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2022/02/21

ぽわん「ごめんなさいと言いたかった」歴代メンバー再集結インタビュー公開! 不器用過ぎたバンドの絶交と再会の物語──2/23結成10周年ライブへ

 ガールズポップバンドシーンの異端児(ドラマーは女装家、のちに加入するギターはノーマル男性)として暗躍するも、メンバー間の不仲で脱退&加入を繰り返してきたぽわん。2019年以降はメイビーモエ(vo,g)ひとりのバンドと化していたが、なんと結成10周年を迎える2022年、ほぼ全メンバー再集結ライブを2月23日に下北沢シェルターで開催することが決定した。

 この奇跡の事態を受け、歴代メンバー揃い踏みでのインタビューを敢行。売れたくて命懸けだったゆえに傷付け合ってしまった、不器用過ぎる奴らの絶交と再会と謝罪の物語。ぜひご覧頂きたい。

参加メンバー:
メイビーモエ(vo,g)
戸田らら美(b)
舘 松子莉(dr/愛称マツコ)
神永ミサキ(key/旧名ファズミサキ)
マリナティシャン(b)
あししオポチュニティー(g)

◎ぽわん 奇跡の歴代メンバー再集結インタビュー

<ぽわんのあらすじ~ケンカして脱退したり解散したり>

--ぽわん結成10周年で歴代メンバー再集結。と言っても、その歴史のすべてを知らない人もいると思いますので、まずはぽわんのあらすじを語ってもらえますか?

メイビーモエ:まず私と戸田らら美、マツコの3人でぽわんを結成……厳密には私とらら美と幻の女子ドラマーの3人で始めたんですけど、初ライブの前に女子ドラマーが辞めちゃったんです。実はそこで1人目の脱退があったんですけど(笑)。

--エピソードゼロの時点で、すでに脱退者がいたんですね(笑)。

メイビーモエ:それで知り合いのマツコを誘う流れになりまして。その3人で1年ぐらい活動して、初めてのツアーの帰り道で私が「新メンバーを入れたい」と言い出して、ツイッターで募集したときにミサキが応募してきてくれたんです。それから4人で1年半ぐらい活動したのかな?

--ぽわんの名がライブシーンに広まった時代ですね。

※ガールズバンド界の異端児“ぽわん”水着姿で客席乱入……スク水盗難!?
https://www.billboard-japan.com/d_news/detail/19746

メイビーモエ:そうですね。ただ、私とらら美がケンカしてしまって。で、らら美に辞めてもらって……(笑)

あししオポチュニティー:イヤな話だな(笑)。

メイビーモエ:で、そのあとにひとりサポートメンバーを入れた状態で3か月ぐらい活動していて、またツイッターでメンバー募集したら、ぱいぱいでか美の親友ということを隠していたマリナティシャンが加入してくれて。

--当初は隠していたんですね。

メイビーモエ:それが忖度になるんじゃないかと思ったらしくて(笑)。本当はギターの女の子も加入する予定だったんですけど、結局は上京してこなかったから、私とマツコとミサキとマリナの4人で活動することになりまして。ただ、それから半年ぐらい経ってツアーをまわっているときに私とミサキがケンカして。ミサキとは歴代メンバーの中でいちばんケンカの熱量が高かったんですよね。で、ミサキに辞めてもらって……(笑)。

--辞めてもらいすぎでしょ(笑)。

※ぽわんのアイドル脱退……「ただ、まだどうにかなるような気がして」終わりと始まりを告げた夜
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メイビーモエ:それでまたツイッターでメンバーを探していて、ちょうど「昨日解散しました」みたいなツイートを見つけて、あししオポチュニティーに加入してもらったんです。で、その10か月後ぐらいにもうひとり、ここに呼ばれていないミノリンチーノ(key)も加入しているんですけど、実はその前にミサキに「ごめんね」と謝りに行って、そこでミサキを誘っているんですよ。ただ、ちょっと考えてくれたんですけど、ぽわんを辞めるときにお世話になった職場で働いていたから、そこに義理を通すと言って結局入らなかったんですよね。それでミノリンチーノが入ってくるんですけど、3か月ぐらいで辞めてしまって……

