1973年の結成以降、日本で最も数多くのライブを開催してきたバンド（グループ最多公演記録保持）THE ALFEE。その長いバンドの歴史の中で初めて有観客ライブが開催できない期間を経験し、公演が中止になる度に「それでも準備だけは常にし続ける」と戦い続けてきた彼らが、その長い日々を超えてようやく愛すべきファンの前にカムバック！ 2021年12月23日と24日に日本武道館、29日に大阪城ホールにて約2年ぶりの有観客ライブ【THE ALFEE 2021 Winter Baby, Come Back！】を開催した。

＜皆さんの希望がTHE ALFEEであるならば──＞

　コロナ禍の影響で彼らが苦渋を味わってきた期間、3度のインタビューの機会に恵まれた。1度目は2020年9月のシングル『友よ人生を語る前に』リリースタイミング。緊急事態宣言によってライブ活動自粛を要請された彼らは「緊急事態宣言があって、46周年のツアーが延期になって、当然ながらメンバーとも会わなくなって。あんなに会わなかったのはデビュー以来初……いや、出逢ってから初めてかもしれない（高見沢俊彦）」「（レコーディングで久々にメンバーと再会して）まさか「懐かしい」と思う日がやってくるとは思わなかったよ（桜井賢）」と語りながらも、「ウチらは、逆境とかネガティブな状況を逆手に取って活動してきたところもあるんで。そうやって何でも良い方向へ変えてきた経験がありますんで、今回の無観客配信ライブもそういう契機に出来たら良いよね（坂崎幸之助）」「皆さんの希望がTHE ALFEEであるならば、僕らはそれを裏切らないように、3人とも元気な姿でまた再会できるように活動していきますので、それまでもう少し我慢して待っていて下さい（高見沢俊彦）」とファンの希望であり続けた。

＜我々がやってきたコンサートも「不要不急」というレッテルを貼られたことはショックだし、それについては悩みましたよ＞

　2度目のインタビューは、2020年12月のシングル『Joker -眠らない街-』リリースタイミング。「THE ALFEEとして、無観客の配信ライブはやりましたけど……1本も有観客ライブができなかった。45年以上にわたってこれだけツアーをやってきたバンドが46年目にして1本もやれないというのはね、さすがに「えー!?」ってなるよな？（高見沢俊彦）」「2800本近くライブしてきて初めて。今年はゼロですから（桜井賢）」「仕事がない時期もライブはやっていたもんな（笑）。月に1,2回はやっていた（坂崎幸之助）」「我々がやってきたコンサートも「不要不急」というレッテルを貼られたことはショックだし、それについては悩みましたよ。こういう誰もが不安な状況下でこそコンサートは必要なモノだと思ってきたけど、2020年はそれを実行することが物理的に無理だったから。お客さんを会場にたくさん入れてライブすることはできませんからね。そうなると、僕らみたいなライブバンドはかなりダメージを喰らいますよね。実際に喰らったし（高見沢俊彦）」と厳しい現実に苦悩しながらも、「「不要不急」というレッテルを貼られた以上、僕らは自粛せざるを得ない訳ですけど、逆にそうされたからこそ「音楽の価値」は自分の中では上がっています。人間は寝て起きて食べて働くだけの生き物ではなく、いろいろ考えたり悩んだりする生き物なんですよ。そういうときに必要になるモノが音楽であり、エンタメなのではないかなと僕は思っているんです（高見沢俊彦）」と音楽の力を信じ続けた。

＜「いつかまた通常通りのライブができる」と希望を持って進んでいくしかないですよね＞

　そして、2021年7月のシングル『The 2nd Life -第二の選択-』リリース時のインタビューでは、春の全国ツアー【Best Hit Alfee 2021 春の夢のつづき】に夏の横浜アリーナ公演【THE ALFEE 2021 Summer Baby, Come Back!】がまたもやコロナ禍で中止という状況に追い詰められながらも「いつでもやれる準備だけはしておく。結果的に中止になったとしても、そうやってまたライブが出来る時期を待つしかないし、その繰り返しの先に「いつかまた通常通りのライブができる」と希望を持って進んでいくしかないですよね（坂崎幸之助）」「あたりまえのことがあたりまえにできない時代じゃないですか。でも、ただ我慢しているだけって無理じゃないですか。そこに希望がないと人間は我慢できない。そういう意味では、少しでも「希望を感じてもらえたらな」と思って歌っています（桜井賢）」とそれでも希望を捨てず、「コロナ禍が終わったあとにみんなどう生きていくのか。そこから新しい生活になるじゃないですか。いろんな面で随分やり方が変わると思うんですよ。コンサートの形態も変わるだろうし、あらゆる業種も働き方も変わるだろうし、そんなアフターコロナにおける「希望の歌」を作りたいなと思ったんです（高見沢俊彦）」と希望を音楽に乗せて表現し続けた。

