2022/07/14
HYDEのソロ活動20周年記念のオーケストラ・ツアー【20th Orchestra Tour HYDE ROENTGEN 2021】と、京都・平安神宮で催された【20th Orchestra Concert 2021 HYDE HEIANJINGU】を収録したDVD/Blu-ray『HYDE 20th Anniversary ROENTGEN Concert 2021』の発売を記念して、2022年7月7日に先行上映会が行われた。
【20th Orchestra Concert 2021 HYDE HEIANJINGU】上映後、七夕にあわせて浴衣姿のHYDEが登場すると、会場は大盛り上がり。「金子(國義)先生のアリスの浴衣です」と、この日の浴衣を紹介すると、会場からは大きな拍手が届けられた。当日まで、各地で台風が心配されていたが、晴れ男の登場によって、会場の東京・TOHOシネマズ 六本木ヒルズは快晴に恵まれた。
しかし、平安神宮公演の初日(昨年7月31日)は大雨に見舞われた。雨の中、会場に集まった観客を見て気の毒に思ったというHYDE。「初日は雨で悔しかったけど、2日目はやりたかったことができたんです。今日は2日目の様子を見ていただきましたけど、その2日間を1つのパッケージと考えれば、すごく美しいライヴだったと思います。ドキュメントに雨の日の映像も入ってるんですけど、それがまた美しいんですよ。自分で言うのもなんですけど(笑)」と当時を振り返ると、観客も拍手で反応した。ファンからの温かい反応を目の当たりにしたHYDEは、「ありがとうございます。この映像ができて、雨が降ったこともやっとOKになったというか、満足しました。ぜひその映像も見ていただきたいなと思います」とメッセージを送った。
ライヴ前は、HYDEのニコニコ生放送公式チャンネル「HYDE CHANNEL」で公開されている通り、緊張感と緊迫感が溢れる現場でもあった。スタッフがHYDEと距離を取っているように見えたというMC・下埜正太の言葉に「ずっとピリピリしてたからね。『まだできないの?』『じゃあ、どうしたらいいの?』とか、『傘はどうするの?』ってずっと聞いてたら、だんだん離れていって……気がついたら向こうのほうでスタッフが固まってて。そこに行って、『あれは?』『ファンの子たちは今、どんな状態なん?』って聞いたら、しばらくして、また向こうのほうに集まってて(笑)。」と、苦笑い。
しかし、すべてはファンのためであることは本人もスタッフも自覚していた。「歌ってるときも、空とか建物を見ながら、こういうのってなかなかできることじゃないから、本当に感謝しながら歌わないといけない、この情景を目に焼き付けたいと思いながらやっておりました」「やっぱり、あの場所っていうのがあるじゃないですか。ああいうところで生死をかけた物語を歌うと、すごく吸い込まれるような気がして。宇宙にね。そういう気持ちで歌ってました」という言葉から、HYDEにとっても感慨深い公演になったことが伝わってきた。
ライヴの見どころは、プロジェクション・マッピングを使用した、豪華な演出だ。どういった世界観を作り出すのか、かなりの時間をかけて構想していったと話す。「いろんなスタッフと雅楽をどうやって入れていくか、音楽的なアレンジもやりながら、みんなで作っていったイベントでしたね。あのプロジェクション・マッピングもその時だけだから、結構大変でした。」
下埜がライヴ前にしたインタビューで「僕しかできない平安神宮を見せます」と話していたというHYDE。その年のオーケストラ・ツアーでは披露していなかった「ZIPANG」や「MY FIRST LAST」は、まさに平安神宮公演ならではのパフォーマンスになった。HYDEも「あそこでやるからには、そういうハイライトになるものが欲しいと思ったので、そこにいろんなアイディアを持ち込みました。あれはやっぱり、僕ぐらいしかできないんじゃないですか?」と自信をのぞかせる。
コロナ禍の中、様々な制限をクリアさせながら成功させた平安神宮公演2日間の感想を改めて訊かれたHYDEは「僕の音楽人生の中でも強く記憶に残る2日になりました。この時期だからこそ、余計に。メンバーもスタッフもお客さんも、その日のために一生懸命対策をしてきて、その日を楽しみにして。みんな緊張しながら当日を迎えましたけど、なんとかこうやって美しいライヴができました。やっぱりそこは、お客さんが見てくれてるから。絶対に後悔させないものを作りたいという気持ちがあったから、こういうコンサートができたんだと思いますね」と、ファンやスタッフの協力あっての成功だと明かす。