--その結果、メイビーモエ、マツコ、マリナティシャン、あししオポチュニティーの4人体制になるわけですね。

メイビーモエ:ただ、その体制も半年ぐらいで揉め始めて、私とマリナvsマツコとあししの2対2でケンカになりまして。

マリナティシャン:女子と男子で(笑)。

メイビーモエ:それで「そんなバンドだったら辞めてやる」と私たちがスタジオを飛び出したんですよ。で、その次の週ぐらいにレコーディングがあったんですけど、男性陣がばっくれて「行きません」みたいなLINEが来たから、それで「辞めるとも言わずに居なくなるなんて!」みたいな感じになって。その流れで「そんなバンドだったら辞めてやる」と先に言ったウチらが辞めたことにしようと……自分で説明していてもよく分かんないんですけど(笑)、それぐらいおかしな脳味噌になっちゃっていたんですよね。で、解散することになるんですけど。

--そこでいったん幕を閉じたと。

メイビーモエ:それから私はソロで活動していて、ぽわんの曲も封印してライブしていたんですけど、ある日のライブのアンコールでめちゃくちゃ「マイナーガール」を歌いたくなって、それを歌いつつ「ぽわん、やります。たぶん」って勝手に言っちゃって(笑)。で、メンバーに「やっぱりやってもいいですか、ひとりで」と連絡したら「いいよ」とみんな言ってくれたので、サポートメンバーと2年ぐらい活動していたんですけど、2022年は結成10周年だから「みんな、許して」ってお願いして集まってもらったんです。

--皆さん、よく集まりましたね。

一同:(笑)

メイビーモエ:去年の2月、9周年のときにぽわんとしてライブしたんですけど、そのときにマリナが出てくれたんですよ。それで「これはもしかしたら、みんな出てくれるんじゃないか」と思って(笑)。あと、ちょっとずつ仲直りし始めていたんですよ。らら美とも2年ぐらい前からよく遊ぶようになったりしていて。

<あしし、マリナ、ミサキにとってのぽわんとは?>

--今、ぽわんのあらすじを語って頂いて、歴代メンバーの皆さんもいろいろ思い出したと思うんですけど、本来であれば脱退や解散のタイミングでするべきだった質問をここでさせて下さい。あなたにとってぽわんとは何でしたか? では、あししさんからお願いします。

メイビーモエ:NHKの『プロフェッショナル 仕事の流儀』みたい。

あししオポチュニティー:僕にとってのぽわん。なんだろうなぁ? 学校みたいな感じ。自分から行くと言ったけど、マジで行きたくない日もあるし、「なんであのとき休んだんだろう?」と思うような日もあるような。「楽しい」と「ツラい」がごちゃ混ぜになっているんですよね。でも、最終的には良い思い出になる。そういう意味で、学校みたいだったなって。カロリー高すぎる学校でしたね(笑)。2年ぐらい在籍していたと思うんですけど、2年とは思えないようなボリュームだったんで、僕の歴史の中でそこだけ膨らんでいるような。今まで生きてきた中で、あの頃がいちばん必死になっていましたね。

--続いて、マリナティシャン。最後までぽわんに残ったメンバーですよね。

マリナティシャン:私だけモエちゃんとケンカしていないんです(笑)。

あししオポチュニティー:そんな人いるの(笑)?

--メイビーモエを乗り切った……

メイビーモエ:唯一の人間(笑)。

--そんなマリナティシャンにとってのぽわんとは?

