く中で、だんだん「私はこういう仕事がしたいんだな」と思うようになって、気付いたら“出来ること”が“やりたいこと”になっていたんですよね。」
「時間はかかったんですけど、とにかく生きていくことだけで精一杯な状態から、少しずつ前向きな気持ちになっていって。振り付けのお仕事をご依頼頂く中で「そのグループのメンバーの子たちとどういう風に関係性を築いていこうか」とか「どういう立場で振付師としてやっていきたいか」とか「どういう人たちと仕事がしたいか」とか前向きに考えるようになって、どんどん積極的になっていけたんです。なので、今は気持ち的にもちゃんと振付師になれた感じがします。そうなれた今だから言えることですけど、アイドル人生を終えてしばらくは余生を送っている感覚だったんですよ(笑)。でも、いろんなグループと振付師として関わっていく中で「このグループにはこういう表現をしてもらいたいなぁ」「私はこの子たちを応援していきたい」と思っていたら、自然と前向きになっていたんです。」
<Drop Shit Qaosの面々との出逢い「余生とか言ってらんなくない?」>
激動のアイドル人生を送ってきたのだから、すぐに新しい人生を謳歌できる状態になれなかったのは無理もない。しばらくは人生の本編を終え、エピローグを生きているような感覚だったのだろう。しかし、カミヤサキは筋金入りのパフォーマーである。数多のアイドルグループの振り付け=パフォーマンスと対峙していく中で、気付けば、余生ではなく第二の人生の本編をスタートさせていたわけだ。そして、その重要な転換期を語る上で欠かせない人物たちがいた。
「アイドルを辞めたその年の冬に清水舞手(SHIMIZU MASH)と出逢ったんですけど、私が変わっていけたのはそこからだと思います。MASHだったり、のちに一緒にDrop Shit QaosのメンバーとなるP→★(ex.TEMPURA KIDZ)ちゃんたちにも出逢って。みんな、良い意味で人の目をまったく気にしていなくて、自分の好きなことややりたいことを全く臆することなく表現していて、そのシンプルな生き方が「めちゃくちゃ格好良いな」と思って惹かれたんですよね。そこで「こんなにシンプルで良いんだな」「自分の表現に素直になってもいいんだな」と気付けて、同時にみんなダンスの表現レベルがめちゃくちゃ高いので、自分に対して「まだまだダメじゃね? 私は環境に甘えていたのかもしれない。余生とか言ってらんなくない?」と思えたことも大きかったですね。」
<PIGGSの存在「プー・ルイと同じ時代を過ごしてきた私だから」>
「PIGGSには振付師としての喜びを感じさせてもらいました。特に「フォーエバー・ヤング」。メンバーがライブで表現してくれて、それにお客さんが呼応して、私の振り付けの意味を超えていく最大級のモノが出来たと感じていて。そんなに小難しいことはやっていないし、分かりやすい単純な振り付けなんですけど、観ていて込み上げるものがあるんですよね。PIGGSが結構悩んでいる時期、そこの背景を汲み込んだ上で「メンバーが想いを乗せられるモノが出来たらいいな」と思って作った振りなんですけど、PIGGSが徒歩でまわったツアーファイナル公演で「フォーエバー・ヤング」を観たときに驚いて。手を挙げて、メンバーひとりずつと順番に顔を合わせて、最後にお客さんと目を合わせて前へ進む──そんな単純な振りなんですけど、そこで「自分の想定を完全に超えてきた!」と思いましたし、このメンバーたちと一緒に創れたことが嬉しく思えて、すごく感動的だったんですよね。そういう体験も含めて、PIGGSも自分の中ではめちゃくちゃ大きい存在。」
「PIGGSはプー・ルイが振付師も楽曲やアートワークを創っている人たちもメンバーとして見てくれているので、そういうチーム感を大切にした関係性で携われるのは嬉しいんですよね。すごくハートフルな感じがする。フリーになると孤独というか、自分の居場所がよく分からなくなることもあるんですけど、PIGGSみたいな継続的にチームの一員として振り付けを手掛けさせてもらえる場所があると、心の安定にも繋がりますし、そういう場所があるからこそ、1曲1曲単体でご依頼頂いている方たちとの仕事も前向きに取り掛かれるので、本当に大切な存在ですね。あと、プー・ルイの気持ちや歴史を深いところまで汲み取って作れるのは私しかいないと思っているので、嘘のないリアルさを乗せながら、プー・ルイやPIGGSの歴史を踏まえて、より濃厚で……ドスの効いたモノが出来るのかなって(笑)。最初のBiSから同じ時代を過ごしてきた私だからこそ、やれることがあると思うんですよね。」