20年というソロ活動の節目に、これまでのソロ活動を振りかえった心境を尋ねられると、「いろいろありましたね。20年前に『ROENTGEN』を作ったときにライヴをやらなかったこととか、いろんなものが重なって。コロナ禍、20周年、『ROENTGEN』のツアー……もう全部、『今、やりなさい』みたいな感じで。みんな、エンターテインメントが欲しかったし、会いたかったと思うので、そんな中で開催できたライヴは、もうほんと全部……そういう気持ちが重なったライヴで、みんなの思いが詰まったライヴでしたね。」と述べた。
ファンを楽しませることを第一に、これまでのソロ曲に加えて、リリース前の新曲をいち早く聞かせるなどして、“今のHYDE”を見せることも忘れていなかった。「そんなことしたことなかったし、大丈夫かなって。音源が出る前に映像化しちゃって、怒られないかなって思ってました」と、心配もあったと告白するも、「HYDEさんに怒る人います?」という突っ込みに「そういえば怒られないですね、最近(笑)。」というやり取りを見せて、会場を沸かせた。
ステージに用意された短冊にその場で願いごとを書くコーナーも設けられ、ピンクの短冊をチョイスし、書いた願いは「猫アレルギー治りますように」。予想外の願いにMCもオーディエンスも爆笑の渦に。「僕、ちっちゃい頃に猫を飼ってたんですね。で、ある日突然アレルギーになって……それ以来、猫アレルギーなんです。インスタとかでかわいい猫の投稿を見ると、『かわいい~。触りたぁい』って思うけど、触れないから。『シザーハンズ』みたいな気持ちになる……。」
舞台挨拶も終盤に差し掛かり、現在開催中の対バンツアー【RUMBLE FISH】の話に。「自分でも信じられないくらいキャラが違う」という本ツアーでは、「いろんな自分を表現したいし、自分にはそういう個性があるって気がしてきましたね、最近」と、自身にプラスになっているようだ。
最後に、全国から集まったファンにメッセージを求められたHYDEは「今日はよく来てくれました。ありがとうございます。やっぱりこうやってよくしてくださってるファンの方々がたくさんいてくれるから、それに負けないように、僕らも映像やライヴに気合いを入れています。ひとつひとつ観てもらって、HYDEのライヴよかったなと思ってもらうことが僕の生きがいなんで。みんながいなければ、こんなに頑張ることもできないし、みなさんのおかげでいい作品が作れたと思ってます。今後とも、応援してください。よろしくお願いします」と、謙虚で愛にあふれた言葉でファンに恩返し。鳴りやまぬ拍手の中、ステージを後にした。
続いて行われた【HYDE 20th Anniversary ROENTGEN Concert 2021】上映前の全国ライブ・ビューイングでは、大きな拍手で迎えられ、浴衣姿のHYDEが小走りでステージに登場。「勢いが大事かなと思いまして」と、スタートから会場を沸かせる。そして、妖怪がたくさん描かれた「百鬼夜行」がテーマの浴衣を紹介するHYDE。YouTubeチャンネルにも登場する相方のEdyhも描かれたデザインに観客から大きな拍手が届けられた。
そして、2021年8月15日に行われたパシフィコ横浜公演に話題が変わる。MC・下埜正太の「どんな余韻が今ありますか?」という問いかけに「集大成をあの場所でやりたかった。そこに向けて頑張っていたところもありますね。コロナ禍、大変な時期でもあったんで、一人一人がその日に向けてピリピリしていました。でも素晴らしいライヴができたと思います」と当時を思い返すようにしみじみと語っていた。
前回のツアー【HYDE LIVE 2020-2021 ANTI WIRE】の頃から、スタッフやファンと共に意識高く感染対策・予防対策を行ってきたというHYDE。その結果、何事もなくずっとツアーを続けてきたことに関して「表面上はそういう努力は伝わらないけれども、実はみなさんの懐が深いというかね、このライヴにはすごい大きな流れがあるんです。みんなの努力と、お客さまの努力が結集したというかね。そういうライヴですね」とコメントした。