マリナティシャン:ノリは部活なんだけど、システムは会社みたいな。だから部活のノリでいると、たまにすごく怒られることもあるんです(笑)。最終的には部活ノリが大事なんですけど、それまでの過程は部活ノリじゃいられない。そういう矛盾というか、混ざっている感じがあったと思いますね。私は2年半在籍していたんですけど、感情の振り幅が常に激しすぎちゃって。普段の生活で生まれる「嬉しい」とか「悲しい」とか「ツラい」とかの10倍ぐらい感情が溢れちゃっていて、楽しいときは超楽しくて、悲しいときは超悲しい。凄いジェットコースターみたいな感じだったので、ついていくのに必死でしたね。起伏が激しすぎて「あの頃の自分はなんであんなに感情が揺さぶられていたんだろう?」と思うんですけど、たぶん自分の問題というより周りの問題だったのかなって。

一同:(爆笑)

メイビーモエ:マジでそうだと思う(笑)。

マリナティシャン:私は自分がいちばん凡人だったと思っていて、まわりが変人だったから、例えるならサファリパークみたいな感じだったから(笑)そこを車にも乗らず歩いていたからなんだろうなって。でも、それも含めてすごく楽しかったです。

--続いて、ミサキちゃんにとってのぽわん。

神永ミサキ:ぽわん…………いちばん、たぶん人生でいちばん頑張っていたと思うというか……(涙を溢れさせる)すみません。

舘 松子莉:やべぇ。歳だからすぐもらい泣きしてしまう。

神永ミサキ:すみません、なんか。でも、本当に、私にとってぽわんは……人生を賭けてやってたなって思う。だから、辞めなきゃいけない状況まで行ったときは……本当にツラかったですね。辞めてからもすごく引きずっていて。だから「戻ってきてほしい」と言われたときは、もちろんすごく嬉しかったんですけど、でも、もう違うなというか……なんだろうな。ぽわんが解散するというときも、私は酔っ払ってキレていたらしんで(笑)。それぐらい、かけがえのないモノでしたね。良い思い出もいっぱいあるし……何回も何回も「あのとき、こうだったら、誰も辞めずに進めていたのかな」とか後悔することはありましたし……でも、本当に、いろんなことを教わりました。あんまり上手く話せなくてすみません。

--いえいえ。ぽわんがすべてだったということですよね。

神永ミサキ:そうです。だから解散のときに酔っ払ってキレていたと思うんですけど(笑)、でも、それぐらい、忘れたと思っても、何なんですかね、心の奥にそれだけ残っていたんだなって。みんなも「とても2年半とは思えなかったです」とか言っていたけど、それぐらい、本当に「何年分だったんだろう」と思うぐらい、すごい……残ってます。良いことも、悲しいことも。大人になってから「あぁ、ぽわんに居たときに言われていたことってこういうことだったんだな」と思うこともあるし、でも「あれは私が正しかったな」と思うこともあるし(笑)、そういうことも全部含めて……楽しかったなと思います。

<マツコ、らら美、モエにとってのぽわんとは?>

--続いて、マツコさんにとってのぽわんとは?

舘 松子莉:ぽわんを辞めてから1年後ぐらいから……少しずつ、過去のみんなでバンドをやっていたときのことを思い出せるようになって。で、たまに、自分は妄想癖が強いんで、今の質問を自分に投げ掛けたりしていたんですよ。呑みだして、ウィスキー2杯目ぐらいからそういうことを始めるんですけど。でも、毎回上手く答えられないというか「これです」みたいなことは言えなくて。

--なるほど。

舘 松子莉:自分はみんなより歳が10コ以上離れていて、最初に誘ってもらったときにも自分は音楽を辞めていて。ただ「辞めた」と言っているんだけど、何にも残せなかったことがどこかで引っ掛かっていて。そんなときにぽわんに誘ってもらって活動していく中で、二度と「辞めた」と言っているくせにモヤモヤしている日々に戻りたくないと思うようになって。なので、ぽわんが結果的に売れようが売れまいが「もう音楽やりきったな」と思えるまでやんなきゃいけないなと。で、それは出来たかなと思うんですよ。

