2021/12/17
ブルース・スプリングスティーンが、自身のマスター音源の権利をソニ・ミュージック、音楽出版権をソニー・ミュージック・パブリッシングに売却し、合計5億ドル(約568億円)規模となる、音楽界において個人の作品としては最大級の取引を行ったことを関係者が米ビルボードに語った。
先月11月に米ビルボードが報じたように、ソニーはスプリングスティーンによるアルバムのカタログの権利を取得するための交渉を進めており、同時にスプリングスティーンはユニバーサル・ミュージック・パブリッシングが管理している出版権の買い手も探していた。情報筋によると、この両方の権利を合わせた最低入札額は3億5,000万ドル(約398億円)だったが、この数字をはるかに超えたようだ。
50年に及ぶこれまでのキャリアにおいて、スプリングスティーンは、ソニー傘下のコロンビア・レコードでレコーディングした。他の1970年代と80年代のトップ・アーティストと同様に、80年代後半から90年代にかけてCDが爆発的に売れたため、レーベルは彼との再契約を促すために、初期のアルバムの所有権を彼に与えた。
アメリカ・レコード協会のウェブサイトによると、15回プラチナ認定された『ボーン・イン・ザ・U.S.A.』や5回プラチナ認定された『ザ・リバー』を含む彼のアルバムのカタログは、全米で6,550万枚の売上を記録している。また、MRCデータによると、彼の音楽は2018年の初めから米国内でアルバム枚数相当225万ユニットを獲得しており、まだまだ好調のようだ。
米ビルボードは、2020年10月にリリースされた最新アルバム『レター・トゥ・ユー』、そして2019年に発売された『ウエスタン・スターズ』、『ウエスタン・スターズ』のサントラ、『ブラインデッド・バイ・ザ・ライト』のサントラの3作品により、スプリングスティーンが2020年に約1,500万ドル(約17億円)の収益を上げたと推定する。
彼のカタログの過去3年間の財務統計をもとに、米ビルボードはその年間平均売上高を約1,200万ドル(約13億4,000万円)と見積もっている。そこから売上の20%に相当する制作費と流通費用を差し引くと、売上総利益は960万ドル(約11億円)になると推定される。これを15倍にすると1億4,500万ドル(約165億円)、20倍にすると約1億9,000万ドル(約216億円)の評価額になる。
さらに、米ビルボードは、スプリングスティーンの出版権が年間約750万ドル(約8億5,000万円)の利益をもたらすと見積もっている。従って、彼の出版権の評価額は25年分の1億8,500万ドル(約210億円)から30年分の2億2,500万ドル(約256億円)の間と推定される。
30年分の出版権の利益と20年分のマスターの売上利益は合計で4億1,500万ドル(約472億円)になるが、情報筋によると最終的な価格はこれよりもかなり高かったようだ。
今回の取引の約1年前に、ユニバーサル・ミュージック・パブリッシング・グループが、ボブ・ディランの音楽の権利を3億7,500万ドル(約426億円)から4億ドル(約455億円)で購入している。
スプリングスティーンの長年のマネジャーであるジョン・ランドーからは、すぐにコメントを得ることができなかった。また、ソニー・ミュージックとソニー・ミュージック・パブリッシングの代表はコメントを控えた。
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