2021/07/05 12:00
6月30日発表のHot 100では、星野源の「不思議」が圧倒的な強さで首位を獲得した(【表1】)。BTSや米津玄師といった強豪がひしめく中、この曲が結果を出せたのは、もちろん星野源のアーティストパワーと楽曲の良さに他ならないが、それでもやはり1位になる理由がいくつも隠されている。
「不思議」は御存知の通り、4月スタートのテレビドラマ『着飾る恋には理由があって』の主題歌という大型タイアップ曲だ。ドラマが始まる直前の3月末に情報解禁され、4月27日に配信シングルとしてリリース。5月5日発表のHot 100で早くも2位を記録している。とはいえ、初動の勢いはあったものの、翌週は11位とベスト10圏外となっており、その後も20位以内をキープし続けてはいたが、トップ10に戻ることはなかった。
ただ、これで終わらないのがこの曲の強さだ。すでに始まっていたドラマ放映とリンクするように、ダウンロードやストリーミングでは安定してポイントを稼ぎつつ、5月30日にはMVの公開をスタートすることで、6月9日発表のHot 100では動画再生数が一気に5位まで上昇している。結婚報道もあったとはいえ、羽田空港で撮影されたという落ち着いたトーンの映像が、ここまで再生されるというのはさすがだ。ただし、それでも上位には強豪がひしめくこともあって、ベスト10には入っていない。
そして、最大の切り札として投下したのが、今回のフィジカルのCDリリースだ。6月23日に発売された後の今週のCD売上数とルックアップ(PCによるCD読取数)は、いずれも関ジャニ∞に破れて2位だったたものの、急上昇したラジオのオンエア回数など他のポイントを含めた総合力で強豪たちを見事に押さえ込んだ。4月から段階を踏んで継続した展開を行ってきたことは評価できるが、逆にいえば「不思議」のように、冷静に考えるとそれほどキャッチーではなく、じっくりと良さが伝わるスルメ・タイプの楽曲は、これくらい長いタームで勝負するのは必然だったのだ。
いずれにせよ、最終的に1位という素晴らしい結果を生み出せたのは、ひとえにアーティストの力量とプロモーション戦略がぴったりとハマったため。ヒットのひとつのプロトタイプとして、他のアーティストや楽曲の参考にもなるはずだ。
Text:栗本斉
◎栗本斉:旅&音楽ライター、選曲家。レコード会社勤務の傍ら、音楽ライターやDJとして活動を開始。退社後、2年間中南米を放浪し、現地の音楽を浴びる。その後フリーランスとして活動した後、2008年から2013年までビルボードライブのブッキングマネージャーに就任。フリーランスに戻り、雑誌やライナーノーツなどの執筆や音楽評論、ラジオやストリーミングサービスにおける構成選曲などを行っている。
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