2026/02/05 18:00
楽曲の高いクオリティと確かなライブパフォーマンスで、音楽ファンから支持を集めてきた5人組アイドルグループ、フィロソフィーのダンス。そのメンバーである日向ハルのバースデーライブが、2年ぶりにビルボードライブで開催された。ソロ名義で土岐麻子を迎えた第1回、大島真帆(Penthouse)をゲストに招いた第2回に続き、今回の公演は、フィロソフィーのダンスとして迎えた「結成10周年」「メジャーデビュー5周年」「新体制3周年」という“トリプルアニバーサリー”の節目にあたる、特別なバースデーライブとなった。
しかも本公演は、彼女たちが6月13日に東京・LINE CUBE SHIBUYAで行うワンマンライブをもって活動を終了することを発表してから、初めてファンの前に立つステージでもある。昨年の“トリプルアニバーサリーイヤー”をひとつの節目として、メンバーおよびスタッフ間で話し合いを重ねた末に導き出されたというこの決断。発表時には、「残された期間は限られていますが、最後の瞬間までフィロソフィーのダンスらしく笑顔で、愛と幸せをお届けします」「フィロソフィーのダンスとしての旅は終着点を迎えますが、これからも続いていくメンバーそれぞれの新たな旅路を見守っていただけますと幸いです」と、ファンに向けたメッセージも綴られていた。
その想いを受け止めるかのように、この日の会場には万感の感情を胸にオーディエンスが集い、1stステージ・2ndステージともにソールドアウトを記録した。
筆者が足を運んだのは2ndステージ(写真は1stステージ)。定刻になると会場が暗転し、まずサポートメンバーの真船勝博(Ba.)と片山タカズミ(Dr.)がステージに登場。肩慣らしのようにグルーヴ感あふれるファンクミュージックを鳴らし始める。着席スタイルの会場ながら、オーディエンスは思い思いに体を揺らし、早くもフロアのボルテージは上昇していった。
そこへ、メンバーカラーである赤のドレスを纏った日向が一人、姿を現す。沸き立つ客席に向けて笑顔で大きく手を振り、ステージへと続く通路に立ったまま、バンドの演奏に合わせてソウルフルかつ伸びやかなフェイクを響かせる。その瞬間、会場から大きな歓声と拍手が巻き起こった。
続いて、スパンコールがきらめくネイビーのドレスを着た奥津マリリ、フリルをあしらったピンクのドレス姿の佐藤まりあ、クラシカルなグリーンのドレスが印象的な木葭のの、そしてラメ入りのパープルドレスを纏った香山ななこが合流。5人はステージへと続く通路を歩きながら「ウェイク・アップ・ダンス」を披露し、この日のライブの幕を華やかに切って落とした。
次に披露されたのは「ダンス・オア・ダンス」。ミュージックビデオでは、南青山の老舗ロックバー・REDSHOESを舞台に、ロカビリーバンドOne Night Standsのメンバーと共演していた楽曲だ。この日は、真船のウッドベースに導かれるスウィンギングなグルーヴの上で、メンバーは軽やかにステップを踏みながら伸びやかな歌声を響かせていく。
客席とステージの距離が近いビルボードライブならではの空間も相まって、メンバーは歌い踊りながら、テーブルに座る観客に声をかけたり、アイコンタクトや指差しで応えたりと、思い思いのファンサービスを展開。上階に向かって大きく手を振るメンバーもいて、オーディエンスも満面の笑みでそれに応える。気づけばリズムに合わせたハンドクラップが会場いっぱいに鳴り響き、フロアは一気に温度を上げていった。
ここで改めて、メンバー一人ひとりが挨拶を行う。「危険なほどに美しい、奥津マリリです。よろしくお願いしまーす!」と奥津が元気よく名乗りを上げると、続く佐藤は「みなさん、明けましておめでとうございます。佐藤まりあです。みなさんに会いたくて会いたくて、震えておりました」と挨拶。西野カナの楽曲を引用したその一言に、オーディエンスから歓声が上がる。すると間髪入れず、奥津が西野カナ「会いたくて 会いたくて」のサビを熱唱。思わず日向が「収録が入ってないからって……」とツッコミを入れると、奥津は「はい、今はカメラが入っていないので自由にやらせてもらってます。もう自由の身です。何も怖くありません!」と返し、フロアは笑いと拍手に包まれた。
その流れを受けて日向も、「西野カナさん、めちゃくちゃカラオケで歌っていました。日向ハルです、よろしくお願いします!」と機転の利いた挨拶を披露。さらに奥津とともに「Best Friend」のサビを合唱、オーディエンスもハンドクラップでそれに応える。こうしたメンバー同士の軽妙な掛け合いと、ファンとの距離の近さこそがフィロソフィーのダンスのライブの醍醐味なのだ。