--では、マツコさんは後悔されていないんですね。

舘 松子莉:辞める2年ぐらい前からかな? 30代ってどんどん体力が落ちていくじゃないですか。それが実はしんどくて。この前まで出来ていたことが出来なくなってくる……っていうのを常に修正しながらやっていかなきゃいけなくて。「いや、でも、負けてたまるか」と。「おまえ、逃げんのか」と自分に言い聞かせながらやっていたんですけど、そこまでやったからこそ、ぽわんを辞めたときと、前のバンドを辞めたときとでは全然違うんですよ。テレビに出れたし、ラジオに出れたし、CD出せたし、ツアーもまわれて……二十歳で東京に出てきた23年前、あのときに思い描いていたことは結構出来たなと思って。そこまで頑張れたのは、このバンドに入れたから。ぽわんじゃないと無理だったと思うんです。なので、良かったなって。今、バンド以外のことでも、あれぐらい頑張れるかと言ったら頑張れないし。俺、竹原ピストルさんの歌がすごく好きなんですけど、あの頃はどの曲を聴いても泣けていたんですよ。

メイビーモエ:たしかに、よく泣いてた!

舘 松子莉:でも、バンドを辞めてから、あんまり泣けなくなってきたんです。たぶん、自分が頑張れてないから。なので、今は乃木坂46ばっかり聴いてます。

一同:(笑)

舘 松子莉:乃木坂46で泣いてます。

--乃木坂46で泣いてるならいいじゃないですか。まだ「カウント10」鳴ってないです(笑)。続いて、らら美ちゃんにとってのぽわんとは?

戸田らら美:私、初めてバンドに入れてもらったのがぽわんで。ただ、エピソードゼロの幻のメンバーともいろいろありまして、反骨精神で始まったんですよね。

メイビーモエ:彼氏を取られたんだよね?

戸田らら美:みたいな!

--みたいな(笑)?

戸田らら美:厳密に言うと、その幻のメンバーが私の元カレのバンドを選んで辞めちゃったんですよ。だから「とりあえずあのバンドより売れてやろうぜ」みたいなところから始まったんです。それからぽわんが私のすべてになっていくんですけど、今振り返るとぽわんに依存していた気がして。何でも「ぽわんに還元できるように」と思っていたし……私、ぽわんを始めてからずっと彼氏いないんですよ。

--そこから今までずっと?

戸田らら美:いないんです。なので、ぽわんが彼氏みたいな感じだったんですよ。それで、仕事しながら活動していく中で「バンドを仕事にしようぜ」とずっとそれを目指していて、「もしかしたら、あとちょっと頑張ればいけるんじゃないか」「ここで一発当てなきゃいけないね」みたいなモードでずっと活動していたんですよね。というか、そういうことばかり考えて焦っていました。もちろん、音楽を作るのもライブするのも楽しかったんですけど、その音楽をどうやったら売ることが出来るのか。今思えば、そっちのほうが比重は大きかったかもしれない。

--でも、ケンカして脱退することになってしまったわけですよね。

戸田らら美:それでもチラチラ見てしまってはいました。ただ、見ると落ち込んじゃうんですよ。

--フラれたあとによく陥る症状ですね(笑)。

戸田らら美:でも、しばらくはJ-POPを聴けなくなっちゃって、70年代の洋楽ばかり聴いていました。そんな傷心モードだったので、辞めてから数年はわりと恨み妬み嫉み(笑)。THE女子みたいな感じでしたね。ぽわんで売れたかったんで、他でバンドをやろうとも思わなかったし。ただ、ぽわんが解散すると知ったときに「終わりを見届けたら、私がひたすら抱き続けていたモヤモヤもなくなるのではなかろうか?」と思って、それでライブを観に行ったときがめちゃくちゃ久しぶりの再会だったんです。でも、行くのが怖すぎて、めちゃくちゃ酔っ払ってから行ったんですよ(笑)。

--でも、その日を皮切りに不仲も改善されたんですか?

戸田らら美:そうですね。「時は流れているな、自分もちゃんとしなくちゃな」と思いまして。それからはよくモエちゃんと遊ぶようになりました。

--そんな多くの脱退や解散を経験しながらも、ぽわんで在り続けようとしたメイビーモエさん。なんでここまでぽわんに拘ったんだと思います?

