2021/11/27 12:00
年末に向かうこの時期は、多くの強力新譜がリリースされるタイミングでもある。2021年11月24日公開のBillboard JAPAN 総合ソング・チャート“JAPAN HOT 100”でも、NEWSやLiSAなどが続々と上位にランクインしてきたが、そういった強豪をものともせず、なにわ男子の「初心LOVE(うぶらぶ)」が2週連続で首位となった(【表1】)。
なにわ男子は、関西ジャニーズJr.のメンバーで結成されたグループであり、この「初心LOVE(うぶらぶ)」は記念すべきファースト・シングルである。彼らはCDデビュー前からすでに着々とファンを掴んでおり、関西方面中心にテレビ出演やコンサート活動を行ってきた。まさに満を持してのデビューといえるだろう。
いわば新時代のアイドルといえるが、リリース戦略はジャニーズの王道だ。ダウンロードやストリーミングでの配信はなく、フィジカルのCDのみ。CDの形態は数種類あるとはいえ、今の時代はフィジカルだけだと2週目以降は下降気味になってもおかしくはない。しかし、彼らはしっかりと1位をキープしている。ただしこの結果は、SNS時代に対応した戦略を抜かりなく行っているからというのも大きい。
まず、配信がないとはいえ、リリースから遡ること約1か月前の10月19日からは、YouTubeでミュージック・ビデオを公開スタートさせている。そのため、動画再生数では早い動きを見せており、すでに公開後5週のうち4週でトップ10入りとなっている。この動画再生数による強さは、彼らにとって大きな武器ではないだろうか。また、ツイッターはもちろんのこと、直接チャートへのポイント加算はないとはいえ、TikTokとのコラボ企画を行ったり、公式Instagramを開設するなど、SNSでの拡散効果を巧妙に活用している。配信がないことを敢えて味方につける戦略は、Snow ManやSixTONESの前例を参考にしているのだろうが、それにしても2週に渡って首位獲得という結果はあっぱれとしか言いようがない。
配信に対応していないアーティストにとって、いかに長くヒットさせ、どのようにしてコア・ファン以外にも聴かせるのかはかなり難題だ。もしかしたら、なにわ男子のデビュー戦略は、その答えのひとつになるのかもしれない。
Text:栗本斉
◎栗本斉:旅&音楽ライター、選曲家。レコード会社勤務の傍ら、音楽ライターやDJとして活動を開始。退社後、2年間中南米を放浪し、現地の音楽を浴びる。その後フリーランスとして活動した後、2008年から2013年までビルボードライブのブッキングマネージャーに就任。フリーランスに戻り、雑誌やライナーノーツなどの執筆や音楽評論、ラジオやストリーミングサービスにおける構成選曲などを行っている。
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