2021/08/30
オリヴィア・ロドリゴの『サワー』が返り咲き、通算5週目の1位を獲得した今週の米ビルボード・アルバム・チャート。
2021年最大の週間ユニット295,000を獲得して、6月5日付チャートで1位に初登場した『サワー』は、7月3日に2度目の首位復帰を果たし、7月17日、24日の2週をキープした後、今週約1か月ぶりにトップに立った。2021年の首位獲得総週としては、1月23日チャートから計10週をマークしたモーガン・ウォレンの『デンジャラス:ザ・ダブル・アルバム』(今週9位) に次ぐ2番目に長い記録で、女性アーティストとしては最長記録となる。
日付 / 週間ユニット
6月5日 / 295,000
7月3日 / 105,000
7月17日 / 88,000
7月24日 / 83,000
9月4日 / 133,000
『サワー』が今週獲得した週間ユニット133,000のうち、アルバム・セールスが84,000、アルバム・ストリーミング(SEA)が48,000、トラックごとのユニット(TEA)は1,000だった。週間ユニットは前週から133%、アルバム・セールスは1,201%にそれぞれ増加している。
今週セールスが急増したのは、8月21日に発売されたアナログ盤(LP)のリリース効果によるもので、週間セールス84,000のうち76,000をLPの売り上げが占めた。アナログ盤のみの週間セールスとしては、今年の6月12付チャートでテイラー・スウィフトの『エヴァーモア』が記録した102,000枚に次ぐ歴代2番目に高い売上枚数を更新している。なお、この記録はMRCデータが集計をスタートした1991年以降のもので、それ以前の記録は含まれていない。
テイラー・スウィフトの『エヴァーモア』は、発売日の2020年12月11日から約5か月間を経て2021年5月28日にアナログ盤を発売し、6月12付チャートで1位に返り咲いた。本作『サワー』も、5月21日のリリースから3か月後にアナログ盤を発売し、今週首位に復帰している。昨今はLPの需要が高まっているため、今後も同様のプロモーションで再ランクインするアーティストが増える可能性が高い。
続いて2位にデビューしたのは、米オハイオ出身のラッパー=トリッピー・レッドの新作『Trip At Knight』。初動ユニットは81,000で、そのうち75,000がアルバム・ストリーミング、5,000がアルバム・セールス、1,000がトラックごとのユニットだった。週間ストリーミングは1億799万回を記録している。
本作『Trip At Knight』は、昨年11月14日付チャートで同2位に初登場した『ペガサス』に続く4枚目のスタジオ・アルバムで、2作のミックステープを含む6作目のTOP10入りを果たした。
4位『Life's a Trip』(2018年)
3位『A Love Letter to You 3』(2018年)
3位『!』(2019年)
1位『A Love Letter to You 4』(2019年)
2位『ペガサス』(2020年)
2位『Trip At Knight』(2021年)
3位には、先週の38位からジャンプアップしたロッド・ウェーブの『SoulFly』が再ランクイン。週間ユニットは前週から350%増加の62,000に上昇し、そのうち61,000がアルバム・ストリーミングとそのほとんどを占めた。
本作は、今年の3月26日にリリースしたロッド・ウェーブ3作目のスタジオ・アルバムで、翌4月10日付チャートで自身初のNo.1デビューを飾ったのも記憶に新しいが、今週ユニット数を増加させて再ランクインしたのは、8月20日に9曲を追加したデラックス盤をリリースしたため。前述のアナログ盤同様、発売から数か月してデラックス盤をリリースし、チャートに復帰するパターンが昨今ブームとなっている。
ドージャ・キャットの『プラネット・ハー』(57,000ユニット / 3%減少)を4位に挟み、5位に初登場したのは「ロイヤルズ」(2013年)のヒットで知られるシンガー・ソングライター=ロードの新作『ソーラー・パワー』。初動ユニットは56,000で、そのうちアルバム・セールスが34,000、アルバム・ストリーミングは22,000(週間2,838万回)、トラックごとのユニットは1,000程度だった。
本作『ソーラー・パワー』は、初の全米1位を獲得した前作『メロドラマ』(2017年)から約4年ぶり、3作目のアルバムで、最高3位を記録したデビュー・アルバム『ピュア・ヒロイン』(2013年)から3作連続のTOP5入りを果たした。本国ニュージーランドとオーストラリアでは、3作全てが1位を獲得。UKアルバム・チャート(イギリス)では自己最高位となる2位にデビューした。
初登場から3週1位をキープしたビリー・アイリッシュの『ハピアー・ザン・エヴァー』は、今週6位に転落(49,000ユニット / 18%減少)。ザ・キッド・ラロイの『ファック・ラヴ』も4位から7位に順位を落とした(48,000ユニット / 8%減少)。
続いて8位には、韓国のボーイズ・グループ=TOMORROW X TOGETHERの『The Chaos Chapter: FREEZE』が6月19日付チャート(5位)以来、約2か月ぶりにリエントリーを果たした。本作も、8月20日に新曲を追加したデラックス盤をリリースしたことで売り上げが上昇。前週から667%増加の47,000までユニット数を伸ばしている。
10位にランクインしたのは、2001年8月25日に逝去した故アリーヤの『ワン・イン・ア・ミリオン』。週間ユニットは26,000を記録、アルバム・セールスが13,000、アルバム・ストリーミングは11,000(1,429万回)をそれぞれ獲得した。
本作は、1996年8月27日にリリースされたアリーヤの2ndアルバムで、翌1997年2月1日付チャートで18位まで上昇したが、今週10位にエントリーしたことで約24年ぶりに最高位を更新した。各ポイントが上昇したのは、8月20日にアルバムのストリーミングが解禁されたため。今後、主演を務めた映画『ロメオ・マスト・ダイ』のサウンドトラックを9月3日、オリジナルとしては遺作となった『アリーヤ』(2001年)を9月10日、ベスト盤『アイ・ケア・フォー・ユー』(2002年)を10月8日にそれぞれ配信する予定で、それらのアルバムも再ランクインする可能性が高い。なお、デビュー作『エイジ・エイント・ナッシング・バット・ア・ナンバー』(1994年)はすでにストリーミング解禁されている。これまで獲得した各アルバムの最高位は以下のとおり。
18位『エイジ・エイント・ナッシング・バット・ア・ナンバー』(1994年)
10位『ワン・イン・ア・ミリオン』(1996年)
1位『アリーヤ』(2001年)
3位『アイ・ケア・フォー・ユー』(2002年)
Text: 本家 一成
※関連リンク先の米ビルボード・チャートは9月3日以降掲載予定となります。
◎【Billboard 200】トップ10
1位『サワー』オリヴィア・ロドリゴ
2位『Trip At Knight』トリッピー・レッド
3位『SoulFly』ロッド・ウェーブ
4位『プラネット・ハー』ドージャ・キャット
5位『ソーラー・パワー』ロード
6位『ハピアー・ザン・エヴァー』ビリー・アイリッシュ
7位『ファック・ラヴ』ザ・キッド・ラロイ
8位『The Chaos Chapter: FREEZE』TOMORROW X TOGETHER
9位『デンジャラス:ザ・ダブル・アルバム』モーガン・ウォレン
10位『ワン・イン・ア・ミリオン』アリーヤ
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