メイビーモエ:……病気(笑)? 私の中では病気だと思っているんですよね。さっき、マリナが「周りの問題」と言っていたじゃないですか。普段はそんな人じゃないのにおかしくなってしまったのは、たぶん私のそばにいたからなんですよ。みんな、そうなんですよ。私が病気だったから、それが感染しちゃっていたんじゃないかなって。

一同:(笑)

メイビーモエ:今、みんなの話を聞いて、そのすべてに共感できて。私もやっぱり人生を賭けてぽわんをやっていたし、でも「甲子園を目指すぞ!」みたいな部活ノリもあったし、私も彼氏がずっといない状態でぽわんをやっていたし、それこそ依存する気持ちもあったし、だから全員の話に共感できたんですよ。その結果「病気だな」と思いました(笑)。そして、私にとってぽわんは「自分自身だな」と思いました。

<みんなに「ごめんなさい」と言いたかった>

--ぽわん=自分の人生そのものであると。

メイビーモエ:「メイビーモエです」と言っても分かってくれない人が「ぽわんです」と言うと分かってくれるって、そういうことだなって。自分は「ぽわん」と認識されているんだから、ぽわんなんですよね。でも、そのぽわんは自分だけではないので。例えば、ミサキがさっき泣きながら語っていましたけど、ミサキとマツコは体を張ってぽわんを世の中に広めようとしてくれていたんですよ。ふたりは本当にぽわんの翼だったんです。

--実際に飛んでましたからね(笑)。

神永ミサキ:(笑)

舘 松子莉:特攻隊だったからね。

メイビーモエ:その分、傷つくことも多かったと思うし。なので、今日、よくこの場に来てくれたなと思います。

--なんでこのタイミングで再会しようと思えたんですかね?

メイビーモエ:いや、なんか、10周年だったら許してもらえるんじゃないかなと思って(笑)。ぽわんってキリの良い数字が好きで、そういうタイミングでお祭り騒ぎするのが好きだったから、みんな「10周年だよ」と言ったらもしかしたら……と思ったんですよね。それで実際に「10周年なんだけど」とみんなにLINEを送りました。

--なかなかないですよね。主宰者が「今なら許してもらえるんじゃないか」と思って招集かけるイベントって(笑)。

メイビーモエ:謝るチャンスだと思ったんです(笑)。ファンの人もすごく気にしていたと思うんですよ。私、当時、2ちゃんねるに「ヒトラー」って書かれていたんで。

一同:(爆笑)

メイビーモエ:あれからもう2ちゃんねるは見てないですけど、当時「あいつはヒトラーだ。独裁者だ。あいつがいるからぽわんは売れない」みたいなことが書かれていて、それが結構衝撃で。で、ぽわんが解散して冷静になってから「自分ってヤバい奴だったんだ」と自覚するようになるんです。当時は本当にシンプルに「アイツが悪い、私が絶対に正しい」と思っていたんですよ(笑)。「自分の正義しか勝たん!」みたいな状態で7年ぐらい生きていて……ヤバい奴ですよね? ミサキが「「あれは私が正しかったな」と思うこともある」と言ってましたけど、本当にミサキが正しかったなと今は思うし、そうやって「ごめんなさい」と思うことが全メンバーに対してあって。

--簡単に言うと、謝りたかったんですね。

メイビーモエ:私は恨まれているというか、自分のせいでこうなったと思っているので、ファンの人も含めて当事者が全員集まったライブで「ごめんなさい」と伝えたいなと思ったんです。みんなに「ごめんなさい」と言いたかった。そういう想いもあってみんなに声を掛けたんですよね。あと、謝ればまたみんなでバンド出来るかなと思って(笑)。

--そんな業深きメイビーモエに再召喚された、メンバーの皆さんの話も伺わせてください。連絡が来たときはどんな気持ちになりました?

