2021/09/29
米ビルボードのグローバル・チャートである“Global 200”と“Global Excl. U.S.”(グローバル・エクスクルーディング・U.S.)が発足してから1年が経った。この2種のグローバル・チャートは、全世界のオーディオおよびビデオ・ストリーミングとダウンロードの売上に基づいて集計されているもので、2020年9月19日付けのランキングから開始された。
グローバル・チャート発足からの1年を振り返り、米ビルボードでは世界各国のヒット曲や新曲などを「Global Music and Chart Report: A Year in Review」と題されたレポートで総括している。米ビルボードとMRCデータによるこのレポートでは、過去1年間の世界的ヒットを祝うと共に、その期間における最も重要なハイライトとトレンドにスポットを当てている。
まず、“Global 200”では、米国のアーティストが圧倒的な強さを見せ、最初の52週でチャートの半分以上(51%)を占めた(チャート・インした全てのアーティストの合計チャート週数に基づく)。この数字は、米国のアーティストが約80%を占める米ビルボード・ソング・チャート“Hot 100”と比べると、より多様なアーティストが集まっていることを示している。米国のデータを含まない“Global Excl. U.S.”では、過去1年間での米国のリードは33%に縮小し、残りは5大陸50以上の地域からのアーティストたちが占めている。
グローバル・チャートで米国の次に顕著なのが、ラテン・アメリカと南アメリカのマーケットだ。プエルトリコ、コロンビア、ブラジル、アルゼンチンのアーティストたちが、“Global Excl. U.S.”の最初の1年の23%を占めた。その中には、バッド・バニー(プエルトリコ)、J.バルヴィン、カロルG(共にコロンビア)などのクロスオーバー・スーパースターや、Bizarrap(アルゼンチン)やJoão Gomes(ブラジル)などの地域的なサクセス・ストーリーも含まれている。
アジアのポップ音楽もかなりの割合を占めており、“Global Excl. U.S.”では7%を超えている。K-POPがBTSやBLACKPINKのような国際的なクロスオーバー・スターを輩出している一方で、J-POPはより内向きで、コラボレーションやヒップホップの影響が少なかった。このため、“Global 200”ではK-POPの方がJ-POPよりもわずかに影響が大きかったものの(ただし、それぞれシェアは2%に近い)、“Global Excl. U.S.”ではJ-POPの方が大きなシェアを占めている(4.2%対3.1%)。
コロンビア、プエルトリコ、韓国のクロスオーバー・スターにとっては、コラボが地理的、言語的な境界線を超える鍵となっている。汎ラテン的な「Relación」のような曲には、コロンビア(J.バルヴィン)、パナマ(Sech)、プエルトリコ(ダディー・ヤンキーとFarruko)、スペイン(ロザリア)のアーティストが参加し、韓国のBLACKPINKはカーディ・Bやセレーナ・ゴメスとのデュエットでエントリーを果たした。
英語以外の言語でヒットしたアーティストが露出を増やしているだけでなく、逆に北米や欧州のアーティストがそれぞれの地域の外に目を向けることで、多様なチャート・ヒットを生み出している。特にジェイソン・デルーロは、国際的なアーティストやプロデューサーによるリミックスで自身のグローバル・チャート上の実績を積み上げてきた。リミックスと自身の知名度の相乗効果により、YouTubeやSoundCloudなどでのそれぞれの楽曲の勢いを雪だるま式に増やしてきた経緯がある。この戦略は、2020年10月にジョーシュ685(ニュージーランド)とBTSを起用した「サヴェージ・ラブ(ラックスド - サイレンビート)」が“Global 200”で首位を獲得するという最高の形で実を結んだ。
関連記事
最新News
関連商品
アクセスランキング
インタビュー・タイムマシン
注目の画像