仕切り直すように、残る二人も挨拶。木葭は「新年一発目、みんなに会えて、そしてハルちゃんの生誕祭でテンションぶち上がっています。今日はよろしくお願いします!」と声を弾ませ、香山は「ケータリングでローストビーフを食べて、とっても美味しくてほっぺたが落ちたんですけど、それを拾ってはっつけてここに立っています」とユーモアたっぷりに語り、会場を和ませた。
「1stステージは、すごくかっこいい公演だったんです。でも2ndは……ぶち壊していこうか」奥津の挑発的なひと言に、フロアは爆笑とともに一層の盛り上がりを見せる。そして日向が「5億年ぶりに、こちらの曲をやりたいと思います!」と告げると、会場からどよめくような歓声が上がった。投下されたのは、2017年の2ndアルバム『ザ・ファウンダー』収録の「ドグマティック・ドラマティック」。スタンドマイクを使い、息の合ったフォーメーションダンスを交えながら、ディスコティックなナンバーを熱唱していく。
ハスキーで力強い日向の声、伸びやかで艶やかな奥津の声、スウィートで透明感のある佐藤の声、滑らかで繊細な木葭の声、そしてふくよかでストレートな香山の声。それぞれの個性が入れ替わり立ち替わり現れ、時に混じり合い、時にぶつかり合いながら、立体的なボーカル・オーケストラを編み上げていった。
そして「ジョニーウォーカー」では日向、木葭、香山の3人、「ウォータープルーフ・ナイト」では日向、奥津、佐藤という組み合わせでパフォーマンス。いずれも日向を中心に、結成からグループを支えてきたオリジナルメンバーと、2022年以降に加入したメンバーが交差する構成となり、フィロソフィーのダンスの現在地を立体的に示す時間となった。
続くソウルフルなミドルバラード「シスター」では再び5人編成に戻り、今度は奥津を中心に、しっとりとした歌声を重ねていく。個々の声の質感が溶け合いながら、楽曲が持つ包容力を丁寧に引き出していく様が印象的だった。
ライブ中盤、生誕祭という特別な夜にふさわしく、日向は2021年にリリースしたソロ名義の楽曲「目隠し」を披露。奥津とともに歌い上げるその光景は、まるでキャバレーで披露される歌謡曲のような、どこか昭和の香りをまとっていた。しかも、それがビルボードライブ横浜のレトロモダンな内装とも相まって、時代感覚を超えた濃密な空気が会場を包み込んでいく。
「次は、ハルちゃんの歌声をたっぷり聴いていただきたいと思います」そう佐藤が紹介すると、アーシーなミドルバラード「ジャスト・メモリーズ」へ。日向がソウルフルなリードボーカルを担い、残るメンバーがゴスペルクワイアのように寄り添う。パワフルでありながらも温もりを帯びた日向の歌声と、4人によるホーリーなハーモニーの掛け合いは圧巻で、このグループが“歌”を軸に培ってきた厚みをあらためて実感させた。
そしてライブは早くも後半へ。「バイタル・テンプテーション」は、ジェームス・ブラウンやスライ&ザ・ファミリー・ストーンを彷彿とさせる超ファンキーなナンバーだ。メンバーが客席へと降り、オーディエンスと至近距離で絡みながらコール&レスポンスを展開。曲の後半では日向と奥津がフェイク合戦を繰り広げ、アドリブで投げ合う言葉の応酬に、会場からは終始大きな笑いと歓声が巻き起こった。畳みかけるように披露された「Love & Loud」では、シンガロングが自然発生し、会場の一体感はさらに高まっていく。
「ほんと、最高にも程があるって感じですよね。逆に申し訳ありません!」奥津がおどけて挨拶すると、続けて、「フィロソフィーのダンスは今年6月13日に活動終了することを発表しましたけど、そこからずっと、みんなに会いたいという気持ちを、ずっとずっと溜めてきました。もう今にも爆発しそう。みんなもそうでしょう? 溜めてきたでしょう?」とのファンへの呼びかけに、フロアからは再び大きな拍手が送られる。さらに奥津は、「残り時間は少ないですけど、思い切りその気持ちをぶつけていただきたいですし、残りの5か月、短い時間ではありますけど、みなさんと愛をぶつけ合いたいと思っています。かけがいのない私たちの時間を、最後までよろしくお願いします」と、まっすぐな言葉で想いを伝えた。
そして日向がそれを受け継ぐ。「かけがえのない時間を、10年間。どこで出会ったとしても、フィロソフィーのダンスと一度でも出会って、ここまで応援してくださったみなさんと、一緒に過ごしてきたメンバーと。今日、この日の景色を目に焼き付けながら、この曲を歌いたいと思います」そう語りかけ、日向のアカペラに導かれるようにスタンドマイクで披露されたのは「サンフラワー」。客席を見渡すと、涙を浮かべながらも必死に彼女たちのパフォーマンスに応えようと、手を振り、声を重ねるオーディエンス。「ずっと大好きだよ」という日向の声とともに、本編は終了した。