＜みんなの約2年ぶりのストレス！ 鬱憤をパーッと晴らしていって頂きたいと思います！＞

　そんな希望の象徴とも言えるTHE ALFEEが、希望を捨てなかったからこそ再び実現できた有観客ライブ【THE ALFEE 2021 Winter Baby, Come Back！】は、それはそれは美しく生命力に溢れた音楽祭となった。大好きな音楽を歌い、奏で、愛でる。それを大切なファンと生で共有できる歓喜に満ち溢れており、自由自在に形を変えながら動き回る巨大イルミネーションの光に照らされながら、冒頭の「Orionからの招待状」「恋の炎」から桜井賢、坂崎幸之助、高見沢俊彦それぞれのボーカル、それらが鮮やかに一体化する三声ハーモニーの美しさと迫力に涙するファンの姿も見受けられた。巨大なステージの両端まで動き回りながら、年齢を感じさせないパフォーマンスに興じる姿も健在。「今夜は約2年ぶりの有観客ライブ、3年ぶりの武道館。まだ（観客は）大声を出すことはできませんが、拍手、手拍子！ そういったモノで「私はここにいますよ！」とアピールして頂ければと思います。みんなの約2年ぶりのストレス！ 鬱憤をパーッと晴らしていって頂きたいと思います！（坂崎幸之助）」

　その後も、THE ALFEEがコロナ禍で希望の歌として生み出した最新シングル曲「The 2nd Life -第二の選択-」や、THE ALFEEのライブの定番中の定番曲である「SWEAT ＆ TEARS」など新旧織り交ぜたナンバーを畳み掛けていくのだが、新たなスタートを切る意味合いも強い同公演においては「かけがえのない人生 もうやり直しはきかない でも今日という日迎えたこと それがすべてなのさ（The 2nd Life -第二の選択-）」「世界が闇につつまれた時でも かならず夜明け告げる鐘はなる Ah おまえと同じ時代に生まれて 命が尽きるまで夢追いかけよう（SWEAT ＆ TEARS）」といったフレーズたちがことごとくTHE ALFEEとそのファンの人生の歌として強く深く響き渡り、ドラマティックかつ熱量溢れるハードロックサウンドと相まって、爆発的にポジティブなグルーヴが武道館を包み込んでいく。それは「明日を信じて振り向かず、立ち止まらなかった」者たちにしか生み出せないグルーヴだ。3人がステージの中央に並んで全身を振り回しながら楽しげに演奏する姿も堪らなかった。

＜来年2月23日にオリジナルニューアルバム『天地創造』発売＞

　そして、3人の歌声だけどんなクワイヤより幻想的な世界を創造する「賛美歌539」合唱からの「あなたに贈る愛の歌」「心の鍵～悲しみが消える時－you are the rock－」「LOVE」でもって聖なる夜を演出し、愛おしくも悲しく切ないラブストーリーに我々を陶酔させていく。「約2年間、ツアーから離れいてた体が……昨日、そして今日で戻ってきた感がある。戻ってくるって嬉しいよね。みんなの拍手もそう。あと、戻ってきてほしいのは、いちばんに笑い（ツアーグッズ紹介を恒例のまるで漫談のようなテンションでお届けしたのだが、笑い声が聞こえない中でのソレは難しかった模様（笑））。そして、声援です。そんなわけでね、ツアーがないという大変な事態に陥っていたんですけど、なんとか昨日と今日で取り戻せたような気がしています。ありがとう。そして、来年の2月23日にオリジナルニューアルバムを出します！ タイトルが『天地創造』！ 大きく出たでしょ？ もうこれぐらいいっても全然怒られませんよ。こういうベテランは！ 今回目指したのはアコースティック、そしてハード。これをどのようにミックスさせるか。その為に際立たせるようなモノを美味く調合したという！（高見沢俊彦）」「あなたは音楽界の薬剤師です！（坂崎幸之助）」

　嬉しい復活宣言とニューアルバムの発売告知、そして、メンバー同士の芸人のようなやり取り。そんな改めてTHE ALFEEとの再会を実感させるMCを経て、ライブ本編はいよいよクライマックスへ。

＜伝説として語り継がれるであろう「星空のディスタンス」＞

　「もう一度ここから始めよう」「天河の舟」「Final Wars！」「展覧会の絵～GATE OF HEAVEN」「はじまりの詩」とバラードに特撮モノにプログレまで多種多様なキラーチューンを畳み掛け、高見沢のエンジェルギターも光りながら激しく唸り、ステージには無数の炎が噴射する。また、アンコールでは「Christmasメドレー」として「Silent Night」「恋人達のペイヴメント」「泣かないでMY LOVE」「LOVE NEVER DIES」「White Xmas」を畳み掛け、さらに「聖夜 －二人のSilent Night－～Rock'n Roll Jingle Bell」から高見沢が全力疾走した「Stand Up,Baby －愛こそすべて－」まで凄まじい熱量で駆け抜けていくのが、やはり【THE ALFEE 2021 Winter Baby, Come Back！】のハイライトをひとつ挙げるとしたら、そのタイトルにもなっている「Baby, Come Back！」が日本武道館に再び轟いた「星空のディスタンス」だろう。

