2026/04/15 18:00
Czecho No Republicが、2025年11月からスタートした【15周年記念 オールタイムベスト・リクエストツアー】の“Final Edition”を神戸・月世界と東京・浅草花劇場で開催。ここでは浅草でのライブをレポートする。バンド結成15周年を記念した“15のお楽しみ”として、2025年3月のShibuya eggmanでのフリーライブや、結成当初から行ってきたバンドの主催イベント【DREAM SHOWER】を復活させ、10月5日に豊洲PITで盟友SUPER BEAVER、go!go!vanillas、sumikaを迎えて成功に収めるなど、再びバンドの存在感を明確にしてきた。今回はファンからのリクエスト曲に加え、メンバーそれぞれが演奏したい曲を加えたオールタイムベストという趣向。ライブとしては15周年のファイナルとなるだけに、バンドのフッテージが確認できる夜になるはずだ。
会場の浅草花劇場は花やしきの敷地内にあり、普段とは違う非日常感やアトラクションに向かう気分が加味される。フロアは着席で2階席もある会場はSoldoutの満員状態で、2階席には子どもも同伴した家族連れのファンも。そこに開場BGMのMGMT「Kids」が流れると、この曲のリアルタイムの時代とは違う感慨に浸される。バンドのフラッグや花が飾られたマイクスタンド、カラフルな照明が開演前からどこかハイスクールのプロムのような雰囲気で、ティーンエイジャーの素直な感覚がどこか今のチェコにもつながるイメージだ。
そのワクワク感は、BECK版「好きにならずにいられない」で入場したメンバーの華のある姿でいきなりピークに。「みんな立ってるじゃん! 今夜は最高の夜にしようぜ」と、うれしい驚きの声を武井優心(Vo/Gt)が発したと同時に「ネバーランド」をドロップ。バンドのチアフルなバイブスとフロアが一つになり、世界のどんな〇〇ランドよりここが一番リアルなネバーランドだ!と感極まってしまう。争いや嫉妬のない世界を願うこの曲がこんなに響く現実もきっと起因しているのだが、今ここで老若男女のファンの笑顔を見ると、その理想も夢じゃない気がする。さらに“夢の国”っぽさを増幅するイントロが「Bad Dreams」を運んでくる。グッと声のキャラに強さを増したタカハシマイ(Syn/Vo/Gt)のボーカルも心地よく、続いて砂川一黄(Gt)の涼しげなリフに歓声が上がった「MUSIC」。武井が「クラップ・ユア・ハンズ!」と促すと、演奏の一要素のようなクラップがバンドにエネルギーを送る。一瞬のブレイクやサビへのジャンプ力など、細部も痛快に決まって、〈天国が あるかないかなんて/考えた こともないけど/もしかして ここがそうかなって〉というチェコの核心を示唆するフレーズが、メロディの良さとともに心を震わせた。
15周年ツアーのファイナルの意味より「今日を楽しくすることにしか興味ありません」と言い切る武井の言葉は本心なんだろう。同意の拍手が大きい。続けて、切なさを含む「テレパシー」、トライバルなビートにクラップで喰らい付いていくファンの熱量も頼もしい「Dream Beach Sunset」、インディポップとフレンチエレクトロが融合した印象の「Day by Day」と、ハウス/ダンスチューンの豊かさに触れるセクションは、今ここにチェコを知らない洋楽ラバーが足を踏み入れても踊れそうな完成度を見せた。音楽そのものの強さと曲のキャッチーさを感じていたら、武井も「皆さんがいつ(チェコに)出会ってくれたのかは分かりませんが、曲ってタイムマシーンみたいなもので、今日出会ったみたいに楽しんでいってください」と話す。曲の良さを素直に捉え直した今のチェコの強さが、MCにも自然に滲み出ている。
ギターとシンセどちらもパレードを想起させる音色の「レインボー」が文字通りキッズの目を輝かせ、「Field Poppy」ではタカハシの童話を語るようなボーカルの粒度にハッとさせられ、砂川と山崎正太郎(Dr)の操り人形めいたアクションも目を奪う。ここにきて4人のキャラクターがより明確になっている。さらに、タカハシの声が持つストーリーテリング力が牽引する「2014年宇宙の旅」も空想を広げる。そして、ジャングリーなギターサウンドの「What a Beautiful!!!!」は、武井の「ここにいる大人のふりした子どもにも、ほんとの子どもにも送ります」の一言からスタート。フロント3人がギターを弾く、バンドの初期衝動といい意味のテキトーさを思い出させてくれるプレイも合わせて「まだ地球に来たばかりのあの子たちに、地球ってところが美しいって見せつけてやりましょうよ」と、“大人のふりした子どもたち”は武井に焚き付けられたのだった。
