2021/11/15
サマー・ウォーカーの新作『Still Over It』が自身初のNo.1デビューを飾った、今週の米ビルボード・アルバム・チャート。
サマー・ウォーカーは、米ジョージア州アトランタ出身の女性R&Bシンガー。2018年にミックステープ『Last Day of Summer』(最高44位)でデビューし、ドレイクとコラボレーションした「Girls Need Love (Remix)」やブライソン・ティラーをフィーチャーした「Playing Games」などのシングル・ヒットを経て、翌2019年にデビュー・アルバム『Over It』を発表。本作は、Billboard 200で2位、R&B/ヒップホップ・アルバムとR&Bアルバム・チャートではそれぞれ1位を獲得し、100週以上のロングヒットと総ユニット250万を記録した。
本作『Still Over It』は、その『Over It』に続く2作目のスタジオ・アルバムで、Billboard 200での首位獲得は自身初の快挙となる。TOP10入りは、昨年7月にリリースしたEP『Life on Earth』(最高8位)を含む3作目のランクイン。
『Still Over It』の初動ユニットは166,000で、そのうちアルバム・ストリーミング(SEA)153,000、トラックごとのユニット(TEA)が1,000、アルバム・セールスが12,000と全体の90%強をストリーミングが占めた。
週間ストリーミング数は、全20曲で2億110万回を記録。女性R&Bシンガーの作品としては歴代最大の週間ストリーミングで、R&Bアルバムとしてはザ・ウィークエンドの『アフター・アワーズ』(2020年4月4日付チャート)が記録した2億2,070万回に次ぐ2番目の高記録となる。なお、前作『Over It』のデビュー週は1億5,470万回で、自身の最高記録も大幅に更新した。
セールスを含む週間ユニット数としても、その『アフター・アワーズ』が同日に打ち出した444,000以来の高記録で、2021年にリリースされたR&Bアルバムとしては最大の週間ユニットとなる。
女性R&Bシンガーの作品としては、2016年5月28日付チャートでビヨンセの『レモネード』が記録した202,000以来、過去5年半における最大の週間ユニットで、2021年にリリースされた女性アーティストの作品としては、テイラー・スウィフトの『フィアレス(テイラーズ・ヴァージョン)』 (291,000ユニット / 4月24日)、オリヴィア・ロドリゴの『サワー』(295,000ユニット / 6月5日)、ビリー・アイリッシュの『ハピアー・ザン・エヴァー』(238,000ユニット / 8月14日)に次ぐ4番目の記録。
意外ではあるが、女性R&BシンガーのアルバムがBillboard 200で1位を獲得するのは、2016年10月22日付チャートでソランジュの『ア・シート・アット・ザ・テーブル』がNo.1デビューして以来約5年ぶりで、男性アーティストを含めても前述の『アフター・アワーズ』が最後にランクインした2020年4月25日付チャート以来、約1年半ぶりとなる。
続いて2位に初登場したのは、約40年ぶりにリリースされたアバの復帰作『ヴォヤージ』。初動ユニットは82,000で、そのうちアルバム・セールスが78,000、アルバム・ストリーミングが4,000と1位の『Still Over It』とは対照にセールスが全体の9割以上を占めた。セールスのみの記録では、今週のトップ・アルバムに輝いている。
本作は、1981年11月にリリースした8thアルバム『ザ・ヴィジターズ』以来40年ぶり、通算9枚目のスタジオ・アルバムで、Billboard 200でのTOP10入りは意外にも本作が初となる。チャートにランクインしたのは通算14作目で、TOP40入りした作品は以下に続く7作目の快挙。なお、アバの楽曲で構成されたサウンドトラック『マンマ・ミーア!』は2008年に1位を、続編映画の『マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー』も2018年に3位をそれぞれ記録しているが、アバ名義のアルバムではないため除外している。
20位『アライヴァル』1977年)
14位『ジ・アルバム』(1978年)
19位『ヴーレ・ヴー』(1978年)
17位『スーパー・トゥルーパー』(1980年)
29位『ザ・ヴィジターズ』(1981年)
25位『アバ・ゴールド』(1992年)
2位『ヴォヤージ』(2021年)
新作が上位に初登場したことで、ドレイクの 『サーティファイド・ラヴァー・ボーイ』(62,000ユニット / 8%減少)が先週の2位から3位に、先週1位に初登場したエド・シーランの新作『=(イコールズ)』(51,000ユニット / 57%減少)は4位に、モーガン・ウォレンの『デンジャラス:ザ・ダブル・アルバム』(43,000ユニット / 4%増加)は3位から5位に、ドージャ・キャットの『プラネット・ハー』(37,000ユニット / 6%減少)も4位から6位に、それぞれランクダウンした。
7位には、米テネシー州メンフィス出身のラッパー=キー・グロックの『Yellow Tape 2』が初登場。初動ユニットは36,000で、その内訳アルバム・ストリーミングが26,500、アルバム・セールスは9,500だった。週間ストリーミングは全20曲で3,580万回を記録している。
本作は、2020年1月にリリースしたデビュー作『Yellow Tape』に続く2枚目のスタジオ・アルバムで、その『Yellow Tape』が記録した14位、そしてTOP10入りした2枚のミックステープ『Dum and Dummer with ヤング・ドルフ』(2019年 / 8位)、『Dum and Dummer 2 with ヤング・ドルフ』(2021年 / 8位)を上回る自己最高を更新した。
次週は、テイラー・スウィフトの再録版『レッド(テイラーズ・ヴァージョン)』が上位にデビューすることが予想される。
Text: 本家 一成
※関連リンク先の米ビルボード・チャートは11月19日以降掲載予定となります。
◎【Billboard 200】トップ10
1位『Still Over It』サマー・ウォーカー
2位『ヴォヤージ』アバ
3位『サーティファイド・ラヴァー・ボーイ』ドレイク
4位『=(イコールズ)』エド・シーラン
5位『デンジャラス:ザ・ダブル・アルバム』モーガン・ウォレン
6位『プラネット・ハー』ドージャ・キャット
7位『Yellow Tape 2』キー・グロック
8位『サワー』オリヴィア・ロドリゴ
9位『Sincerely, Kentrell』ヤングボーイ・ネヴァー・ブローク・アゲイン
10位『モンテロ』リル・ナズ・X
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