<愛情を持ち続けられる大人でいたい>
カミヤサキの新たなホームとも言えるPIGGSやDrop Shit Qaosも初主催イベント【KFC】に出演。さらに、彼女が振り付けを手掛けているアイドルグループ・雨模様のソラリス、プー・ルイ同様にBiS時代からの戦友であるコショージメグミ改め古正寺恵巳を擁するMAPA、共にWACKに在籍していた頃から付き合いのあるムロパナコ改め葉菜子(オープニングアクト)の参戦も決定している。
そんな“やりたいこと”を確実に形にしていっている彼女だが、この先はどんな表現者人生を歩んでいこうとしているのだろうか。
「「この人の振り付けをやりたい」とか「関ジャムに出たい」とかやりたいことはいろいろあるんですけど、どういう人間になって、どういう風に歳を重ねていくのか──今はそこに重きを置いて考えることが多くて。それで言うと、関わってくれる人たちに対して愛情を持ち続けて、それを作品やひとつひとつのお仕事にも反映できる人になりたい。あと、PIGGSと私はずっと一緒に居たくて、でもPIGGSに助けられている自分にはなりたくなくて。PIGGSが日本武道館や横浜アリーナ、東京ドームに立っている姿を観たい。それも目標のひとつなんですけど、そこにいる私は絶対的な自信を持った私でいたいんですよね。その為にも「知っている振付師いる?」「振付師と言えば?」って聞かれた人たちがすぐ「カミヤサキ」と名前を挙げてくれるような存在にならなきゃいけないなって。だからと言ってビジネスライクになり過ぎず、ちゃんと愛情を持ち続けられる大人でいたいし、そういう自分のままでそこに辿り着きたいなと思っています。」
では、最後に、カミヤサキによる「マイナスなことしか考えられくなくなったときに、セルフで前向きになれる方法」を紹介しておく。ぜひお試しあれ。
「自分が好きな人や感謝している人たちがいて。その隣に居て恥ずかしくない自分でいたいんです。その為にも考えが止まる大人にはなりたくないんですよ。ひとつの正解に固執するんじゃなくて、常にいろんなことを考えながらまた新しい正解を見つけていける人でありたい。そう思えるようになったのは、私、前よりちゃんと反省できるようになったからなんですよ。なので、めっちゃ落ち込んだりして、マイナスなことしか考えられなくなるときもあるんですけど、ふと明け方に「待てよ。最近、やたらめったらマイナスなことばかり考えてない?」って急に俯瞰的になって、そこで自分を褒めたりするんです。ギャルが褒めてくれているようなテンションで想像するのがポイントなんですけど──「え、だってぇ。自分ひとりでちゃんと仕事のめっちゃ長いメール読んで返すの、えらくない? そもそもちゃんと仕事してるの、えらくない? 部屋の掃除してるのもえらいしぃ。前まで余生とか言って考えること諦めてたのに、今はちゃんと反省できてるのえらすぎっしょ!」みたいな(笑)。そうするとネガティブな考えがなくなって「まだまだいける!」って思えるんですよね。ぜひ試して見てください。ポイントはギャルです(笑)。」
取材&テキスト:平賀哲雄
◎イベント情報
カミヤサキ初主催ライブ【KFC(kamiya fantastic carnival)】
2022年10月02日(日)渋谷・Spotify O-EAST
出演者:雨模様のソラリス / Drop Shit Qaos / MAPA / PIGGS / 葉菜子(OA)
OPEN 12:00 / START 12:30
チケット:前売3,000円 ※ドリンク代別途
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2230909
◎カミヤサキ ツイッターアカウント
https://twitter.com/SAKI__KAMIYA
◎カミヤサキ YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCuVwbt-5bM5ehjXEvKq3f4g
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