米バージニア州出身のラッパー、プシャ・Tの新作『It's Almost Dry』が1位に初登場した、今週の米ビルボード・アルバム・チャート。

　『It's Almost Dry』は、2018年にリリースした前作『Daytona』から4年ぶり、4作目のスタジオ・アルバムで、TOP10入りは最高3位を記録したその『Daytona』と、2013年のデビュー・アルバム『My Name Is My Name』（最高4位）を含む3作目、首位獲得は意外にも自身初の快挙となる。

　『It's Almost Dry』の初動ユニットは55,000で、そのうち45,500がアルバム・ストリーミング（SEA）、500がトラックごとのユニット（TEA）、9,000がアルバム・セールスと、全体の83％をストリーミングが占めた。アルバムの週間ストリーミング数は、全12曲で5,911万回を記録している。

　12曲以下で1位を獲得したラップ・アルバムは、昨年の5月29日付でNo.1デビューを飾ったJ.コールの『The Off-Season』以来、約1年ぶり。なお『The Off-Season』が初週で記録したアルバム・ストリーミングは243,000で、『It's Almost Dry』と同じ12曲で3億2,505万回という凄まじい数字を打ち出している。

　2022年に首位を獲得したアルバムのうち、『It's Almost Dry』よりもトラック数が少なかったのは4月2日付で1位に初登場したStray Kidsの『Oddinary』で全7曲。それ以前に12曲以下で1位を獲得したのは、2021年12月4日付から2022年1月8日付まで6週をマークしたアデルの『30』（全12曲）だった。なお、『30』のターゲット限定CDは全15曲で構成されている。

　曲数が少ないこともあり、1位に初登場したアルバムの週間ユニットとしては、『It's Almost Dry』より約100ユニット少なかったNFの『パーセプション』（2017年10月28日付）以来、過去2年間でのワースト記録となる。なお、初週ではなく2週目以降で1位を獲得したアルバムとしては、2週前の4月23日付で2週目の首位を獲得したリル・ダークの『7220』（今週3位）が47,000ユニットというワースト記録を更新している。

　4月上旬にリリース発表が行われた『It's Almost Dry』は、18日にリリース日が告知され、22日にリリースされた。アルバムのメイン・プロデューサーにはカニエ・ウェスト（イェー）とファレル・ウィリアムスが、ゲストにはジェイ・Zやキッド・カディ、リル・ウージー・ヴァート、ドン・トリヴァーなど豪華な面々が参加している。

　2位は、前週に引き続きモーガン・ウォレンの『デンジャラス：ザ・ダブル・アルバム』 （51,000ユニット / 1％増加）が、3位もリル・ダークの『7220』（39,000ユニット / 9％減少）がそれぞれ同位をキープ。4位は、先週の5位からオリヴィア・ロドリゴの『サワー』（35,000ユニット / 12％減少）が、6位も先週7位からドージャ・キャットの『プラネット・ハー』（30,000ユニット / 2％増加）がそれぞれ上昇し、先週6位にランクインしていたドレイクの『サーティファイド・ラヴァー・ボーイ』（30,000ユニット / 1％増加）は7位にダウンした。

　続いて8位には、米テネシー州ナッシュビル出身のカントリー・シンガー＝ジェイソン・アルディーンの新作『ジョージア』が初登場。初動ユニットは26,000で、そのうちアルバム・セールスが13,000、アルバム・ストリーミングが12,000（全15曲で1,540万回）、トラックごとのユニットは1,000をそれぞれ獲得した。

　本作は、昨年の11月27日付で同8位にデビューした前作『メーコン』の続編で、TOP10には2007年に最高4位を記録した『リレントレス』から10作連続のランクインを果たしている。

4位『リレントレス』（2007年）
4位『ワイド・オープン』（2009年）
2位『マイ・カインダ・パーティー』（2010年）
1位『ナイト・トレイン』（2012年）
1位『オールド・ブーツ、ニュー・ダート』（2014年）
1位『ゼイ・ドント・ノウ』（2016年）
1位『リアビュー・タウン』（2018年）
2位『9』（2019年）
8位『メーコン』（2021年）
8位『ジョージア』（2022年）

　以下、9位はガンナの『DS4Ever』（23,000ユニット / 3％減少）が、10位もリル・ベイビーの『マイ・ターン』（22,000ユニット / 6％増加）がそれぞれ同位をキープしている。

Text: 本家 一成

※関連リンク先の米ビルボード・チャートは5月6日以降掲載予定となります。

◎【Billboard 200】トップ10
1位『It's Almost Dry』プシャ・T
2位『デンジャラス：ザ・ダブル・アルバム』モーガン・ウォレン
3位『7220』リル・ダーク
4位『サワー』オリヴィア・ロドリゴ
5位『ミラベルと魔法だらけの家』サウンドトラック
6位『プラネット・ハー』ドージャ・キャット
7位『サーティファイド・ラヴァー・ボーイ』ドレイク
8位『ジョージア』ジェイソン・アルディーン
9位『DS4Ever』ガンナ
10位『マイ・ターン』リル・ベイビー