100曲近いオリジナルを持つ彼らが今回のセットリストに収めきれないレパートリーがあるのも当然。そこで今、届けたい曲をメドレーとして凝縮したセクションは、そのつなぎや緩急の見せどころだ。懐かしい「マサチューセッツ」に始まり「Summer Love」、メドレーに入れるのはもったいないぐらいの「Oh Yeah!!!!!!」、「ロマンティックあげるよ」に続き、「旅に出る準備」、「Hi Ho」の素朴な流れ、そして、最近のライブ定番曲でタカハシの振り付け指導(!?)も楽しい「Psychedelic Night」と、いずれもフルで聴きたい名曲を詰め込んでみせた。
さらにはメンバー脱退で途方に暮れていた武井が、砂川とタカハシの加入によって再び前を向き始めた時期の最初のナンバーと話した「アイボリー」。「バンドの向かう先が優しい光に包まれるようにと書いた曲」だと武井が言い、この日はこの場に集まったすべての人に向けられた。盛りだくさんのセットリストの中で、バンドの音楽的な筋力を再認識したのがアコースティックバージョンで届けた「Forever Summer」で、武井とタカハシのハーモニーをアコギやカホンのシンプルなアンサンブルが引き立てる。
せっかく椅子席なのに「アイボリー」で座って聴いてほしいと言いそびれたと武井。段取り通りにいかないほど熱量が横溢していた証かもしれない。終盤を前に4人がそれぞれここまでの思いを話すのだが、山崎は「15年って長く感じるけど、ようやくここまで来たとかはなくて通過点って感じ」、タカハシは「チェコのおかげで私の陽の部分を出させてくれたなって」と、意味のある言葉が出たが、砂川は武井に揚げ足を取られ、タカハシと同時期加入の砂川はタカハシを「モデルみたいなのが来るんでしょ? と思った」と一言。タカハシの「やんのかてめえ」の応酬に爆笑が起きる。サポートベースのオオナリもすでに5年活動を共にし、「めっちゃ仲良いよね」とバンドの状態の良さを讃える。こんなにあけすけなやりとりをするに至った今のチェコは最強だなと思う。
終盤はチェコといえばこの曲と言える代表曲「Amazing Parade」が再びフロアを沸き立たせ、砂川のボーカルとギタリストとしての見せ場たっぷりな「JOB」は今のチェコならではの盛り上がりに。そして「Amazing Parade」と並ぶ代表曲「No Way」ではサビの〈Don’t change!〉のシンガロングもボリュームを増し、チェコでしか味わえない自分の力で喜びを掴み取る、命への祝福めいたムードが最大限に増幅していった。そして、本来なら次の曲で終わるところ、武井が「ほんとはもう1曲で終わりだったんだけど、終わるのもったいないからもう1曲やっていいですか? お祭り騒ぎしようぜ!」と、何も考えずに今を楽しむ、まさにフェスティバルを音楽にした「Festival」をドロップ。オリジナルよりストレートなロックンロールの質感に急遽追加したテンションが窺えた。
ラスト1曲を前に武井は「まだ見ぬ場所を目指して15年バンドをやってきて、たどり着いた場所が思い通りか分からないけど、愛するメンバーともうその場所に立ってるのかもしれない」と、ツアーやこの日のライブを通して感じたことを話しているように見える。分かりやすい目標が自分を奮い立たせることも確かにあるけれど、音楽が鳴っているこの場所に彼のリアルがあったのだろう。2030年に日本武道館に立つ目標も掲げているが、それはここと地続きなのだ。その言葉があったからこそ、本編ラストのまだバンドにとって新しい曲である「Wonderland」が、ずっとこのバンドが貫いてきた姿勢を代表しているように響いたのかもしれない。武井が珍しくロングトーンも歌い、フロント3人のギターの音の壁が透明な激情になって放たれる渾身の演奏に、Czecho No Republicというバンドのコアを見た。
アンコールでは新曲「アンビリーバブルデイズ」が披露され、この曲をタイトルとするEPのリリースに伴う全国6か所を回る【ア!ビ!バ!ボ!ツアー】の開催も発表。これが15周年の締めくくりとなる。そして、この日のラストは音楽で作る花火のように「Firework」が、浅草の夜に打ち上げられたのだった。バンドストーリー、シチュエーションともにハマったツアーファイナルは、チェコがその音楽でより多様なリスナーの心をぶち抜いていく兆しに溢れていた。子どもの心と大人の態度。今、Czecho No Republicは最強だ。
Text:石角友香
Photo:藤咲千明
◎公演情報
【Czecho No Republic 《15周年記念 オールタイムベスト・リクエストツアー》― Final Edition ―】
2026年3月19日(木)
東京・浅草花劇場
◎公演情報
【Czecho No Republic《ア!ビ!バ!ボ!ツアー》】
2026年6月6日(日)福岡・LIVE HOUSE OP’s
2026年6月13日(土)広島・広島 4.14
2026年6月14日(日)大阪・梅田 Zeela
2026年6月21日(日)宮城・仙台 FLYING SON
2026年7月4日(土)愛知・名古屋 ell.SIZE
2026年7月12日(日)東京・Shibuya eggman
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