2022/04/29
室町時代に実在し、人々を熱狂させた能楽師“犬王”をポップスターとして描いている湯浅政明監督最新作『犬王』。ミュージカルアニメーション映画の本作は、【ヴェネツィア国際映画祭】など国内外の映画祭で「ロックオペラ!」などと絶賛された他、一足先に観た観客からは「日本文学とボヘミアン・ラプソディのマッシュアップ!」「映画を観たというよりフェスに行ったという感覚!」といった声もあがっているそうだ。
歴史の陰に隠された能楽師と琵琶法師が、室町時代を舞台にド派手なロックを掻き鳴らす映画『犬王』について、ここではその音楽の魅力を紐解く。
日本最古の古典芸能《能楽》をテーマにしつつ、ド派手な舞台装置や掻き鳴らされる琵琶、その姿に熱狂する人々など、まるで現代のロックフェスのような熱狂が描かれる本作。“室町時代×能×ロック”というアヴァンギャルドな世界観を生み出した理由について、湯浅監督は「室町時代の聴衆が感じた感動を、今の自分たちが感じるにはどうしたらいいんだろう?と考えたときに、『600年前の話なのに現代の音楽が現れた!』という意外性が、当時の人の『まったく新しい音楽!』という違和感や新しいものを聴いた感触に繋がるのではないかなと思いました。」と解説。彗星のごとく現れた無類のスター“犬王”に、室町当時の聴衆が感じた常識外れの違和感と音楽の衝撃を、同じように現代の観客にも感じて欲しいとの想いを込めたという。
そんな湯浅監督の熱い想いのもと、主人公“犬王”を演じるのはロックバンド「女王蜂」のヴォーカル、アヴちゃんだ。独創的かつ衝撃的なパフォーマンスで現代の音楽シーンを席巻するその姿は、逆境をものともせず特異な体つきと生まれつきの才能を活かして時代の寵児となっていく犬王そのもの。さらにアヴちゃんは声優出演のみならず、本作の楽曲のディレクションや作詞にも参加しているのだ。
また、ロックギターの如く琵琶を掻き鳴らし、激しいシャウトと共に物語を響かせる犬王のバディ=盲目の琵琶法師“友魚(ともな)”を演じるのは実力派俳優・森山未來だ。森山は役作りとして琵琶の演奏にも初挑戦し、琵琶監修の後藤幸浩(薩摩琵琶演奏家)を「練習を続けられていたら凄い奏者になれると思いますよ。」と言わしめる上達ぶりを見せたという。
一方、劇中の音楽は大友良英(NHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』、映画『花束みたいな恋をした』)が手掛け、時代を超越した音楽表現に挑戦している。
大友とのコラボレーションで創り上げた犬王のイメージとインスパイアされた音楽について、湯浅監督は「人々が新しい音楽を聴いて熱狂するところはビートルズが出てきた時の印象を参考にしました。」とコメント。また他の楽曲でも「自分の好きな曲をイメージしてムービーを作りました。ビートルズやクイーン、エルヴィス・プレスリー、ディープ・パープル、ジミ・ヘンドリックスなどをイメージしたシーンもある」などと明かしていることから、劇中の犬王の姿に現代のレジェンド・ロックスターの面影も見られることだろう。
映画館に居ながら思わず体を揺らしてしまうような、ロックフェスの熱気を感じられる映画『犬王』は5月28日より全国公開。
◎映画情報
『犬王』
2022年5月28日(土)全国ロードショー
監督:湯浅政明
脚本:野木亜紀子
原作:「平家物語 犬王の巻」古川日出男著/河出文庫刊
キャラクター原案:松本大洋
音楽:大友良英
アニメーション制作:サイエンスSARU
声の出演:
アヴちゃん(女王蜂)
森山未來
柄本佑
津田健次郎
松重豊
配給:アニプレックス、アスミック・エース
【あらすじ】
室町の京の都、猿楽の一座に生まれた異形の子、犬王。周囲に疎まれ、その顔は瓢箪(ひょうたん)の面で隠された。
ある日犬王は、平家の呪いで盲目になった琵琶法師の少年・友魚と出会う。名よりも先に、歌と舞を交わす二人。 友魚は琵琶の弦を弾き、犬王は足を踏み鳴らす。一瞬にして拡がる、二人だけの呼吸、二人だけの世界。
「ここから始まるんだ。俺たちは」
壮絶な運命すら楽しみ、力強い舞で自らの人生を切り拓く犬王。呪いの真相を求め、琵琶を掻き鳴らし異界と共振する友魚。乱世を生き抜くためのバディとなった二人は、お互いの才能を開花させ、唯一無二のエンターテイナーとして人々を熱狂させていく。頂点を極めた二人を待ち受けるものとは――?
歴史に隠された実在の能楽師=ポップスター・犬王と友魚から生まれた、時を超えた友情の物語。
(C)2021 “INU-OH” Film Partners
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