コロナ禍という状況だからこそ実現した今回のツアーについては「いろんなタイミングが重なりましたね。20周年ということで、20年前にリリースしたアルバム『ROENTGEN』のツアーをそういえばやってなかったなっていうのもあるし。このツアーの為に『ROENTGEN』を作ったのかもしれないという気持ちになりましたね」と語っていた。
話題は、ツアーのセットリストにも盛り込まれていた当時の新曲「NOSTALGIC」と「FINAL PIECE」に。前者のミュージックビデオはHYDEの故郷である和歌山県の白崎海洋公園で撮影され、2021年には来場者数16万人を超える大盛況を収めた。「ミュージックビデオがきっかけで和歌山遊びに行った方、拍手いただいてもよいでしょうか?」と下埜が問いかけると大きな拍手が返ってきた。その反応にHYDEは冗談交じりで「和歌山からなんかもらってもいいかもしれないね(笑)」と一言。そして、後者はHYDEも原作を愛読したというドラマ『ハレ婚。』の主題歌に起用された。ドラマに本人役としてカメオ出演したことについては「ちょっとしか出てないけど、GACKTから『俳優やるの?』って連絡きた(笑)」と裏エピソードを明かした。
常に「お客さん視点で物事を考える」というHYDE。話題はそんな思いで制作された今回の映像作品に切り替わる。本作に収録される長尺ドキュメンタリー映像「Orchestra Concert Documentary」や商品のデザイン、特典のフォトフレームなどすべてにこだわりが詰まっているという。もちろん映像作品だけではなく「例えばライヴにしてもせっかく同じお金を払ってるんだったら、なるべくお客さん全員が見やすいほうがいいじゃないですか。もちろん最前の人はいいかもしれないけど、後ろの席からも見やすいようにとか。またセットだと、バックドロップのポジションとか結構細かく指示しますね」と、ファンを第一に思うHYDEに拍手が送られた。
当日は、ステージに用意された短冊にその場で願いごとを書くコーナーも設けられた。青の短冊を選び、黙々と願いごとを書き始めるHYDE。静寂に包まれた後、発表された願いごとは「今年もドラえもんが来てくれますように」。「去年の七夕に『机からドラえもんが現れますように』ってTwitterに書いたら、ドラえもんの公式Twitterアカウントから返信が来た」というエピソードから「七夕ってパワーがすごいなって思って。で、調子に乗って今年も!」と笑顔で語っていた。
そして、現在開催中のツアー【HYDE LIVE 2022 RUMBLE FISH】についても触れていた。後半戦に突入する段階での手応えについては「すでにやってよかったなと思います。対バンと本気で戦うから、自分たちよりすごいバンドがいっぱいいるなって気付きました。そういうことを吸収してさらにどんどん拡大していきたいなと思ってます」と答える。
また、HYDEがボーカルをはじめるきっかけになったバンド・GASTUNKとの対バンが開催されることについても「泣かないようにしないといけないと思っています(笑)」と一言。近年、30年振りに清春とGASTUNKのライヴに行ったという。「しばらく活動をしていなかったバンドが妙に変わったりとか、媚びを売るようになったりしてきたのを見てきた。だけど、そういうのも一切なく、当時のままのクールなGASTUNKだったんで、僕と清春君の中で『めちゃめちゃカッコいい』と評価がさらに上がってしまって。それがきっかけで今回のライヴが実現したって感じですね」。
最後に、全国から集まったファンにメッセージを求められたHYDEは「今日集まってくださったみなさん、ありがとうございます。大画面で映像を見ることができる機会はなかなかないと思うので、じっくり見てもらいたいなと思います」とコメント。また、見どころであるオープニングのCGによる演出については「演出を提案してくれたスタッフとすごくやり取りがありました。結果、自分が感動してしまいました。それくらい素晴らしい映像にできあがってます。みんながいなかったらそこまで頑張らなかったかもしれない。いつもこうやって美しいHYDEクオリティができるのは、やっぱりみなさんのおかげです」と、最後までファン思いの一面を見せ、ステージを後にした。
Text by Tatsuya Tanami
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