あししオポチュニティー:僕は結構悩んだんですよ。今となっては「なんで悩んだんだろう」と思うんですけど、二の足を踏むようなモノではありましたね。でっかい山みたいな(笑)。登りたい気持ちはあっても、ビビってしまう感じ。彼女はすごく愛せる人じゃないですか。それがすごくイヤなところでもあるというか。

メイビーモエ:ハハハハ!

--めちゃくちゃムカつくけど、愛おしくもあるという。

あししオポチュニティー:そうなんですよね! それはもう「病気」とさっき言ってましたけど、人間の本質というか、持って生まれたもんだと思うので。だから、結局は誘われたらやるしかないんですよ(笑)。

--マツコさんはいかがでした?

舘 松子莉:自分は、仕事の日以外はずっと寝ているんですよ。酒呑んで。だから「何かをやる」ということが面倒くさくて。別に日程とかは休みの希望が出せる仕事だから全然合わせられるし、でも、ドラムも全然やっていなかったし、ぽわんから離れて以降は1回もスティック握っていなかったし、機材置き場も今はゴミ置き場みたいになっているし、そこからスティックを探すのも面倒くさいし……とりあえず「ちょっと1回考える。即答できなくてゴメン」みたいな感じで返信したんです。

--すぐにやる気にはならなかったんですね。

舘 松子莉:で、女子メンバー4人(モエ、らら美、ミサキ、マリナ)は解散直後に1回ライブしているんですよね。だから、その4人は今回も揃うんだろうなと思っていて。そうなると、男は自分だけじゃないですか。…………なんか面倒くさくなっちゃって。

一同:(笑)

舘 松子莉:それで「あしちゃん、巻き込まないといけねぇな」と思って。

メイビーモエ:だから「あしちゃん、出んの?」って聞いたの?

舘 松子莉:そう(笑)。

メイビーモエ:マツコ、めっちゃ面倒くさかったんですよ。なんか「もっと強く誘って」みたいな感じを出してきて。

一同:(爆笑)

メイビーモエ:なんか駆け引きしてきたんですよ! それが面倒くさかったから、マツコのいちばん仲が良い、京都のモルグモルマルモの深田さんとかいろんな人に「マツコに出てって言ってくんない?」みたいな。

舘 松子莉:あぁー! そういうことだったのか……

--今初めて知ったんですね(笑)。

舘 松子莉:根回しだったのか。

メイビーモエ:それでみんなマツコに出るように言ってくれて、そのあとに「マツコ、どう?」って突っついてみたら「しょうがねぇ。あのときもこんな夜だったな。面倒くせぇけど、やるか」みたいなLINEが返ってきて(笑)。まんまと罠にハマってくれました!

--みんなから背中を押してもらって出ることにしたんですね。

あししオポチュニティー:追い込み漁みたいな形で(笑)。

メイビーモエ:マツコはめっちゃ構わないと出ないんですけど、あしちゃんは構いすぎると逃げるんですよ。だから、あしちゃんのことはわりと放っておいたんです。ちゃんと使い分けて確保しました。

あししオポチュニティー:分かってんなぁ。

メイビーモエ:女性陣はすぐに「やる」と言ってくれて。

神永ミサキ:今回はモエさんが結婚したから「お祝いしたいな」と思って。

メイビーモエ:うれしい!

神永ミサキ:それがいちばん大きかったですね。あとはみんな「出るよ」と言っていたし、ぽわん10周年だし、それも盛大に祝いてぇなと思って。

マリナティシャン:私は去年もモエちゃんと一緒にライブしたんですけど、今回は勢揃いするし、特にあしちゃんとマツコさんは最後と決めて行ったライブがあったわけじゃなかったので、もう1回揃ってライブが出来たらなって。思い返したら楽しいことのほうがいっぱいあるし、10周年だったら「楽しい100%」で出来るかなと思ったんですよね。あとは、ミサキちゃんともう1回一緒にやりたかった。実は半年しか一緒に活動してこなかったんで……またやりたかったんです。

--らら美ちゃんは?

