2021/12/18 12:00
年末のリリース・ラッシュが続くこの時期。2021年12月15日公開のBillboard JAPAN 総合ソング・チャート“JAPAN HOT 100”では、初登場曲が多数上位にランクイン。そのなかでも一歩抜きん出た力を見せたのが、首位を獲得したAimerの「残響散歌」だ(【表1】)。御存知の通り、12月5日から放送が始まったテレビアニメ『「鬼滅の刃」遊郭編』のオープニング・テーマという大型タイアップがついており、誰もが納得の1位獲得といってもいいだろう。
『鬼滅』シリーズの顔でもあったLiSAから、Aimerへの交替も話題となったが、もともとAimerはアニメ主題歌をいくつも手掛けておりレーベルメイトでもあるため、LiSAを引き継ぐには申し分のない存在でもあった。実際、「残響散歌」の疾走感は「紅蓮華」にも劣らないもので、『鬼滅』シリーズにはぴったり合っている。おそらくLiSAの後継となることは大きなプレッシャーもあったかと思うが、初登場1位というひとつの結果を出せたのはさすがだ。
ただ、この初登場1位はあくまでも前哨戦でしかないだろう。というのも、この時点でのポイントは、あくまでもダウンロードとストリーミングが主体であり、それにラジオのオンエア回数とツイッターのつぶやき数が追随するというもの。しかし、12月13日にはミュージック・ビデオがYouTubeで公開されており、数日ですでに約500万回という結果を生み出している。間違いなく来週のチャートにはこの動画再生数も加わってくる。また、フィジカルCDのリリースが年明け1月12日に予定されているため、ここでも大きなピークが来ることは間違いない。
そもそもAimerは、ダウンロードやストリーミングといった配信との相性がいいアーティストでもある。そのため、現状の配信での好調ぶりは一過性でなく、しばらく続くことになるだろう。加えて、動画再生数、CDの売上数が加われば、まさに鬼に金棒といったところだ。さらには、アニメ自体の評判次第でツイッターも大きく上昇する可能性はあるし、そのうちカラオケの歌唱回数のポイントも上がってくるだろう。
タイアップはもちろん大きいが、Aimerのアーティストとしてポテンシャル自体が高いため、「紅蓮華」のときのように楽曲がアニメと切り離されて独り歩きしてもおかしくない。そうなると、LiSAを超えるロングヒットになる可能性は無きにしもあらずだ。どこまでの特大ロングヒットになるのか、今から楽しみにしていたい。
Text:栗本斉
◎栗本斉:旅&音楽ライター、選曲家。レコード会社勤務の傍ら、音楽ライターやDJとして活動を開始。退社後、2年間中南米を放浪し、現地の音楽を浴びる。その後フリーランスとして活動した後、2008年から2013年までビルボードライブのブッキングマネージャーに就任。フリーランスに戻り、雑誌やライナーノーツなどの執筆や音楽評論、ラジオやストリーミングサービスにおける構成選曲などを行っている。
関連記事
最新News
関連商品
アクセスランキング
1
【ビルボード 2025年 年間Top Lyricists】大森元貴が史上初となる3年連続1位 前年に続き5指標を制する(コメントあり)
2
【ビルボード 2025年 年間Artist 100】Mrs. GREEN APPLEが史上初の2連覇を達成(コメントあり)
3
【ビルボード 2025年 年間Top Albums Sales】Snow Manがミリオンを2作叩き出し、1位&2位を独占(コメントあり)
4
【ビルボード 2025年 年間Top Singles Sales】初週120万枚突破の快挙、INI『THE WINTER MAGIC』が自身初の年間首位(コメントあり)
5
<年間チャート首位記念インタビュー>Mrs. GREEN APPLEと振り返る、感謝と愛に溢れた濃厚な2025年 「ライラック」から始まった“思い出の宝庫”
インタビュー・タイムマシン







注目の画像




【ビルボード】Aimer「残響散歌」ダウンロード、ストリーミング1位で総合首位獲得 King Gnu「一途」は総合4位に初登場
今年を代表する楽曲の魅力とは?! 優里「ドライフラワー」をあらためて検証
落としどころはロングヒット?! あいみょん「ハート」
配信時代へのジャニーズからの返答?! なにわ男子「初心LOVE(うぶらぶ)」
SNS時代のヒットの法則?! 優里「ベテルギウス」










