2021/05/29 18:03
5月26日発表のHot 100は、上位こそ大きく入れ替わりがあるが、それでも長期に渡ってヒットし続けている楽曲も数多い。なかでも5位にランクインしている優里の「ドライフラワー」は、理想的なロングヒットのひとつだ。この曲は昨年10月に配信リリースされているが、リリース直後となる11月4日発表の初チャートでは93位、翌週11月11日発表では39位、11月18日発表のチャートで16位とうなぎのぼりで急上昇。その後は、なんと27週に渡ってベスト10をキープしているのだ。
チャートのそれぞれのポイントを見てみると、大きな特徴がひとつある。それは、ダウンロードの指数が非常に高いことだ。ストリーミングや動画再生数であれば、コアなファンというよりはグレーユーザーやライトなリスナーが多い可能性もある。しかし、ダウンロードに関しては、すべてではないにしても固定ファンに近い存在だろうし、何より能動的にダウンロードするという行為はコアなファンになる可能性も高い。
昨今のSNS経由で成功したアーティストは多数いるが、一曲だけでなく何曲もチャートの上位に入ってくるようなアーティストはダウンロードが強い場合が多く、フィジカルのCDをリリースしたときにさらなる安定した人気につながることもある。最近の事例だと、King GnuやYOASOBIなどはわかりやすい例だろう。逆に言えば、コアファンを生み出すためには、ストリーミングとダウンロードのバランスを見ながら、フィジカルのリリースやライブなどにつなげる策を練るのが必要なのだ。Text:栗本斉
◎栗本斉:旅&音楽ライター、選曲家。レコード会社勤務の傍ら、音楽ライターやDJとして活動を開始。退社後、2年間中南米を放浪し、現地の音楽を浴びる。その後フリーランスとして活動した後、2008年から2013年までビルボードライブのブッキングマネージャーに就任。フリーランスに戻り、雑誌やライナーノーツなどの執筆や音楽評論、ラジオやストリーミングサービスにおける構成選曲などを行っている。
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