戸田らら美:私は数年前からよくモエちゃん夫妻と呑む機会があって、とある日のお酒の席で「ぽわん10周年でライブやるから出てよ」と誘われたんですけど、私も本当に楽器に触っていなかったんで、うにょうにょって適当に答えていたんです。そしたら、その日のインスタにモエちゃんが「予定、確保しました!」って私と一緒の写真を公開していて!

一同:(笑)

戸田らら美:「これはもう逃げられないな!」と思って(笑)。

メイビーモエ:確保しました!

戸田らら美:それで「せっかくだから、みんなと楽しく出来たらいいな」と思って参加することにしました。

<今回の10周年記念ライブで「完治」みたいな>

--そうしてこの6人が集結したわけですね。ぽわん10周年記念ライブには、どんなモードで臨もうと思っていますか?

メイビーモエ:いや、もう、なんか「青春」みたいな。楽しさしかない。あの頃は「売れなければならない」という、後ろから追いかけてくる焦燥感みたいなモノがある中でしか活動してこなかったんですけど、今はマリナがさっき言っていた「部活であり、会社」の会社がなくなった状態なんですよね。なので、初めて純粋に音楽だけを楽しむライブが出来るんじゃないかなと思っています。今、ぽわんの曲を聴くと「こんな良い曲だったっけ?」って思うんですよ!

あししオポチュニティー:分かる、それ。

メイビーモエ:それだけ音楽をピュアに捉えられるようになっていて。本来こうあるべきなんでしょうけど、今回初めて「こうあるべき」をぽわんで感じられていることが嬉しいんですよね。

--ちなみに、このメンバーが揃うのは今回だけなんですよね?

メイビーモエ:特に何も決めてないです。11年目もやるのかどうかも決まっていないし、今のところはこれで気が済むんじゃないかと思ってます。それこそ、これまでのぽわんがずっと「病気」だったとするならば、今回の10周年記念ライブで「完治」みたいな。また15年目とかで再発して集結するかもしれないですけど(笑)。

--では、最後に、10周年記念ライブに来てほしい皆さんへ。ぽわんを代表してマツコさんからメッセージをお願いします!

舘 松子莉:え!? 前からそうだったよなぁ。ライブ前の顔合わせで「最後、締めてください」と言われたり……。そうだなぁ。僕はもうすっかりおじさんなんで。ただ、おじさん…………あ、違うな。

メイビーモエ:ひさしぶりだから腕が鈍っちゃってる(笑)。

舘 松子莉:普通のことを言うようですけど……みんな楽しくやるから、それを観て楽しんでもらえれば。それしかないかなぁ。

--では、ミサキちゃん、お願いします。

一同:(笑)

神永ミサキ:いやぁー、ほんと、10周年でね、こんな大同窓会みたいなことはもうないんじゃないかなと思うんで、ぽいずん(※ぽわんファンの呼称)たちも全国各地から、そして、魔界からも(※ミサキは魔界出身であり、ぽわん脱退と共に魔界へ帰っていた)集まってくれたらいいなって思います。

メイビーモエ:あと、下北沢シェルターでみんなに土下座しますんで、私の世界一美しい土下座を見に来てください(笑)。

Interviewer:平賀哲雄

◎ライブ情報

【ぽわん10周年ワンマン!~黒歴史が多すぎてもはや虹色~】
2022年2月23日(水・祝)下北沢シェルター
OPEN 12:00 / START 12:30
出演:ぽわん'13 / ぽわん'14 / ぽわん'15 / ぽわん'16 / ぽわん'19 / ぽわん'20

【ぽわんの強制祝賀会□~喧嘩しても10周年~】(※□=ハート)
2022年2月23日(水・祝)下北沢シェルター
OPEN 16:30 / START 17:00
出演:ヤジマX EAST / カトキット / さよならミオちゃん / ぽわん
※密会と耳鳴りは出演辞退

◎ぽわん ツイッターアカウント
https://twitter.com/powann_info

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