鳴り止まぬアンコールに応え、まずは日向がひとりでステージに登場。あらためて、活動終了について自身の言葉で語り始めた。
「悲しい気持ちにさせたいわけではないんですけど、事実として活動終了することになって、お知らせして、今日が初めて、みんなの前に直接立つ日なんです。なので、そのことについて、ちょっとだけお話ししようかなと思います」と、発表から日が浅い中で、この日を迎えたファンの心情にも思いを寄せながら、「まだ飲み込めていない方もたくさんいると思う。複雑な気持ちで来てくれた方もいると思います。そんな中で来てくれて、本当にありがとうございます」と感謝を伝える。
続けて日向は、フィロソフィーのダンスで過ごした10年の歳月を振り返る。「どんなに大きなライブハウスに立つことよりも、この10年間で自分の人格が形成されたことこそが、何よりの財産です。人を愛することもよくわからず、アイドルという存在も掴みきれないまま活動を始めた私ですが、メンバーに支えられ、ファンから愛を受け取る中で自分を好きになり、ステージで愛を伝えられる人間になれたこと、その時間の意味は、もはや“経験”を超えて、自分そのものになっています」と語った。
「フィロソフィーのダンスは、私自身、人生そのものだと思っています」
その人生を形づくってくれたのは、紛れもなくファンの存在。そう日向は言う。たとえグループがなくなったとしても、ファンが作ってくれた自分は変わらず、前向きで、ハッピーで、「みんなが知っている日向ハルのまま」生き続けていくのだと、まっすぐに言葉を重ねた。もちろん、日向らしいユーモアも忘れない。「1stステージでも言いましたけど……みなさん人間ドックに行ってください。長生きしてください」と笑顔で呼びかけ、「“生きていれば、また会える”。この言葉に代えられるものはないと思っています」そう締めくくると、DREAMS COME TRUEの「朝がまた来る」をカバー。静かな余韻を残したあと、アンコールの最後には、シカゴ・ソウルのテイストをまとった「ライブ・ライフ」を5人で披露した。
「フィロソフィーのダンスのライブって、たくさんの愛があふれている場所だよねって、久しぶりのライブで確認しました。みんな、とっても幸せそうな顔をしていて。それを見た私たちも、幸せな気持ちで帰れそうです。長生き、長生き!」日向のそんな言葉に続き、5人揃って「フィロソフィーのダンスでした!」と元気よく声を合わせ、この日のライブは幕を下ろした。
2026年最初のライブであり、活動終了を発表してから初めてファンの前に立ったフィロソフィーのダンス。ファンと同じように、メンバー自身もさまざまな思いを抱えて臨んだステージだったに違いない。それでも、観客への細やかな心配りを忘れず、最後まで笑顔で歌い切った姿からは、彼女たちの深い思いやりと、覚悟の強さがはっきりと伝わってきた。
Text by 黒田隆憲
Photos by 堀内彩香
◎セットリスト
【フィロソフィーのダンスOne Man Show 2026
at Billboard Live YOKOHAMA ~Halu Hinata Birth Anniversary~】
2026年1月25日(日)神奈川・ビルボードライブ横浜 2ndステージ
1. ウェイク・アップ・ダンス
2. ダンス・オア・ダンス
3. ドグマティック・ドラマティック
4. ジョニーウォーカー
5. ウォータープルーフ・ナイト
6. シスター
7. 目隠し
8. ジャスト・メモリーズ
9. バイタル・テンプテーション
10. Love & Loud
11. サンフラワー
12. 朝がまた来る(DREAMS COME TRUEカバー)covered by Halu Hinata
13. ライブ・ライフ
◎ツアー情報
【フィロソフィーのダンス The Last Tour ~Journey with Philosophy no Dance~】
2026年4月19日(日)東京・Shibuya WWWX
2026年4月26日(日)愛知・ElectricLadyLand
2026年4月29日(水・祝)香川・高松DIME
2026年5月2日(土)石川・金沢AZ
2026年5月3日(日)富山・富山MAIRO
2026年5月5日(火・祝)宮城・仙台darwin
2026年5月17日(日)北海道・札幌 近松
2026年5月23日(土)大阪・Yogibo META VALLEY
2026年5月24日(日)広島・広島 VANQUISH
【フィロソフィーのダンス 最終公演(タイトル未定)】
2026年6月13日(土)東京・LINE CUBE SHIBUYA
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