　THE ALFEEファンでなくとも日本中の老若男女が幾度となく聴いてきた名曲中の名曲だが、高見沢のドラマティック過ぎるギターイントロからバンドが渾然一体となって疾走していく流れ、そして、桜井の「激しい風が今心に舞う」という歌い出しから三声ハーモニーで決める「Baby, Come Back！」に至るまでのすべてのストーリーが新鮮な輝きを放ち、その歴史的瞬間に居合わせたオーディエンスが拳を振り上げながら感涙している様は、あまりにも美しくエモーショナルだった。「Five Hundred Miles 君に遠すぎて 会えない辛さ Ah─」これほどまでにTHE ALFEEの有観客ライブ復活とファンとの再会を劇的に物語る楽曲は他になく、THE ALFEEの息吹に再び包まれることができたファンの歓びと、眼前でオーディエンスが笑顔で興奮している光景と再び出逢えたメンバーの喜び、その双方のホープフルな想いが混ざり合って爆発したこの瞬間は、ひとつの伝説としてこれから語り継がれていくことだろう。

＜世界がいつまでも平和でありますように。愛を込めてこの歌を──＞

　そして、ダブルアンコールで「やっぱりライブはコレじゃないとね。お客さんがいないライブはライブじゃないんですよね。音楽は本来、聴く人と演る人が対面してやるもんなんですよ。これが本来の姿！ 今日は第一歩としてやれてよかったです！ ありがとうございました！（坂崎幸之助）」「本当にすっごい不安でいたけれども、やっぱりこういう「やってよかったぁ」と思えることの積み重ねでここまでやってきたんだな。そして、本当の自分の職場（＝ステージ）が見つかりました！ やっぱり最高っす！ ありがとうございました！（桜井賢）」「（ライブを）不要不急とか言われちゃったときもあったから参りましたけど、こういうライブステージこそ不要不急ではない！ということをね、今日改めて感じましたよ。そういう想いを繋げて来年に向かっていきたいなと思います。このまま（コロナが）収束しますように。そして、世界がいつまでも平和でありますように。愛を込めてこの歌を──」とそれぞれに語り、彼らが最後に披露したのは「確かに For Your Love～至上の愛」。

　「気がつけば いつでも君は かげがえのない優しさで僕を包んでいた（確かに For Your Love）」「空にきらめく星達よりも この世の花よりも 美しいものがある それはあなたへの愛（至上の愛）」そんな大切なファンへの愛のメッセージを贈り、3人はステージを後にした。48年目の年に再会を果たし、来年8月には49周年を迎え、そして50周年に向かっていくTHE ALFEEの今後にもぜひ注目してほしい。

取材＆テキスト：平賀哲雄
カメラマン：上飯坂　一

◎ライブ【THE ALFEE 2021 Winter Baby, Come Back！】
2021年12月24日（金）日本武道館 セットリスト：
01.Orionからの招待状
02.恋の炎
03.The 2nd Life -第二の選択-
04.SWEAT ＆ TEARS
05.賛美歌539～あなたに贈る愛の歌
06.心の鍵～悲しみが消える時－you are the rock－
07.LOVE
08.もう一度ここから始めよう
09.天河の舟
10.Final Wars！
11.展覧会の絵～GATE OF HEAVEN
12.はじまりの詩
En1.Christmasメドレー
～Silent Night
～恋人達のペイヴメント
～泣かないでMY LOVE
～LOVE NEVER DIES
～White Xmas
En2.聖夜 －二人のSilent Night－～Rock'n Roll Jingle Bell
En3.Stand Up,Baby －愛こそすべて－
En4.星空のディスタンス
WEn1.確かに For Your Love～至上の愛
◎リリース情報
アルバム『天地創造』
2022/02/23 RELEASE

初回限定盤A（CD＋DVD）TYCT-69230 4,400円（tax in.）
初回限定盤B（CD＋DVD）TYCT-69231 4,400円（tax in.）
初回限定盤C（CD2枚組）TYCT-69232 3,850円（tax in.）
通常盤（CD）TYCT-60191 3,300円（tax in.）

初回限定盤A、初回限定盤B：
特典ディスクは、THE ALFEEの配信番組「Come on! ALFEE!! Season2 春の夢のつづき」用に収録したライブ映像を初回限定盤A、Bに分けて初DVD化。

初回限定盤C：
トークCD（Liner Notes Talk Session）

初回プレス分封入特典：
フォトカード（形態別/全4種類）